『ジャックジャンヌ』のココが好き!少し"ダーク"な側面を掘り下げよう
今回も記事を開いてくださり、ありがとうございます。本記事では、『JACK JEANNE』(ジャックジャンヌ)というゲーム作品の、ダークな側面、「呪い」と”玉阪”の関係を掘り下げていこうかと思います。
本作には、日本昔話的なちょっと化かされる程度の話から、自然信仰と人との関係、そこから端を発する「血族」とお家間の争いなど、ダークな要素がそこかしこで語られる場面があります。というと、プレイされていない方からすると、どんなホラーゲーム?となるかもしれませが、本作のジャンルは実は、「少年歌劇シミュレーションゲーム」です。その点の良さは、記事を書いていますので、下記のリンクからどうぞ。
本作の、光あふれる「青春群像劇」はもちろん大好きですが、、、それでも、個人的にドツボな、ダークな側面である「呪い」が流れる世界観も、皆さんにご紹介したいと思い、本記事を書きました。それでは、どうぞ!
(今回は、ネタバレを含みますので、少なくとも「立花希佐」ルートをプレイしてからお読みになることをおススメします)
ココが好き!日本昔話×ヨコミゾ的ドロドロ
本作品の舞台、「玉阪」市。この地には、かつてひとりの「少年」がいました。この名前の由来となる、少年のとある昔話が伝承となり、この地に語り継がれています。そして、その子孫もまた、現在まで、この地に根付き、とある継承問題を抱えているのでした。
「玉阪」の地に伝わる伝承
むかし、むかしは、江戸の中期ごろ。とある旅一座の看板役者であった、「少年」がおりました。その名は、「月彦」。彼は、絶世の美少年と歌われ、その評判は、その地の大名にまで轟き、お殿様の耳に入りました。その後、月彦は、お殿様に寵愛されるようになり、土地と名を賜わります。そこから、「玉阪比女彦」と名乗るようになり、旅一座も「玉阪座」と名を変えました。玉阪座は隆盛を極め、いつしかその地は、「玉阪」と呼ばれる様になったのでした。
「玉阪」の一族が担う継承
役者として絶大な人気を誇っていた、「玉阪比女彦」はその死後、その名が「芸名」として子孫に受け継がれていくことになります。二代目は兄。三代目は、その息子、といったように。ある時、一族は養子を取ります。どういった経緯でかは、語られていませんが、天性の華をもつ者であり、その者は分家となりました。その時、名字が分派し、本家は元の姓「中座」。分家は「玉阪」の姓が継がれていくことになっていくのです。しかし、そこからがまさしく骨肉の争いの始まりで、当主の名を取り合う歴史になっていくのです。そして、とある事件をきっかけに、片方の一族は、「家」を追われ、表舞台から消えます。その末裔がどうなったかは、、、。
そういえば、「呪い」がまだ出てきていませんね。そう、この血族の争いには、代々受け継がれるのは「名」だけではなかったのです。それは、「比女彦の呪い」と言われるもので、初代が若くして、「心を激しく病んで死没」して以降、名を襲名した何人もが、「非業の死」を遂げることから、一族の間では、この呪いが信じられていました。おそろしい呪いと名を継承する一族、それが「玉阪」の一族なのでした。
ココが好き!山岳信仰×御霊信仰⁈
ここまで「玉阪」の土地の伝承と、一族に伝わる継承について語りましたが、この地には神として祀られる存在がおり、この要素も見逃せません。作中の伝承や事件に、直接関わってくる存在としては、描かれていませんが、とりあえず、この作品を深める背景として、お聞きください。(多くが語られていない分、多くの考察につながる存在ではあります。)
古き「アニミズム」
古来の日本で信じられていたのは、自然への畏敬の念が基にある信仰、「アニミズム」でした。その一種なのか、もともと、「玉阪」の地で信仰があったのは、山岳自体への信仰、「大伊達山」信仰でした。土地に住む人々には、神の使いとして「イタチ」を遣わすと信じられていました。現代では、お土産物としてイタチ饅頭などの商品が売られています。作中の「ユニヴェール歌劇学校」がある地でもあります。
