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アライメントとは?怪我をしにくいフォームとは?に理学療法士が回答します

こんにちは、FIRST TRACKの佐橋です。
痛みや違和感を抱えている選手から質問される、「怪我をしにくいフォームとは?」という問題に対して私たち身体の専門家視点での回答をしていきます。

昨今、正しいフォームを表す言葉として”アライメントが整っている”という表現が使われるようになり、
「アライメントってなんですか?」と言う質問もされるようになりました。

一般的に理学療法士はこの”アライメントを整える”ということに優れているので、
このnoteではアライメントという言葉を整理しつつ、怪我しない効率的なフォームを考えていきます


アライメント(Alignment)とは

アライメント(alignment)と言う言葉を辞書で引くと、
『配列、整列する、並べる』という意味があります。

元々は自動車の整備用語として使われる方がメジャーで、
ホイールアライメントという自動車のホイールの整列具合を表す言葉として使われているようです。

人の身体や動きにおいては、
『安静時や動作時における骨格の配列』を表しています。
それが運動力学的に効率的である状態を”アライメントが整っている”と言います。

逆に骨格の配列が崩れている状態のことは、
マルアライメント(Malalignment/骨格の配列異常)と表現します。

この骨格の配列が崩れいているというのは比喩では無く、物理的に崩れています。
そんな状態で走り続ければ身体はどこかで壊れて、怪我に繋がります。

そうならない為には自身の身体のアライメントを理解して、正しいアライメントにコントロールできる必要があります。

ここからは少しマニアックな話になりますが、
ランナーに起きやすいマルアライメントの話になります。

ランナーに起きやすいマルアライメント

胸郭-骨盤のアライメント

まずは体幹部とも言われる胸郭-骨盤のアライメントについてです。

図1)文献1より作図

②の姿勢はアライメントが整っているのに対して、①や③はマルアライメントになっています。

①のように胸郭が前方に崩れている姿勢になると骨盤は後方に崩れやすくなります。
逆に③のように胸郭が後方へ崩れた姿勢では骨盤は前方に崩れやすくなります。(スウェイバック位)

図2)骨盤-胸椎のマルアライメントによるRRA(腰椎前弯の回転変化)への影響

さらに胸郭と骨盤のアライメント変化に伴って、脊柱もアライメントの変化が起きてきます。
①の姿勢では脊柱の後弯が減少し、③の姿勢では過剰な胸椎後弯と腰椎レベルでは強い前弯が生じてしまいます。(反り腰)

ランナーを見ている印象としては①や③のアライメントが非常に多く、
これによる過度なブレーキ要素の増大や股関節の不活動などによるランニングエコノミーの低下が起きています。

足部-大腿のアライメント

次に脚(足部-大腿)のアライメントについてです。

図3)ランナーに起きやすいマルアライメントのそれによるストレス

ランナーに起きやすいマルアライメントとしては図3の左の足のようにアーチが低下する扁平足や踵が内に倒れる回内足、つま先が外に向いている外転足などがあります。

これによってアキレス腱や足底、中足骨にストレスが集中することで炎症や疲労骨折を引き起こします。

図3の右図のように膝関節周囲では下腿が内に捻れることによるKnee Inや膝関節の外に開くことによるO脚(内反・内捻)などが頻発します。

これによって腸脛靭帯や膝蓋大腿関節、半月板にストレスが集中することで炎症や疲労骨折引き起こします。

図4)足部のマルアライメントから連鎖する体幹のマルアライメント

図4のように足部のマルアライメントから連鎖して体幹部まで影響を与えることも珍しく無いので注意が必要です。

走ることによるアライメントの変化

陸上競技のように単調な動きを繰り返している人はアライメントの変化が起きやすいです。

図5)マラソン完走前後の足部アーチ高の経時的変化

例えば、マラソンを走った後にはアーチ高が5mmほど低下するそうです。(もちろん個人差はあります)
元々数cmも無いアーチが5mm低下することは問題で、さらにそれが図5にある通り1週間経っても戻ることが無いというのは大問題です。

これはマラソンやアーチのアライメントに限った事ではなく、
日々のポイントや全身のアライメントにおいて怪我やパフォーマンスの低下に繋がる変化が起きている可能性が十分にあります。

逆に良い動きが出来ていれば走ることでアライメントが整っていく選手も多く見てきました。

怪我しないフォームとは?

”正しいアライメントで走る”ことが怪我をしないフォームでありパフォーマンスが高いフォームに繋がります。

図6)左アライメントが崩れたフォーム、右アライメントが正しいフォーム

身体のマルアライメントや動きのアンバランスを把握することで、
怪我なく効率的なフォームを目指していきましょう。

アライメントの評価方法や修正する為のエクササイズについてはこちらのnoteが膨大になってしまうのでご希望があれば別のnoteで追記します。
上記の点について質問があれば、コメントまたは公式LINEの質問フォームよりご質問下さい。

執筆者:FIRST TRACK理学療法士 佐橋

FIRST TRACKではアライメントの調整だけでなく、走りに繋げるトレーニングまで行うことが出来るパーソナルジムを運営しております。
ご興味ある方は以下のリンクから詳細をご確認の上、ご利用下さい。

参考文献:
1)Deed E. Harrison,How do anterior/posterior translations of the thoracic cage affect the sagittal lumbar spine, pelvic tilt, and thoracic kyphosis?,Eur Spine J (2002) 11
2)D B Clement,Achilles tendinitis and peritendinitis: etiology and treatment,Am Sport Md 1984
3)島津ら,バイオメカニクスから見た整形外科,1993

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