20190516
「こういうことを理路整然と喋るって難しいんですよ。気持ちだって毎日揺れてますし。患者にだって会いたくない時もあるし。」
こう仰ったのは水俣病センターの方。
今までのゲストスピーカーは滔々と話していたが、今日のゲストは言葉を探りながら話していた。
正直なところ「テンポ悪いな〜、今日はハズレ回かぁ」みたいに思っていた。
でも、そうじゃなかった。
ステージの上に立っている人が、悩みもなく、伝えたいことをあるがままの感情で、話しているなんてそんなことはないのだろう。
全員が不完全で、全員が『淡い』の中で生きている。
もちろん舞台に上がっている人も。
「苦しんでいる人間が苦しんでいると言うことがどれだけ苦しいか」
誰の中にだってある、言えないこと。
ずっと喉に刺さっている魚の骨のようなもの。
そんな痛みを感じながら、共有するための言葉を探す。その時にいて欲しいの寛大な聞き手だ。
話し手が自分の言葉を見つけられたなら、そこにいる聞き手は救世主になっているのかもしれない。