「漫画描きオタク」が考えるべき中年以降の人生設計
趣味が生活に占める割合が高い「オタク」。中でも「漫画描き」は、「時間」と言う意味でも生活の多くの部分を趣味に注ぎ込んでいます。
漫画って、シナリオ、脚本、演出、作画と、全てにおいて作者がオーサリングするという、個人の投資があまりに多い趣味ですよね。
女の子キャラのアホ毛の傾きの角度から、背景にある草一本まで、作者の大小さまざまな意図がこめられてます。(まあ、デジタルツールの「ブラシ」で適当に入るものも最近は多いですが)
就職したら、死ぬまでの趣味スケジュールを考えた方がいい!?
仕事しながらの趣味は時間的にもスタミナ的にもしんどいです。個人のスキルや作風、作画の描き込み度合いにもよりますが、16ページの漫画だったら2カ月くらいかかるかと。
そうすると、年間に5~6作しか描けない計算になりますね。
漫画描きなら誰でも、ネタ帳を作っていると思いますが、私は自分が「いつか描きたい漫画」のネタが、プロットまで書いたものだけでも20個あります。そのうちの半分は30ページ越えです。
10年以上かかりますよね?
ていうか、今の私は16Pなら3カ月はかかる感じです。
社会人になった時点で、アマチュアでの自分の漫画制作スケジュールを立てておくべきだったと反省しきりです。
もっと20代のうちにたくさん漫画を描いておけばよかった。もっとスキルを上げて、作画スピードと量産スキルを高めておくべきでした。
30代で描きたいプロットを厳選して、「死ぬまでにこれは描きたい」を見つけて、それに必要なモノ、コト、スキルを把握&準備しておくべきでした。ていうか、さっさと着手しておくべきでした。
今わたしは、これらをおざなりにしてしまったことで、猛烈に焦ってモロモロに着手しています。
で、いま描きたいネタを全部描くと75歳、という試算がでて、結構落ち込んでいます。
社会人になると色々あるよ
結婚すれば、自由な時間は家族優先になります。配偶者が趣味に理解あれば大分違いますが、それでもお互い「趣味友」としてだけでなく、生計をたてていく「家族」として接する責任ができるのは言うまでもありません。
またもちろん、子供が出来ればそっちが最優先です。
結婚をしないとしても、仕事でベテランになっていけば、面倒を見る後輩や部下、チームができてきます。 家で仕事はしないにしても、心労は桁違いに増えます。つまり、可処分時間を「休息」にあてる割合が当然増えます。
40~50歳ともなれば、ぼちぼち親の介護が始まります。親と話が通じるうちは特に問題はないでしょう。でも…覚悟はしておいてください。
作品嗜好で漫画趣味続けるなら、人生設計たてましょう
「人生設計」なんて大げさな言い方はアレかもですが、「制作スケジュール」は立てましょう。
描きたいお話を、欲しいクォリティーを満たして描けずに死にたくないですよね?
漫画を描く趣味と言っても、特に「これを描きたい!」というわけでもなく「その時々で人を楽しませたい」という、エンターテイナー的なスタンスの人もいます。 そういう人にとっては、そこまで「描きたい話」「人生設計」はおおごとで無いかもしれません。
それでも、誰でも「死ぬまでに描きたい話」の1つや2つはありますよね?
日本人の平均寿命は延びているとはいえ、「漫画を描く」という心身合わせての大業に耐えるパフォーマンスは、そんなに長い期間は発揮できません。時間的にも体力的にも。
以上、40越えでいろいろ後悔している私のメモでした。
付記:善後策はデジタル特化?
善後策は、デジタル漫画ツールに思ってます。
いま私は iPad pro を液タブにして「Procreate」で漫画を描き、「メディバン」でスクリーントーンや集中線を付けて描いています。
これだけでも、アナログで書いていた時の10倍くらいの効率アップになっています。
ていうかむしろ、こういうツールが無ければ漫画ムリでしたね…。
アンドゥ・リドゥといったやり直し機能は当然として、機能ブラシやフィルタ、ベクター描画など、やれることを拡大しつつのスピードアップは21世紀漫画作画の軌跡ですね。
漫画作成スピードをアップさせるためには、こういったデジタルツールにもっともっと習熟していくのがカギに思います。
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