叡王戦が終わりましたね
ついに藤井8冠の牙城が崩れる日が来た
今日は、叡王戦第5局が注目を集めた日でした。
対局は、全部は観れなかったのですが終局後の解説を見て、角換わりの大熱戦だったと知りました。
最近の角換わり腰掛け銀は、お互いに金を▲48と△62に構えて、下段飛車に組む形が主流です。しかし、伊藤7段は前にも従来の△52金型の腰掛け銀の将棋を指していましたので、角換わりの得意な藤井8冠を相手にするために、この戦型を相当研究してきたのでしょう。
今回は、前と違い右玉でしたが、後手番なら当然選択肢に入る戦型でした。
印象だったのは銀をタダで捨てる手
今日は午後から用事があり、途中まで観戦して夜結果を知ったのですが、その出かける直前に藤井叡王が指した銀をタダで捨てる手が印象的でした。
abemaの中継で使っているAIもそれと同じ手を指しており、「これは人間にはかなり指しずらい手だろうな~」と思ってみていました。ところが、藤井叡王は小考の末にまさにその▲66銀を指したのだから驚きです。
「この手をほとんど考慮せずに指せるという事は、流れから言って防衛だろうな。」となんとなく思って出かけました。
今回の叡王戦は運命的なものを感じる
ところが、帰って結果を知ると思っていたのとは全く逆になっていました。あの局面からどうやって逆転したのだろうと、棋譜を全部見てみましたが、やはり藤井叡王の方にも、若干のミスはあったようです。
それにしても、今回の叡王戦は運命的なものを感じます。
私の勝手な想像ですが、第3局で伊藤7段が藤井玉を追い詰めるときに見せたもう逃がさないぞという表情は、今日の叡王獲得までも示唆していたようにも思えます。
また、子供の頃に伊藤匠少年が藤井聡太少年を小学生名人戦で負かして、泣かしたという有名なエピソードがありますが、1度あることは2度あるという通り、まさに大舞台で伊藤7段が藤井7冠を泣かす場面が再び現れたのです。
私個人は運命論とか決定論によってすべて決まってしまうのはつまらないと思っているのですが、今日の叡王戦に限っては運命であったようにも思えてしまいます。
将棋で運が味方する時は、例え読み切れていなくても指が勝手に最善を選んでくれる
解説の増田8段も言っていましたが、最終盤に藤井7冠が▲64桂馬と打った手に対して相手をせずに攻めを選んだのは読み切って指したわけではないということです。つまり、直感というか、感覚でその手を選んだのであって、よく言う指運という奴ですね。
上手くいくときは、そのように途中でどう転んでも結果として上手くいってしまうから不思議です。
1人がタイトルを独占するよりも、複数で競う方が見ていて楽しい
以前はあまりの強さから、藤井8冠独占時代がしばらく続くと言われていました。
しかし、ふたを開ければ銀河戦ではベテランの丸山9段が優勝したり、NHK杯では佐々木8段が優勝したりと、ダークホース的な棋士が勝つ場面も所々あって観ていて面白いと思います。
藤井7冠にはこれからも将棋界をけん引する存在であり続けて欲しいですが、今日の叡王戦のようにたまにそこに割って入る棋士が出てくると見る側としては楽しめるのではないかと思っております。
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