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【蝶毒】真島が百合子との結婚を受け入れた理由について

■初めに

「蝶の毒華の鎖」(通称「蝶毒」)という乙女ゲームにおいて、
真島が百合子との結婚を受け入れた理由について、
真面目に考えてみました。

推測、記憶ベースの話を多く含みます。

また、真島芳樹という男について語るには、
どうしてもネタバレを含まざるを得ません。

そのため、ゲームをプレイ済みの方、
ネタバレOKな方のみ読んでいただければと思います。

今回は以下の三つのエンディングについて触れています。

  • おかしな姫様エンド

  • 上海愛玩人形エンド

  • 女探偵エンド(トゥルーエンド)

  • 秘めた思いエンド(真島ハッピーエンド)

数ある真島に関するエンディングの中で、
今回、説明がしやすそうなものを選びました。

■結論

長いので、初めに結論を言います。

ゲームをプレイした方にとっては当たり前と思います。

ですが、このnoteにて、
それを改めて考えてみましたので、
最後まで読んでいただけると嬉しいです。

真島の視点から
分かりやすく書いた結論は以下の通りです。

百合子は俺(真島)と結婚したいって言ってるし、
俺も百合子と結婚したい。

それが俺たちの幸せには違いない。

けど、それは血筋的に難しい。

でも、今(百合子が女給として働いた時点)は
もうそれを選ばなければならないところまで
追い込まれてしまった。

なら、もうこの地獄であり、天国のような運命を受け入れるしかない。

ざっくり、真島が思っているのはこんな感じかなと。

■幸せな結婚は真島にとってハードルが高い

なぜハードルが高いのか。

幸せな結婚、
すなわち人として真っ当に
真島自身が百合子と一緒になることを選ぶ、
幸せな結婚生活を送る、

これには、相当な条件が揃わなければ難しいと考えました。

以下、具体例を挙げます。

例えば、
真島は女探偵エンドで百合子と腹を割って話したものの、
それでも百合子と一緒になることは選びませんでした。

恐らく兄としての優しさがあったり、
常識などを鑑みて、頑なに拒んだと考えられます。

仮に一緒になったとしても、歪んだ形が大半でした。

今回とりあげるおかしな姫様エンド、
上海愛玩人形エンドがそうです。

(そもそも兄妹で夫婦になる時点で真っ当ではないのですが、
それは置いておきます。

あくまでも血筋を超えた愛情・結末を
描きたいのであって、
「常識」というのは蝶毒が描きたいことではないと思いますので)

■前提:真島の中の本能と理性

突然ですが、
そもそも、真島の中には本能理性があります。

彼が百合子と共になることを自ら選ぶには、
恐らくこの2つを同時に納得させるに足る状況で
ある必要が必須、と考えました。

なぜこういう風に考えるかといいますと、
論理的に考えやすくなるからです。

本能と理性を、以下のように定義します。

(オリジナルの発想は私ではないので、悪しからず。
アイデア元リンクは以下↓)

  • 本能→無意識の内に近親を欲し、愛する血。彼自身では制御不能

  • 理性→自らの生まれから沸き上がる近親相姦への強い憎悪、嫌悪

まず、話を分かりやすくするため、
このバランスが崩壊したケースを見ていきます。

・おかしな姫様エンド (本能有利)
堕ち切った野宮家で真島の精神が参ってしまい、
理性が完全にぶっ壊れている状態です。

・上海愛玩人形エンド (本能有利)
真島は、事故に遭った百合子を見て、
本能の箍が外れてしまい、
発作的に上海へと連れ帰るという内容です。

事故に遭った人をすぐ連れ去る時点で、
理性というものがないということが察せられます。

・女探偵エンド (理性有利)
上記2つとは逆に、
本能よりも理性が上回った状態と推察されます。

真島と百合子は互いの本当の関係について共有し、
百合子が一緒になりたい、といった趣旨のことを言った際、
真島は、それはダメだ、と拒否しています。

(近親同士だと奇形児が生まれてしまうとかなんとか、
そういった倫理的理由を挙げていた記憶があります。

このことからも、理性的な判断を下していることが分かります)


おかしな姫様エンド、上海愛玩人形エンドについては、
真島も「堕ちた」環境の中での幸福感に満たされています。

全うな環境下での幸福感、という完全プラスの感情には
あまり満たされていないように見えます。

また、女探偵エンドでは明確に描写されませんが、
百合子と別れる際、
名残惜しそうな真島の姿が描かれています。

(Switch版ではある描写が追加されました。
知らない方もいるかもしれませんので、明確には書きません。

短い描写ですが、
真島も百合子を強く欲していることがうかがえます)

