【エッセイ】「大学受験で上白石萌音に救われた」話
「一生懸命やって、夢中になって、で、開けた道っていうのは、本当に進むべき道なんだなっていうのをすごく感じて」
「がむしゃらになって、時には迷いながら、挫けた時もあるけど、本当に一直線に進んで行ったら、結果的に開けた道が自分の居場所なんだなっていうのをすごく思ったので、四月から始まる新生活が、元々望んでた道にしろ、そうでないにしろ、きっとそこがいるべき場所だと思うので、って思って、私も頑張ろうって思えるので、なんか、頑張りましょう。」
この言葉は、YouTubeに載っている、『ラ・ラ・ランド』公開イベントで上白石萌音さんが劇中歌「Audition」を生披露した後でのインタビューでのものだ。
私はこの動画を、高校3年生の秋にたまたま見た。
受験期真っ只中、勉強に追われる日々。
志望校に合格できなかったらどうしよう、人生終わってしまうかも、なんてプレッシャーを感じていた時期。
当時ミュージカル映画にハマっていた私は、登校中の電車の中、よく好きなミュージカル曲を聴いていた。
YouTubeでもミュージカル曲の動画をたくさん見ていた時にこの動画に出会った。
自分で言うのもなんだが成績は優秀で、合格できそうな判定は受けていた。
けれども、いや、だからこそ苦しかった。
友達からは、「◯◯は大丈夫でしょ」と言われる。
落ちたらどうしよう、受からなければ、というプレッシャーに押しつぶされそうになる。
その不安をなくすために勉強するが、どんなに勉強しても、判定が良くても、自信なんて一向につかない。
一発勝負の本番なんて何が起こるかわからないことを知ってるから。
浪人して予備校に通ってもう1年勉強漬けの日々を送れるような気力はなく、金銭的負担も親にかけたくないため、正真正銘一発勝負。
ミスしたら終わり、3年間がパー。
そんな時に、この言葉に出会った。
がむしゃらになって、時には迷いながら、本当に一直線に進んで行ったら、結果的に開けた道が自分の居場所。
四月から始まる新生活が、元々望んでた道にしろ、そうでないにしろ、きっとそこがいるべき場所。
私も頑張ろうって思えるので、なんか、頑張りましょう。
まさしく自分に言われているような気がした。
今自分はがむしゃらに頑張っている。
その結果として、志望校に合格したにしろ、そうでないにしろ、その先に開けた道が自分の居場所。
だから、まあ、頑張りましょう、と。
すごく、気が楽になった。
ダメでも、結果的に自分がいる場所が、自分の居場所だと自分で思えばいいんだ。
私はその言葉を頼りに、過度なプレッシャーを感じずに、受験勉強に取り組んだ。
最終的には志望校に合格できたが、きっと落ちていたとしても、絶望することなく「自分の居場所」で自分なりにやっていけたと思う。
彼女の言葉がなければ、精神的にやられていたかもしれない。
だから、この合格は彼女のおかげだ。
大学に入学後、私は彼女にファンレターを送った。
あなたの言葉のおかげで志望大学に合格しました。ありがとうございました。
という旨の手紙を長々と。
私が救われてから大学に入るまでの半年の間に、「恋つづ」の主人公を務め、一気に有名になった。
ちなみに私は1話から最終話まで毎週欠かさず見て、毎週可愛過ぎて悶えていた。
彼女はあのファンレターを読んでくれただろうか。
もう4年半も前の話だ。
いつか上白石萌音と仕事をして、あの時の感謝を、次は直接、伝えたい。