「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論311」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第2号(2002.9.25発行)「インストラクターの時代」2~※名称等は当時、一部文章省略
1.変化する経営環境
今は、ある意味「過渡期」なのかもしれない。
だが、だから若干の業績の落ち込みはやむを得ない、と結論付けるのは間違いだ。
問題は「内」にある。
そして対策は必ずある。
方向としては、集客・会員定着のドライバーとなる基本的要素のさらなる改革・改善に加え、これに準じてドライバーとなる要素ープログラム、サービスーの改革、改善を顧客視点からマーケティングし直し、より本質的な価値を創造することにあろう。
時代は「本物」ー顧客が「行いたい」、「行ってよかった」、「通い続けたい」と思うクラブーを求めている。
本物には、総合的な魅力があるのはもちろんだが、しっかりした中核機能が備わっている。
価格が高かろうが安かろうが、その商品の中核機能に時代性を得た高い顧客価値がなければ、顧客には選択して貰えない。
「安かろう、悪かろう」で生き残れるはずがない。
特に最近はこの傾向が強くなってきている。
フィットネスクラブについて言えば、広く入会予備軍にアピールできる要素と、入会者の期待に確実に応えられる要素を合わせ持つこと、そしてその上で、特に「過渡期」の今はこのうちの後者を提供する取り組みを徐々に図っていくことが重要となろう。
即ち、それは個々のニーズへのマイクロ対応を慎重に図っていくことである。
それが顧客価値を高め、経営を安定化させる。
もちろん、ここで言うマイクロ対応は、効率を考えた上で図られなければならないことは言うまでもない。
繰り返しになるが、誤解を避けるために言っておきたいことがある。
先に生活者が慎重な消費行動を取るようになってきている、と書いた。
だが、何も買わないわけではないし、また安いものばかりを買っているわけではない。
生活者は自分の望みや希望にぴったりと合った商品やサービスがあれば、喜んで買ってくれる。
携帯電話や「ビームス」のシャツ、「スターバックス」のコーヒーにはお金を使っている。
これら以外にも、欲しいものには少し高くてもお金を払う。
それだけではない。
買って試してみて、「すごくいい」となれば、ファンになってさらに買い増し、他の人にもそれを勧めてくれるようにもなる。
ところが今はクラブがそうした商品やサービスを少しだけしか用意できていない。
また、その提案の仕方がそれほど上手くないというだけなのである。
組織にそうした商品やサービスをきちんと開発、提案、提供、管理していく流れができてくれば、多くの顧客を長く惹き付けられ、強い企業になるだろう。
そうれは言うほど簡単ではないが、やろうとすればできる。
~ここまで~
前回、インストラクターという表記をトレーナーに言い換えれば、そのまま今に当てはまると書きましたが、後半の文章もまさに現在の課題と言える内容だと思います。
ポイントは、商品の中核機能が時代性を得た高い顧客価値であるかという点と入会者の期待に確実に応えられる要素を持つことにあります。
これまでの広い空間に最新マシンを揃え、自由に不特定多数のメンバーが利用する仕組みに対して、安心・安全にエクササイズすることはできないとパンデミックを経て多くの顧客は感じています。
さらに、入会時だけの簡便なサポートだけでは、期待する成果を達成することは出来ないと多くの方が考えるに至っているわけです。
これらの時代の要請に対して、スタッフ数を減らす、接触を減らすといった多くのクラブが実施している対処療法的施策では、本質的に安心・安全を担保する、期待する成果をもたらすといったマイクロニーズには恐らく応えられないでしょう。
それらの施策を否定することから真の改革が始まると思われます。
本日もお読みいただきありがとうございました。