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校長先生の話はなぜ長い?
「校長先生の話」といえば、なぜか、長い話の代名詞。
もちろん心に残る話はいくつもあるはずなんですが、悲しいかな、退屈な時間として思い出に残ってしまっている人が多いのではないでしょうか(全国の校長先生すいません)。
実際に校長先生の話が何分なのか計測した人は少ないはずですが、「長くて退屈」なイメージが共有されてしまっているのはなぜなのか?
その理由を考えてみましょう。
自分に関係ある?ない?
まずは生徒側が「自分には関係のない話」だと受け取ってしまっていることが理由として挙げられそうです。
これは担任の先生の話と比較してみると分かりやすいでしょう。
担任の先生は30~40人ほどのクラスの生徒に対して話します。一人ひとりに必要なこと、宿題の提出期限や配布したプリントの内容も話すでしょう。だから生徒は、聞かなければ自分が困ることになります。また時には、個別の生徒のことを先生が話すこともあります。自分や親しい友達のことが話題になっていれば、いやでも耳に入ってきます。
一方、校長先生は、何百人という生徒に対して話をしますから、内容はどうしても一般的なことになりがちです。立場上、生活指導や教訓的な内容を話すことも多いでしょう。すると個々の生徒にとってはどうしても「あまり自分には関係ない話」だと感じられてしまうのです。
“キャッチボール”か、一方通行か
もう一つ、これは人によるのですが、話が一方通行になりがちという点です。
少人数であれば、相手の反応を見ながら話したり、会話を交えたりして“キャッチボール“ができます。しかし大勢の生徒に向かって話す場合には、そうはいきません。「夏休みは楽しかったですか?」などと呼びかける方法はあっても、全体としてはどうしても一方的な話になってしまいがちです。一方通行の話は、退屈に感じてしまうものです。
退屈を防ぐ「発問」の活用
ここで校長先生を責めたいわけではありません。「自分に関係ないと感じる話」「一方通行の話」が退屈に感じてしまうということは、その逆を考えれば、相手を引き込む話ができるのでは?ということです。やり方はいくつもありそうですが、ここでは、「発問」を軸として話を展開する方法をご紹介します。
「発問」は主に教育現場で使われる用語で、授業中に教師が行う意図的な問いかけのことを指します。
例えば理科の授業で、肉食動物と草食動物の目の位置について教えるとしましょう。「肉食動物の目は、獲物との距離を正確にとらえるために、顔の前面についている」と最初から教えてしまえば、一方通行になります。
同じことを、「肉食動物の目は、なぜ顔の前面についているでしょうか?」と発問の形で示すことによって、子どもたちは主体的に考え、さまざまなことに興味・関心を持つ習慣をつけることができるのです。
相手が大人であっても、同じことが言えます。形としては一方的に話していたとしても、「この問題を解決するには、どのような手法が考えられるでしょうか」などの問いかけをはさんでみることは効果があるでしょう。そこで少し間を置けば、聞いている人は心の中で自分なりに答えを考え始めるはずです。単純なことのようですが、こうすることで聞き手にとってその話は「自分に関係があること」「双方向」になります。
双方向の意識が、伝える力を高める
スピーチだけでなく、プレゼンテーションや映像などについても同様のことが言えます。視聴者との双方向のやりとりをイメージすることで、ぐっと引き付けるものにできるのです。
私たちファーストトーンは、映像を通じてお客様のメッセージをより多くの人に届けるお手伝いをしています。どんな言葉が相手に響くのか、どんな表現が心を動かすのか――その答えを探りながら、これからも見る人を引きつける映像制作に取り組んでいきます!