🪷般若心経異聞🪷空の心と三法印🪷素直に読み解く般若心経
🪷
般若波羅蜜多心経
空の心と三法印
🪷
「序」
これが般若心経 空のこころなり
私が聞いた般若心経を。
私なりにわかりやすく。
般若波羅蜜多心経
「般若波羅蜜多」は翻訳しません。
(智慧の真理に到る貴い教え。)
般若心経が説いているのは「空」です。
それでは「空」とは何でしょうか。
空とはお釈迦さまが唯一最初に悟った。
法(ダルマ)この世の真理・本質です。
法(真理)を三つの面から見たものを
「三法印」と言います。
「空」も色々な説かれ方をされますが。
(一法印・諸法実相・縁起)
般若心経では 《 空 = 三法印 》 です
「空」が分かりやすく説かれて行きます
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時
舎利子
般若心経は観音さま(菩薩)が舎利子に
智慧によって見出した法(真理)・「空」を語って行きます。
照見
観音さまが照見したものは。
五蘊皆空と諸法空相の二つの空です。
舎利子
空 と(三法印) とは
五蘊皆空 (諸行無常)
諸法空相 (諸法無我)
究竟涅槃 (涅槃寂静)
このような関係です。
まずは「三法印」を見ておきましょう。
諸行無常(五蘊皆空)とは時間です。
すべての現象は過ぎ去って行くと言うことです。
諸法無我(諸法空相)とは空間です。
すべてのものに我がものは無いと言うことです。
涅槃寂静(究竟涅槃)とは悟りです。
執着を乗り越えた寂静の境地であり中道の境地。
慈悲の心を持って生きて行くことです。
そして呪とは真言(マントラ)です。
般若波羅蜜多心経のことです。
それでは詳しく見て行きましょう。
🪷
「五蘊皆空」 とは
(諸行無常)(無所有)
照見五蘊皆空 舎利子
五蘊とは人がこの世界をどの様に捕えているかと言うことです。
言い換えればこの世界で起きているすべてのこと又は現象です。
玄奘の般若心経では2段ですが多くの漢訳般若心経では3段になっています。
ここの色は「色蘊」のことです。
色(物質・いろ)ではありません。
感覚。感覚力・感覚器のことです。
眼耳鼻舌身意(六根)のことです。
色性是空 空性是色
色不異空 空不異色
色即是空 空即是色
移り変わる感覚は空なるものであり
空なるものとは移り変わる感覚です。
感覚が移り変わる事と空なるものとは別ではなく
空なるものとはこの移り変わる感覚と別ではない。
感覚の本質がそのまま空の本質であるならば
空の本質とは感覚の本質・移り変わる事です。
受想行織亦復如是
同様にして五蘊の本質がすべて空であるとは。
この世では一切が留まることなく。
移り変わって行くと言うことです。
《 五蘊皆空 》とは ・「 空 」とは
この世で起きているすべてのことは。
ただ移り変わって行くと言うことです。
諸行とは。
この世で起きているすべてのことです。
無常とは。
常なるものなどは無いと言うことです。
ただ移り変わって行くと言うことです。
従って『五蘊皆空=諸行無常』です。
無所有とは。
留め置くことはできないと言う事です。
ただ過ぎ去る儚いものに
「こだわらない心」が大切です。
🪷
「諸法空相」 とは
(諸法無我)(無所得)
舎利子 是諸法空相
諸法の法は空間に存在するもの。
地球上にあるすべての物質です。
不生不滅 不垢不浄 不増不減
地上の物質は常に姿形を変えながら存在しているだけです。
地球を構成している物質に汚れも清らかもありません。
地球上にある物質の総和はずっと変わってはいません。
すべての物質は和合離散を繰り返しているだけです。
我がものなどはありません。
《 諸法空相 》とは ・「 空 」とは
すべては仮そめの相(すがた)であり。
我がものはなにもないと言うことです。
諸法とは。
この世に存在するすべてのものです。
無我とは。
我がものはなにも無いと言うことです。
それは我れについても言えることです。
従って『諸法空相=諸法無我』です。
仮そめの相(すがた)に
「とらわれない心」が大切です。
是故空中
五蘊皆空。諸法空相。
この時間と空間における空・法(真理)のまえにおいては。
五蘊も十八界も十二因縁も四諦も智慧も得るものもなくなり。
これらの教えはなんの意味も持たなくなったのです。
以無所得故
無所得とは。
捕らわれるものがないと言う事です。
🪷
「究竟涅槃」 とは
(涅槃寂静)(無分別)
菩提薩埵 依般若波羅蜜故
涅槃とは執着を乗り越えた偏りのない心ありのままに観る心です。
すべての命の尊さに気づき慈悲の心を持って一体となることです。
心無罣礙 無罣礙故
無有恐怖 遠離一切顛倒夢想
究竟涅槃
心にこだわりもなく。
心にとらわれもなくなり。
不安に思うこともなく。
正しい想いに到りました。
空を究めた悟りの境地です。
偏りのない大慈悲の心です。
《 究竟涅槃 》とは ・「 空 」とは
法(この世の真理)を悟ることで。
生まれる慈しみと思いやりの心です。
執着を乗り越えた寂静の境地です。
寂静とは。
悟りに到った安らぎの境地でもあり。
慈悲の心が生まれる処でもあります。
従って『究竟涅槃=涅槃寂静』です。
三世諸仏
依般若波羅蜜多故
得阿耨多羅三藐三菩提
涅槃とは誰もが望みさえすれば。
到達できる安らぎの境地なのです。
観音さまはすべてのものの声を聞き。
大慈大悲の心をもって寄り添います。
無分別とは。
あるがままに正しく見ると言う事です。
命の尊さを知る「かたよらない心」
慈しみと思いやりの心が大切です。
🪷
「呪」 とは
(真言)
故知 般若波羅蜜多
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪
能除一切苦 真実不虚故
「般若波羅蜜多」は比類なき真実の大呪です。
掲帝 掲帝 波羅掲帝
波羅僧掲帝 菩提僧莎訶
「般若波羅蜜多」に対する呼び掛けの呪です。
「智慧の完成」を言祝ぐ呪です。
《 呪 》とは
真言(マントラ)。真実の言葉です。
呪とは「般若波羅蜜多」のことです。
「般若波羅蜜多心経」そのものです。
読誦・写経されて来たのが般若心経です。
般若心経を素直に読み解く事も大切です。
🪷
高田好胤 薬師寺元管主の法話の一節を
ここにご紹介します。
「 空 」
かたよらない こころ
こだわらない こころ
とらわれない こころ
ひろく ひろく もっとひろく
これが般若心経 空のこころなり
般若心経
空の心と三法印。
🪷
「結」
お釈迦さま(仏陀・目覚めた人)は。
思想家であり。哲学者です。
私の聞いた般若心経を終わります。
素直に読み解く般若心経。
🪷
松原泰道。
中村元。