5月25日(水):「不便益」での顧客創造
今週の日経ビジネスにおける特集は「買わせる心理学 進化する本能マーケティング」と題して、行動経済学やナッジに関連した理論、事例を取り上げていました。
そうしたなかコロナ禍のヒット商品としてピックアップされていたもののひとつに「不便益」の要素をもった商品、サービスがありました。
代表例はLCCのピーチがGW限定で企画した「ペア旅くじ」、1回1万円のガチャです。
こちらは航空券の購入に使える1万2,000円分、または2万円のお得なポイントクーポンが入っている一方、ガチャで出てくる指定された行き先以外には使えない、というシロモノになっています。
行き先が勝手に決められてしまうのは不便である反面、ガチャに行き先を委ねるワクワク感、そのプロセスも含めた経験価値が魅力なのだと思います。
こうしたピーチのガチャのほか、食品メーカーが家でのひと手間をくわえて完成させる「あえての不便さ」を意図して企画した商品など、不便によって得られる益から顧客創造した事例を取り上げていました。
前述の不便益からヒットが出てくる背景には、合理性からの反動もあると思います。
昨今の購買行動をみるとユーザーは商品をレビューして、他のユーザーのコメントを確認するのが当たり前になりつつあり、提供者側は履歴に基づくレコメンドでおススメをしています。
それらの合理性は失敗しないような安心感にはつながりますが、行きつく先はどこか予定調和の確認消費、追随消費になりがちな面は否めません。
今回の消費行動に限った話ではありませんが、何であっても物事がある方向に向かっていき過ぎると、それに対する反動、反転が生じてくるのは確かです。
だから先のような不便益でのヒット商品が出てくるのは、合理性への行き詰まりや閉塞感の現れと見て取ることもできるでしょう。
不便益はひとつの切り口ですが、予定調和ではない新鮮な体験などは本来的な驚きや楽しさが伴うものだと思うので、そうした観点で商品やサービスを設計していくのはひとつだなと感じます。
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