ポツ、ポツ、と音を立てて
足元に転がる白い霰(あられ)
雹とは違い白が濃い
まるで真珠のように
人魚が流した涙は真珠
これは雪雲が運んだ
誰かの涙なのだろうか
そこに物語があるとしたら
どんな物語りなのだろう
空模様を気にしつつ
足早に歩きながらも
心は空想世界の物語を
創り始めようとする
濡れないように
人にぶつからないように
急ぐ
霰は当たれば痛いし
雹よりマシだけど
雪のように優しくない
早く屋内に入りたいと
足はさらに早くなる
靴に魔法の羽をつけたら
一瞬で雲のない場所へ
行けるかもしれない
想像の翼は果てのない世界へと
広がってゆく