平野歩夢とショーン・ホワイト
2大会連続の銀メダルを経て、
北京五輪でついに金メダルを獲得した平野歩夢選手。
絶対王者ショーン・ホワイトとの、ドラマのような名勝負と
感動のストーリーを振り返ります。
絶対王者への挑戦
2018年平昌五輪、スノーボード「ハーフパイプ」決勝。
15歳で臨んだソチ五輪で銀メダルを獲得し、
2度目の五輪に臨んだ平野歩夢。
初めて「ダブルコーク1440」を含む4回転を2回成功させ、
ショーン・ホワイトを上回る95.25点のハイスコアを出しトップに立ちます。
大技成功で絶対王者を逆転し、優勝をほぼ手中にしたかと思われましたが…。
追い込まれたショーンは、平野と同じ構成で最終滑走に挑みます。
そして、自身初の連続4回転技を成功させ97.75点をたたき出し、
大逆転でオリンピック3度目の金メダルを手にしました。
激闘を制したショーンは、平野に対し
「彼の挑戦が、僕を後押ししてくれた。」
と五輪史に残る名勝負を繰り広げたライバルに敬意を表しました。
新たなる敵…
2022年北京五輪、スノーボード「ハーフパイプ」決勝。
前年の東京五輪にスケートボードで出場し、
夏・冬両方の五輪出場を果たした平野は、さらなる進化を遂げていました。
平野は、誰も成功したことのない超大技「トリプルコーク1440」を、史上初めて成功させます。
名実況とともに歓喜にわく観衆でしたが、
数10秒後、驚きとため息に代わります…。
平野の得点は91.75点……。
暫定1位スコット・ジェームズの92.5点に及ばず2位だったのです。
納得のいかない採点のまま、最終滑走(3回目)を迎えました。
王者のバトン
今大会での引退を明言していたショーン・ホワイト。
最後滑走は途中で転倒し、4位で競技生活を終えたショーンの目には涙が浮かんでいました。
長く王者として君臨続けたレジェンドに、会場は惜しみない拍手を送りました。
1位のスコットの3回目は失敗、
最終滑走者は平野。
2回目の歴史的快挙と不遇の採点……、彼の心中は……。
しかし、この後、観衆は平野の本当の強さを目にすることになります。
史上初、最高難度の構成を滑り切っても点が出なかった怒りを闘志と集中力に変えた平野は、
再び人類史上最高難度のルーティンを、さらに精度を上げて滑り切ります。
「96.0点!」
平昌で大逆転を演じたショーンと同じ、恐るべき精神力で、
自らが真の王者であることを証明して見せました。
その直後、ショーンが彼のもとに駆け寄り、新王者を称えました。
平野の金メダルを決めた「トリプルコーク1440」は、
ソチ五輪に向けショーンが開発に取り組んだ技でしたが、
ケガが多く断念した、最高難度の超大技でした。
それを、ただ一人、平野だけが完成させ、
絶対王者ショーンのバトンを受け継ぎました。
試合後のショーンの言葉には、たくさんの思いが詰まっていました。
「僕も歩夢を応援していた。彼を誇りに思う。」
平野少年の憧れだったショーンは、技を磨き急成長する平野にとって、
いつしかライバルとなっていました。
数々の名勝負を繰り広げた2人の激闘は、互いを成長させ、
ハーフパイプ界のレベルを引き上げました。
長きに渡る熱い闘いの末、ついに世界の頂点をつかんだ平野歩夢。
新王者の魂の滑りを見届け、去っていくショーン。
互いへの敬意と感謝にあふれたラストシーン……
2人の英雄が、
スポーツの素晴らしさと、
チャレンジを続けることの尊さを、教えてくれました。
Twitterアカウント:@FirststepRev
Twitter ID:1460748556537856000
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?