炭素繊維株のサイクル
炭素繊維関連の会社は
3401(帝人)
3402(東レ)
4188(三菱ケミカル)
4023(クレハ)
5302(日本カーボン)
5301(東海カーボン)
特に3401(帝人)と3402(東レ)は
世界的にも炭素繊維シェアが
大きい会社です。
炭素繊維の売上構成比
炭素繊維(カーボン)関連といっても
事業規模に対して
どの程度、売上を上げているかが重要です。
例えば、
ファーストフードで
有名なマクドナルドの収益源は
ドリンクです。
ハンバーガーがメインのように
感じますが、ドリンクで儲けます。
ドリンクには砂糖やトウモロコシ、
さつまいも、じゃがいもを原料とする
糖類が多量に使用されているため、
これらの作物の値段が跳ね上がると
マクドナルドは打撃を受けます。
このように企業と言うのは
多様な商品を多く扱っていることが
大半で企業が何で収益を上げているかを
知っている必要があります。
3401(帝人)は
マテリアルという分類の
高機能材料という項目のなかに
炭素繊維が組み込まれています。
炭素繊維の売上上位を占めるのが
航空機です。
航空機の売上が伸びると
好決算になります。
マテリアル部門は売上こそたっていますが
赤字になっていることが理解できます。
3401(帝人)の主な収益源は
ヘルスケアセクターと
次いで繊維とITです。
3401(帝人)の株価の動きは
医薬品と在宅医療機器の売上に
大きく左右されます。
服や車(シート)、電子コミック
の売り気にも左右されます。
めちゃコミックは
3401(帝人)が運営しています。
このように炭素繊維が強い
と言われる企業でも
炭素繊維で収益を上げられない状況にあります。
少子高齢化が世界的に進行していくのであれば
在宅医療機器の売上増加は期待できます。
3402(東レ)は
炭素繊維よりも
機能化成品、繊維、
環境エンジニアリング
ライフサイエンスの比重が大きいことが
わかります。
特に繊維と機能化成品が
大半を占めていて
欧州と日本のアパレル需要の動向と
中国家電需要に左右されます。
4023(クレハ)は
魚釣り用の炭素繊維糸
フロロカーボンで先駆者です。
フロロカーボンは
樹脂製品セクターに属しています。
炭素製品は
機能製品セクターに属しています。
樹脂製品セクターは
営業利益全体の46.73%を占めています。
機能製品セクターは
営業利益全体の30.43%を占めています。
3401(帝人)と3402(東レ)と
比べれば、事業全体に占める
カーボンの比率は高いと言えます。
樹脂製品セクターには
主力であるクレラップや
食品包装材料が含まれているため
一概にカーボンの売上が
好調という訳ではありません。
セクターの内訳を見ると
釣り糸:25億
炭素製品:39億
売上全体:885億
カーボンが売上全体に
占める割合は7.23%です。
とても小さいことがわかります。
5302(日本カーボン)は
炭素製品関連は
利益全体の92.74%を占めています。
炭素とケイ素の化合物
炭化けい素も加えれば
利益全体の95.33%に達します。
事業規模は
3401(帝人)、3402(東レ)、4023(クレハ)
と比較すれば小さいですが
事業に占めるカーボンの割合は大きいです。
炭素繊維事業だけに絞れば
3401(帝人):赤字
3402(東レ):76億
4023(クレハ):64億
5302(日本カーボン):39.76億
これは営業利益の比較ですが
東レやクレハは事業規模の大きさが
わかります。
主に5302(日本カーボン)は
炭素製品部門関して
半導体需要に左右されます。
炭化けい素部門は
航空産業の動向に左右されます。
炭素関連株の株価の動向を読むときは
航空産業と半導体産業の
株価の動きを見ると必要があります。
5302(日本カーボン)の株価サイクル
大きく雑多に見ると
1991年12月の最高値31000円が目につきます。
現在値は4525円(12月8日終値)です。
2007年の米国不動産バブル時に高騰
2018年の利上げ局面でも高騰しています。
これらを踏まえると
物価高に合わせて株価が上昇しています。
景気が良い時は素直に
株価が上昇します。
航空産業大手のBA(ボーイング)の株価を見ます。
2018年~2019年にBAが
急騰しているにも関わらず
5302(日本カーボン)の上昇は
それほど大きくはないです。
航空機は耐久年数20年程度が相場で
短くても10年は持つようです。
離着陸の回数増加も
航空機の寿命を早めるので
景気が良くなれば
観光客が増えて
航空機需要が増加します。
5302(日本カーボン)の
地域別売上構成を見ると
日本:55.16%
その他海外:34.44%
中国:10.41%
日本の依存度が大きいです。
9202(ANA)日本の航空会社です。
2007年にピークをつけている点は
5302(日本カーボン)と同じですが
9202(ANA)がバブル崩壊直前の
1989年12月にピークをつけたのに対して
5302(日本カーボン)は
1991年12月に最高値をつけています。
2018年9月に5302(日本カーボン)が
ピークをつけたのに対して
9202(ANA)は
2017年12月にピークをつけています。
5302(日本カーボン)の決算書を読んでいくと
電炉需要が収益を左右すると記載されています。
電炉の業界でシェアが大きい
5423(東京製鐵)の株価を見ます。
特徴的なのが
1990年の天井
2006年5月のピーク
コロナショック後の上昇トレンド
5302(日本カーボン)と比較してみると
5423(東京製鐵)は
2018年は株価が上昇していない、
コロナショック後でも株価好調、
この2点が大きく違います。
カーボンは製造コストが高く
大量の熱を必要とします。
エネルギー価格に左右される所があります。
原油価格を見ます。
WTI(原油先物)
原油が高騰したタイミングで
5302(日本カーボン)は下げています。
原油が2007年9月に高値を更新すると
1ヵ月の10月に5302(日本カーボン)は
急落しています。
再度、原油が高くなった
2011年、2012年、2013年は
株価が低迷しています。
原油価格が下がった2015年には
一時的に5302(日本カーボン)の株価は高騰。
一度下げましたが
再度上昇しています。
5302(日本カーボン)の弱点は
エネルギー価格です。
需要がたくさん入っても
製造コストが高くなると
決算が悪くなります。
これから、さらに物価高となり
原油価格が再上昇し始めれば
5302(日本カーボン)は
急落します。
原油価格が永遠に上がり
続けることはなく
エネルギー革命が起きるとも
言われていますので、
5302(日本カーボン)を安値で買う
チャンスでもあります。
読んで頂きありがとうございました。