ランナーを悩ませる股関節の詰まり(Part1)
こんにちは、FIRST TRACK 理学療法士の佐橋です。
ランナーの動き作りに携わる中で、”股関節の詰まり(動かしにくさ)”を訴えられることが多くあります。
股関節が動かしいにくい状態で身体を無理に動かすことはランニングエコノミーの低下に繋がり、ヘルニアや鼠蹊部痛、疲労骨折などの怪我にも繋がっていきます。
今回のnoteは股関節の詰まりを考える為に必要な知識をPart1とPart2に分けて解説していきます。
まずPart1では”股関節の詰まりの原因”について理学療法士(機能解剖学)の視点から説明します。
次回のParr2では解消する為のトレーニングを紹介します。
股関節の詰まりの原因
股関節の詰まり感を感じる時には関節の中では何が起きているのでしょうか??
ランナーに起こりやすい詰まりの原因を2つ紹介していきます。
原因1)股関節の運動軸がズレている
股関節は球関節であり、球(骨頭)の上に天井(臼蓋:きゅうがい)が覆い被さっているような構造をしています。
その中で球が転がったり、滑ったりする事で股関節が動いています。
また、関節のおよそ中心に運動軸が通っていて、その軸を中心に股関節が動いています。(図2:下記YouTube)
このように本来あるべき関節軸で関節が動いている状態を、専門的には”求心位が取れている”と表現します。(下図3左)
上図3右のように本来の関節軸からズレていると関節の天井を圧迫する為、”詰まり感”の原因になります。
筋出力の観点から見ると、インナー(停止部が関節軸から近い筋)の活動が不足していると求心位を取ることが出来ません。
股関節屈曲に当てはめるとインナーにあたる大腰筋の活動が低く、アウターにあたる大腿直筋などの活動が高まると求心位が取れず詰まり感の原因となります。(図4:下記YouTube)
インナーとアウターどちらかが大事という訳ではなく、インナーで求心位を安定させてアウターで関節運動の出力を上げるというのが安全で効率的な関節運動です。
柔軟性の観点から見ると、関節運動に拮抗する筋の柔軟性が低下していると求心位が取れなくなります。
股関節屈曲に当てはめると、拮抗する伸展筋である臀筋群の柔軟性が無いと詰まりの原因になります。
原因2)骨盤との不適切な連動
求心位が取れていても、腿を上げる際に骨盤が前傾位(反り腰)になっていたり、過剰に回旋していると図のように天井が落ちてきているような状態になるので求心位が取れていても詰まります。(図5)
ランナーの身体を見ていると、股関節の詰まりの原因として「骨盤との不適切な連動」も非常に多いです。股関節のストレッチやトレーニングをいくらしても詰まり感は取れない状態になっているので注意して下さい。
おまけの知識
股関節は少し脚を外に開いたポジションで運動軸を持っているので大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)など内旋要素の強い筋で腿を上げるのも詰まりの原因になります。Knee Inの接地も同じ理由でNGです。
まとめ
結論としては、
” 関節運動に関わる柔軟性や筋出力に問題が無く求心位で動いていること ”
” 骨盤と股関節が適切な連動で動いていること ”
が股関節の詰まり感を解消する為に大切なポイントです。
次回のnoteでは上記の2つのポイントを押さえる為のエクササイズを紹介します!
執筆者:FIRST TRACK理学療法士 佐橋
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