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ヒトデの宝石

今回の話題はヒトデです。写真を整理していた時にヒトデの写真を見つけたのと、現在話題のポケットモンスターsvに出てくるドヒドイデにひどくやられたためです。ヒトデの属する棘皮動物は変わった動物で、専門的なことは書けませんが、私が水族館で唯一飽きずに眺められる動物です。

和名:ヒトデ綱
学名:Asteroidea(綱の名称)
分類:棘皮動物門(ヒトデ, ナマコ, ウニ綱がある)
生息: 浅い海から深海, 熱帯から極地まで広く生息するが海にしかいない

釣りの時にひっかけてしまったヒトデ。腹側の水管が素敵です。苦手な方は下の動画は避けてください。

ヒトデのヒミツ

棘皮動物が変わった動物だと私が思うのに幾つか理由があります。1つは、海にしか生息していないことです。川や陸上に生息している種がいないだけでなく、他の動物に寄生している種類もいません。なぜ、このような進化をしたのかはわかりませんが、私は浸透圧の調節にエネルギーをさかないようにするためではないかと考えています。
2つ目は、管足という器官を持っていることです。この器官は、名前の通り移動のための運動器官である足なのですが、ガス交換(我々でいう息を吸う)や摂食など多くの役割を兼ねています。ヒトデはひっくり返すと多数の管足が見えます。ウニではトゲの間から透明の管が出ているので、機会があればじっくり観察してみてください。個人的にこの管足を観察するのが好きで、水族館で魚ではなく管足をずっと見つめていました。

最後に、ヒトデの星形についてです。ヒトデと聞けば星形をイメージすると思いますが、これは五放射相称という棘皮動物特有の形です。ちなみに、ヒトは左右対称で、イソギンチャクなどは放射相称という形です。水管系と呼ばれる私たちヒトの血管系と同じ役割を持つ管が、体の中心から5方向に広がっており、これが星形の仕組みになっています。

フリーハンドで見にくいとは思いますが、相称というのは中心から広がっていく感じです。

ヒトデの寄生虫

ヒトデにはシダムシと呼ばれる甲殻類が寄生しています。とても綺麗な寄生虫であるため一時期探していました。少し余談になるのですが、私の住んでいる兵庫県(南部)ではあまりヒトデを見かけません。埋め立てなどの工事が行われていたのが原因かもしれませんが、青森でねぶた記念館の防波堤を見た時に大量のヒトデがはりついており驚きました。
ヒトデを思うように得られなかったことからシダムシの発見には至りませんでした。調べてみると日本のヒトデにはあまりシダムシは感染していないようです(Saito et al., 2020)。寄生率(感染されていたヒトデの個体数/検査したヒトデの総個体数)は、一部除いて10%未満です。海外では70%ほどであったので、日本ではマイナーな寄生虫なのかもしれません。
ちなみに、この寄生虫がヒトデに何か影響を与えているのかはわかっていません。というか、どんな種類のシダムシがいるのかもわかっていないので、発見したら新種のような感じです(個人の感想です)。三重県の鳥羽水族館熊野灘を定期的に調査しているのですが、そこから一気に3種の新種が発見されたこともありました。

個人の感想です

今回の投稿は、根拠となる文献はほとんどなく個人的に興味のあるヒトデについて述べただけです。数年前にシダムシをさがそうと思ったきっかけも、研究したいというよりはサンゴみたいで綺麗だからでした。このシダムシはどちらかというとフジツボの仲間に近い甲殻類です。人によってはフジツボがエビやカニと同じ甲殻類というのも驚きかもしれませんが、シダムシもサンゴなどではなく甲殻類です。寄生性の甲殻類は綺麗なものが多いのですが、幼虫のころはみなさんもご存知のミジンコみたいな形をしています。成長に伴ってしだいに姿を変えてサンゴのようになります。寄生性甲殻類の専門である鹿児島大学理学部に上野先生が、寄生性甲殻類を宝石(アクセサリー)のようだと言っていましたが、シダムシはまさにその通りの動物だと思います。

【参考文献】

Saito, Nobuhiro; Wakabayashi, Kaori; Moritaki, Takeya (2020). “Three New Species of Dendrogaster (Crustacea: Ascothoracida) Infecting Goniasterid Sea-Stars (Echinodermata: Asteroidea) from Japan”. Species Diversity 25 (1): 75–87

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