コロナ過を振り返る金利と株価
コロナショックの前兆
米国市場は2019年7月31日に
政策金利下落を好感して
株高が加速。
S&P500ETFのVOOは
2019年10月10日269.32ドル
2019年2月19日310.92ドル
上昇率:15.44%
これはVOOに100万円
投資していた場合
4カ月間で15万4千円の利益が
発生したことになります。
年間パフォーマンが
10%代というのは
滅多にないことを考えると
驚異的な上昇です。
この株価の上昇の最中に
米10年債利回りは
2020年1月9日から下落をはじめます。
株高が起きた場合
米10年債利回りは上昇しますが
逆に下落しました。
これがコロナショックの前兆です。
中国で広まっていたコロナの動向を
重く受け止めた債券トレーダーが
長期債を買い向かった為
米10年債利回りは下落しました。
市場が
将来、株安が起きると
予想した場合、
元本が保証されている債券を買い向かいます。
債券が買われると
利回りは低下しますので
米10年債利回りは下落しました。
低金利期間
政策金利は
2020年3月15日~2022年3月15日まで
0.25%で推移しました。
S&P500ETFのVOOは
2020年3月23日204.27ドル(底打ち)
2022年1月3日439.25ドル(天井)
上昇率:115.03%
米10年債利回りは
コロナショックで大きく下落し
反発した後
再度下落しました。
2020年8月4日0.512%(大底)
失業率は2020年4月14.8%で
ピークアウトしていました。
米10年債利回りは
2020年8月5日0.549%(上昇開始)
2021年3月31日1.744%(ピーク)
この期間、米国債は
コロナショックで買われすぎた事と
株高の影響を受けて
急ピッチで売られています。
長期債を保有するよりも
株式の方がキャピタルゲイン、
インカムゲインの両方で
利益を確保できるため
金融緩和を好材料視して
株高が加速、
米10年債利回りは上昇しました。
米10年債利回りは
2021年5月20日1.628%(下落開始)
2021年8月3日1.180%(底打ち)
この期間、長期債は買われています。
この時のCPIを見てみると
2021年5月12日発表4.2%
2021年6月10日発表5.0%
2021年7月13日発表5.4%
2021年8月11日発表5.4%
物価の上昇を懸念して
政策金利が上昇するのでは
という思惑から
債券トレーダーが
長期債を買い向かいましたが
失業率がまだ5%代だったこともあり
政策金利の上昇ありませんでした。
米10年債利回りは先行性が強いので
予想が外れると一気に上昇します。
S&P500ETFのVOOは
2022年1月3日439.25ドル(天井)
を打っているのですが
これをつくりだしたのは
原油です。
政策金利の上昇が開始されたのは
2022年3月16日。
米10年債利回りは上昇傾向。
CPIのピークは2022年7月13日9.1%。
WTI原油が
2021年10月26日につけた高値84.65ドル
を更新したのが
2022年1月18日85.43ドルです。
原油の上昇は株式にとってマイナスであるため
原油によって株価の天井がつくられました。
ウクライナ侵攻の前兆が報道されはじめたのが
2021年12月であり
戦争が勃発したのが
2022年2月24日。
ロシアが主要エネルギー産出国で
あることを考えれば
2021年12月から原油先物である
WTI原油が上昇していたことは当然でした。
金利上昇期間
政策金利は
2022年3月17日0.50%に引き上げから
2023年7月27日5.50%まで上昇しました。
S&P500ETFのVOOは
2022年1月5日430.66ドル(下落開始)
2022年10月12日327.64ドル(大底)
下落率:マイナス31.44%
上昇に転じたVOOは
2022年10月13日336.22ドル(上昇開始)
2023年7月31日420.68ドル(ピーク)
上昇率:25.12%
米10年債利回りは
2022年3月7日1.777%(上昇開始)
2022年10月24日4.247%(ピーク)
政策金利の引き上げは
2022年3月17日0.50%からです。
米10年債利回りのほうが
少し早く上昇しはじめています。
長期金利である
米10年債利回りは
政策金利の急上昇の影響を受けて
大きく上昇しています。
政策金利が
2023年7月27日5.50%で
打ち止めになっているにも関わらず
米10年債利回りのピークは
2022年10月24日4.247%(ピーク)
VOOが上昇し始めたのが
2022年10月13日336.22ドル(上昇開始)
米10年債利回りは
ピークをつけた後も乱高下して
2023年5月12日3.463%(上昇開始)
上昇に転じています。
市場では金利の打ち止め
利下げ期待が高まっていましたが
債券市場は利下げは起きないと判断して
売りに走っていました。
2023年は混乱したものの
終わってみれば
株価は大きく上昇しました。
低い失業率が維持された為
物価指数の下落を待つのみとなり
市場の期待感が強くなりました。