新しい「人神」
のちに古代日本に入ってきた、「仏」信仰などの、実在の人間を祀る信仰、つまり、人神信仰。この順と同じように、「玉阪」と名付けられたその地に、後から祀られたのが「玉阪比女彦」です。現在では、大伊達山の中腹に「比女彦神社」として建立されており、芸事の神様として多くの参拝者が訪れる場所になっています。作中でも、初詣の地としても登場します。
いつ、なぜ、建てられたのか作中で語られていません。単純に、役者として大きな功績を残した「比女彦」を祀るために建てたのかもしれませんし、もしかしたら、その死に様を考えると、怨霊とならないように奉るために、その神社は建立されたのかもしれません…。
ココが好き!立花希佐の「光」と「闇」
本作の主人公、「立花希佐」。”彼女”自身もこのテーマから外して考えるわけにはいきません。元々、本学に入ることが許されなかった性でありながら、入学後、見事に花開く才能の「原石」。彼女にまつわる、輝かしい功績とその物語。反面、とても繊細で消えない”傷”をもつ、ひとりの少女の内面。そして本記事に何度も出てきた、”玉阪”との関係について、書いていきます。
あふれる才能と功績
これは、プレイした方なら、もう言う必要もないくらいのことですが、主人公「立花希佐」は、入学したばかりの一年生でありながら、いくつもの公演で賞をとり、「天才」と称されるようになりました。どんな相手にも会わせて演技ができ、作中のペアの役割の名称、「華」にも「器」にもなれる存在です。数々の相手からパートナーとして求められるほどの逸材であり、もうここまでの文言だけ見れば、無敵な存在にさえ見えるでしょう。
兄の”名残灰”を求める心
その一方、兄を慕う、ひとりの妹でもあります。兄と友の「演劇ごっこ」から始まる本作。幼少期から、彼女にとって、兄と「演劇」は切り離せない存在でした。そして、兄はひとり「ユニヴェール歌劇学校」に入学し、華々しく活躍します。それを観劇する、主人公が感動する姿は印象的です。しかし、兄はその後「行方不明」となり、自らは憧れの舞台に立つことはできない彼女にとって、「ユニヴェール歌劇学校」は消えた兄の”憧憬”そのものとして心に刻まれました。この喪失体験が、彼女の演技の根幹として描かれ、光を演じながらも、闇も感じさせる独自の表現になっていくのでした。
「玉阪」の求める器
最後に、彼女の演者としての実力、覚悟に引き寄せられた存在がいます。それが「玉阪」です。一人目は、「ユニヴェール歌劇学校」の校長である、十八代目玉坂比女彦の「中座秋吏」です。彼の導きによって、彼女は入学を果たします。二人目は、もうひとりの「玉阪」です。(そこは、プレイしてお確かめを)
そして、ここからは考察も入ってしまうのですが、そもそも、中座校長と出会った場所に誘った存在は、”イタチ”です。そう、大伊達山の「神の使い」です。私には、どうしても「玉阪」の地自体が彼女を誘ったように思えるのです。なぜ、彼女だったのかはわかりません。(彼女の血に関係があるのか、それとも演技の才を求めたのか、とても妄想が捗ります( ´∀` ))闇深い一族と、神に求められた少女、とてもイイですね~。
以上、『ジャックジャンヌ』の裏に流れる、ダークな一面にスポットを当ててみました。ぞわぞわ系どろどろ系という、日本の怖さを感じる要素がたっぷり入った本作。書いてて新たな発見もあり、非常に楽しかったです。ですが、繰り返しますが、本作”ホラーゲーム”ではありませんので、怖いからやめよ。となる必要はありませんのでご安心を。まばゆい青春劇と、練られた闇深い設定を楽しみたい方は、非常におススメです!!
では、また次の記事で会いましょう。ここまで読んでくださりありがとうございました!