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365日色の話 ちょっと一休み 「銀座「四宝堂」文房具店」です。

本好きの娘のお薦めの本です。
すぐに、NHKのドラマ「ツバキ文具店」が思い浮かびました。
あのような雰囲気の物語なのかと大いに期待して読み始めました。

「四宝堂」文房具店は舞台が銀座です。
「ツバキ文具店」はふるさとの鎌倉です。

鳩子は「ツバキ文具店」を亡き祖母から受け継ぐことになったのですが、
文具店とは名ばかりで、本業は「代書屋」だったのです。
それだけでなく、
「ツバキ文具店」は、手紙を一から考えて美しい文字で書いてくれる
一風変わった代書屋だったのです。
このドラマはとても素敵な話で、お気に入りなのです。

銀座のとある路地の先、円筒形のポストのそばに「四宝堂」はあります。
創業は天保五年、地下には古い活版印刷機まである名店です。
そこが、物語の舞台です。

店主は、店を一人で切り盛りする不思議な魅力を漂わせる青年、
宝田硯。
そこに、さまざまな悩みを抱えたお客様が訪れます。

第1話 青年「凛」と祖母「夏子さん」と万年筆の話

ゆったりとした感じではじまりました。
銀座「四宝堂」の品揃えやお店の雰囲気や硯の丁寧な対応に驚きながら、
どういう物語なのか、
先に進みたい思いを抑えて読み進んでいきました。

「凛」青年は、
新入社員の初任給は「大切な人に贈り物をするといい」との
先輩の言葉を思い出し、
不慣れな東京で、
大切な「夏子さん」への贈り物を探すことにしました。

何が良いか迷っていると百貨店の地下食品売り場で
素晴らしい人との出会いがあり、
お茶を贈ることにし、手紙を添えることに。

紹介されたのが、銀座「四宝堂」文具店でした。

店主の硯の話を参考に、
こだわりが詰まった便箋と封筒を選び、
昔「夏子さん」からもらって、そのままにしていた、
モンブランの万年筆に初めてインクを入れてもらい、
「四宝堂」の2階で、硯の勧めで
手紙を書かせてもらうことになったのです。

「凛」の母親は、お腹が大きくなって実家に戻ってきて、
「凛」を生み、好きな男性ができ、出ていきました。

祖母のことはなぜか「夏子さん」と呼んでいるのです。
「凛」という名前は「夏子さん」が、
凛とした人になってほしいと付けたと後で知りました。

それからは、2人暮らし。

10才の時に、
秋の文化祭で、「二分の一成人式」をすると
「夏子さん」に話すと、
「出かけよう」と、
後にも先にも、一度だけの2人一緒のお出かけをしました。

家の一階で薬局をしていて、
休むと困る人がいると休んだことがなかったのです。

20才の二分の一、10才の成人式。
いいね!といい、
百貨店のレストランで洋食を食べて、
プラモデル売り場で
ちょっと、メイクのものや見たいものがあるから、ここで待っててと
「夏子さん」は「凛」をそこに置いて、行ってしまいました。

その後、少し経って、
「二分の一成人式」を祝おうと、
初めてお赤飯を作ってくれたのです。

その時にお祝いの贈り物として、モンブランの万年筆をもらったのです。
「高いんじゃない?」
「安くはないかな」
ネーム入りのモンブランの万年筆。

この話はそれだけではなかったのです。
そこには、「夏子さん」と母親との賭けが関係して。。。

第2話 システム手帳とクラブふみのユリの話

ユリは退職願を出そうと
それにふさわしい便箋と封筒を買いに銀座「四宝堂」を訪ねたのです。
あいにく、「四宝堂」は休みだったのですが、
たまたま店の前で会った硯にお願いして
2階で品物を見せてもらうことに。

システム手帳とボールペンを大きなトートバッグから出し、
悩んでいる様子に硯が話を聞いてくれることになりました。

美味しい、いい香りのお茶を入れてくれました。

ゆりは大学1年生の時に、銀座で花屋のバイトを始めたところで、
お店に花を届ける予定時刻が迫って、途方に暮れていた時に
救ってくれたのが、クラブふみの文ママだったのです。

お礼に、花を届けた先のお店の方が教えてくれたお店に文ママを訪ね、
一輪の赤いバラを渡しました。
ゆりは文ママに心奪われてしまっていたのです。

一輪の赤いバラの花言葉は一目惚れだとか。

「気が利いてるわね。礼儀正しいし、20才になって興味があったら
訪ねてきてね」と言ってくれました。

それが、きっかけで、ママが言うように、
20才になって、
勉強を最優先しながら、
クラブふみでアルバイトをすることになりました。

クラブふみでは有名人を呼んで、政治や経済や物理のことまで、
話を伺う会の1年間のカリキュラムが組まれていました。

ユリは百均ショップのノートとペンで一生懸命に話を聞き、
記録していると、
「一流のホステスはね、身の回りには一流のものしか置かないのよ」
「もちろん、一流でも下品じゃないものよ」

翌日、ユリのロッカーに
ファイロファックスのシステム手帳と
金色のクロスのボールペンが
入っていました。
「一番熱心に話を聞いていたから、ご褒美。」
と一筆箋が添えられていました。

ユリは卒業したらすぐにクラブふみで務めるつもりでしたが、

「卒業したら、一流企業に就職して3年勤めて、
良い人が見つかったら結婚しなさい。
それでも、戻ってきたくなったら、
事務所に来なさい。」

ユリはあの手帳とボールペンを持って戻っていきました。

あれから10年。

大好きな文ママへの退職願。
どうして、退職願・・・

この話にも、あたたかい結末が。。。


「四宝堂」に訪れる人にまつわる、
一つ一つの話には、
心をあたたかくしてくれる思いが溢れています。

あなたも、ぜひ読んでみませんか。

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