このことからも、上記三つのエンディングでは、
真島は良き幸せを手に入れたようには見えません。


これらを鑑みると、恐らく、

真島の中で本能と理性のバランスが崩れてしまっては、
百合子と肉体的に一緒になったとしても真の幸せは得られない

と推測します。
(おかしな姫様エンド、上海愛玩人形エンドのように)

または、理性的になって別れたとしても、
決して心は満たされないようです(女探偵エンド)。

そして、真島と一緒になる時には、
百合子もまともな肉体・精神状態でなければならないと思います。

(目が見えない、精神的に幼稚になる、という状態ではなく)

つまり、真島が自身の中で本能と理性とのバランスがとれ、
かつ、百合子も安定した肉体・精神状態になる。

これが秘めた想いエンド、
つまり真島ハッピーエンドになった、
という見方もできると考えました。

しかし実のところ、
秘めた思いエンドでも、
真島の中で本能と理性の葛藤は続いています。

が、「幻想秘話」というファンディスクの中において、
この葛藤は一つの終着点を迎えます。

そのため今回は、秘めた思いエンドが
一番まっとうに真島が幸せになれる結婚のエンディングである、
と位置付けています。

■本能と理性を納得させる

近親相姦を憎悪していた真島が
自ら進んでその道を選ぶには、
とにかく理性を上手く丸め込む必要があります。

真島の理性を納得させるに足る理由づけが、
どうしても必要なのです。

そのために物語的には、
百合子は家出し、女給をやる、
という強硬的なことまでやらざるを得なかった、と考えます。

これを前提とし、
改めて、秘めた想いエンドで
真島が百合子の求婚を受け入れた理由を考えていきます。

本能と理性、
それぞれに「百合子との結婚=最善」と
納得させられるだけの理由です。

▼本能を納得させる

・血筋
これはそのまま、真島自身が百合子と一緒になりたかったからです。
率直に、交〇したかったということ。

・百合子の願いを叶えたかった
自分の推測が多分に入っています。

血筋からさらに派生し、
比較的なポジティヴな理由として考えられます。

真島と百合子が初めて出会った時の描写や、
百合子がカフェエから去った後の真島との会話で、

「どうしても相手が愛おしく見えてしまう」という
主旨の内容があります。

つまり、近親相姦の血が流れる真島と百合子には、
以下の図式があると考えられます。

近親相姦の血が2人の中に流れる

その血には無意識に互いを欲するような力がある

真島と百合子は互いを愛おしく思い、求める

彼らに血が流れる以上、
相手を思いやらざるを得ないということです。

世界一大切な百合子が自分を欲しているのであれば、
それはもう受け入れ、百合子を笑顔にしてやる他ない。

相当な推測が入りますが、
自分が愛する以上、
百合子を幸せにしたい、と真島が望んだのだと考えます。

女給として働くという強硬的なことを実行した、
それ以前に実行することを決断した時点で、

百合子にとって「自身が幸せになる道」というのは
真島との結婚以外にはあり得なくなってしまっていたからです。

この願いをかなえてやりたい、という気持ちが
兄として、百合子に恋する者としてあったんじゃないか……
と思っています。

(メタ的な話をしますと、
プレイヤーが「疲れた」を選択するのではなく、
諦めずに「結婚したい」を選択した時点で、です。
ロードしてやりなおさない限りは不可逆です。)

▼理性を納得させる

・諦め
理性といいつつ、感情的な話がでてきますが……。

百合子は真島と結婚するため、
家出して、平民のように働くという真似までしました。

真島としては、
これ以上百合子が何をしでかすか分からなかったから、
と考えた可能性があります。

この時、真島はやや諦めかけていた様子でした。
(と何かのSSに書いてあったはず、と記憶しています……)。

・理屈
秘めた想いエンドでこの後、
「子を成す能力を持たない自分が百合子と一緒になれば、
血筋は自分たちで絶えることができる」と言っている通りです。

とはいえ、百合子を連れてカフェエから出たばかりで、
少し興奮気味であろう真島が
ここまで頭を働かせられたかは微妙です。

前々からこの理屈を考えて納得し、
ひとりで夢想はしていたものの、

これまでは近親相姦への憎悪で本当の欲望を有耶無耶にしていた、
ということは十分考えられます。

■終わりに

今回は勝手な定義の元、色々と考えてきました。

そつなく振舞う真島の中では、
こういう葛藤があったんじゃないかなーと思うと、
また少し、彼への理解が深まった気がします。

また、話がより複雑になりそうなため、
今回は扱わなかった氷の女帝エンドや、
真島が百合子を殺すに至るパターンについても、

いずれ語っていければと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

また、
蝶毒について、ネタバレ前提にはなりますが、
他にも考えてみたり呟いたりしています。
良ければご覧ください。

ミスを見つけたり、
感想等ありましたら、コメントしていただけると嬉しいです!!!



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