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酵素ダイエットは絶対痩せない!酵素ドリンクや酵素スムージーを飲んで痩せない理由

酵素ドリンクや酵素スムージーを飲んでも痩せません!
「酵素」を知ればその理由は簡単です!

1. 酵素ダイエットとは?

酵素ダイエットとは、野菜や果物の中に含まれている「酵素」をドリンクやスムージーなどにして飲むことで、その酵素が食べ物の消化を早くしたり、代謝を上げたりしてダイエット効果が期待できるそうです。

「酵素スムージーを朝食代わりに1杯飲んで、スッキリ痩せられる!」といったキャッチコピーのある書籍も出ているみたいです。

2. そもそも酵素とは?

そもそも酵素とは何なのでしょうか?

「酵素」とは、身体の中で起こる様々な生体反応、化学反応に対して「触媒」として働きます。

触媒とは、「それ自身は変化せずに、他の物質の反応の速度に影響を与える働きを持つもの」と定義されています。

つまり、「酵素自身は変化をせずに、生体反応や化学反応がスムーズになるように影響を与えるもの。」と理解していれば問題ありません。

酵素自体はとても小さい物質なので、身体の細胞内に入って触媒として働きます。

そして、この酵素はタンパク質でできているので、温度やpH(酸性なのかアルカリ性なのか)によって活動能力を失うといった特徴があります。

3. 酵素を飲んでも痩せない理由

酵素を飲んだからと言って痩せたり、代謝が良くなったりすることはまず考えられません。

先ほど説明した通り、酵素はタンパク質でできています。よって、酵素ドリンクなどで口から摂取して胃へと入ったら、胃でペプシンというタンパク質を分解する酵素によってその口にした酵素がアミノ酸へと分解されてしまいます。

この時点で摂取した酵素は機能を失います。さらに、胃酸は強い酸性なので、酵素が溶けて働きを失ったりもしてしまいます。

アミノ酸へと分解されたり溶けたりした酵素は、再びまったく同じ形の酵素に戻るなんてことはありませんし、口にした酵素がそのままの形で必要な内臓器官に入っていくこともあり得ません。

この時点で酵素が代謝を上げたりしてダイエット効果を示すということは否定できます。

また、酵素ドリンクを飲んでアンチエイジング効果を引き出すという商品もありますが、同じ理由で、アミノ酸へと分解された酵素が同じ酵素に戻ることはないので、飲んだ酵素ドリンクが体内でアンチエイジング効果を示すことも期待できません。

そしてもう少し補足すると、酵素はとてもデリケートな物質ですし、ちょっとした環境の変化でも影響を受けてしまいます。

酵素が働くには4つの条件があります。

1. 最適pH
2. 最適温度
3. 基質(酵素が反応する物質)の濃度
4. 酵素の濃度

酵素はこの4つの条件を満たした上で働きを示すので、雑菌を加熱処理した酵素ドリンクは「最適な温度」を満たせず、酵素自身のタンパク質が熱変性によって働きを失います。

また、口から摂取した酵素は酸性の強い胃酸で「最適なpH」の条件を満たせずに機能を失うでしょう。

あるいは、基質の濃度が低いために、口にした酵素がほとんど反応しないということも考えられます。

以上の理由を考えれば、酵素を飲んで代謝を上げてダイエット効果を出すということはあり得ません。

4. まとめ

口にした酵素は胃でアミノ酸へと分解されたときに酵素の働きを失いますので、酵素ドリンクやスムージーに代謝を上げるようなダイエット効果はありません。

さらに、酵素はとてもデリケートな物質なので、少しの環境の変化でも影響を受けてしまいます。

仮に酵素ドリンクを飲んで痩せたという方は、単に1日の食事のカロリー摂取量が減ったから痩せたということです。

生化学や生理学をあまりご存じでない方が「酵素」と聞くと専門的な感じがして、効果がありそうと思ってしまうのは仕方のないことだと思います。

しかし、こういったドリンクやスムージー系、サプリメント系を飲んで痩せるということはまずないということを知っていれば、また騙されるということが無くなるかと思います。

【参考文献】
・シンプル生化学(改訂第6版)

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