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サッカーのフィジカルトレーニング:1vs1 【スピード持久力・産生】

はじめに

今のチームで行なっているフィジカルトレーニングを紹介します.今日は,「1vs1の攻守」というすごくシンプルな対人トレーニングですが,時間設定を調整するだけで,有用なフィジカルトレーニングとなります.
対人の個人戦術トレーニングをフィジカルトレーニングにするコツをお伝えしたいと思います.


スピード持久力・産生 トレーニングとは

スプリントやジャンプ,連続動作などの高強度運動を10秒以上行うと,筋肉などに溜め込んだ糖質を使ってエネルギーを作り出します.

この時主に使われるエネルギー供給系が「解糖系」です.要するに,糖分を燃やして高い出力を維持しようとする働きです.スプリントや急加速急停止を繰り返す際に「速く」「強く」「持続して」運動を行うことは,トレーニングをしていないと結構難しいです.

お正月に1週間ばかり運動をせずにいた後に,「さあ運動しよ」と思って筋トレやサッカーなどをした時,
「からだ,重っ!!」
となると思います.

通常のトレーニングを同じように行なっているときも,いざ瞬発的に連続的に高出力の運動をしようとしても100%ポテンシャルを発揮できていないことが多いのです.

そこで,10秒から30秒最大全力で運動を行うことで,高い筋出力を発揮しながら乳酸が出てもさらに高強度運動を持続させる「スピード持久力・産生」を鍛えることができます.

また,このトレーニングでは休息後に再度全力を出したいので,乳酸除去の時間を十分にとります.運動:休息=1:5以上が基本になります.

図1 持久力を高めるためのトレーニング(バングスボ.2006より引用.筆者加筆)

1vs1 スピード持久力・産生 概要

図2 1vs1 オーガナイズ

コート:横10m×縦16.5m
コーチから配球
攻撃は,シュートを最優先に仕掛けること
守備は,ボールに寄せてシュートを打たせないこと.そしてボールを奪うことを第一とします.

運動時間:休息時間 = 1:5以上
プレー時間は30秒を基準にします.休息時間はプレー時間の5倍とするので,基準では150秒.以下の映像のように「1チーム6人組」で対戦させるとプレーと休息の割合が1:5になります.

このトレーニングの場合は休息が長くても良いので,チーム人数は多くても構いません.また,人数が少なければ,セッション間の時間を空けて調節できます.

実践動画

冬の朝日がカメラに差し込んで,映像が幻想的に(ま,見にくく..)なっています.ご了承ください.

30秒の「決闘」=デュエルを終えた選手たちが疲労困憊で膝に手をついたり,倒れ込んだりしているのが見えると思います.

プレー内容も,シュートを打たせない距離に素早く寄せたり,プレー後半では攻撃が優位になりシュートフェイントで交わしたりと,密度の濃いプレーが見られると思います.

戦術か,フィジカルか?

上記の動画のトレーニングでは,トレーニング中にはできるだけ合間をおかずすぐにコーチが配球していると思います.運動継続のためでもあり,かつ攻守の切り替えを促す目的もあります.

フィジカルトレーニングとしてこれらの戦術トレーニングを行う際は,コーチングのための「ゲームフリーズ」(プレーをストップしてコーチングを入れること)を行わず,横で働きかけるシンクロコーチングを行います.

フィジカルコーチ的には,「そこをもう一歩寄せろ!」「いいぞ!もう一本!」「お前ならやれるぞ!」など熱い熱い「情熱的な」声かけをしたいところです!

また戦術的におかしいプレーが起こる状況では,トレーニングが中だるみしてしまい,フィジカル的要件も満足できません.トレーニングの事前メニューとしてしっかり寄せる」アプローチを取り入れたり,ロンドなどのパストレーニングのなかで「切り替え」を意識させておくことが大切です.

コーチの意図として,第一義的にフィジカルをメインにしていますが,選手にとっては戦術もフィジカルも込み込みの「サッカー」をしているので,戦術的にもフィジカル的にも両面からコーチングしていくことが大切です.

まとめ

いかがでしょうか?ドリブル突破や守備対応の1vs1トレーニングも,時間設定次第で有用なフィジカルトレーニングになります.

プレー:休息 = 1:5以上

この設定を覚えておくと,非常に有用だと思います.

また,この1vs1をベースに,GKをつけたり,サーバーをつけたりクロスボールを入れたりすることで,スプリント距離やジャンプ動作などをつけることもできますし,グループ戦術に落とし込むこともできます.

専門的なコーチの方は,いろいろなアレンジをして面白いトレーニングを行ってみてください.こんなトレーニングがあるよ,というコメントもいただければ大変参考になります!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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