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将棋道場の話

前回は大雑把に私の将棋歴を紹介しましたが、所々抜けている部分がありました。これらは内容的にもかなりボリュームがあるので複数回に分けてお話ししたいと思います。今回は、将棋道場に通っていたころの話をしたいと思います。

独学で身に付けた力を試したくなる欲求

受験勉強でも、独学派と予備校派があるように、何か身につけるのに人に教わったり、人に囲まれて勉強する方が集中できるタイプと、基本一人で学ぶ方が向いているタイプと両方いると思います。私は典型的な独学タイプで、将棋も結局は人に教わるというきっかけがなかったから独学という流れでしたが、例えきっかけがあったとしても、やはり一人で学ぶ道を選んでいたかもしれません。

結局は合流する

しかし、独学だろうが結局は人と何かしら交わる時が来ます。受験勉強だって、模試を受けたり、受験当日はみんなと一緒に受けるわけですし、将棋の場合も結局は相手あってのことなので、当然大会に出たり誰かと指すことになります。なまじ、ある程度強くなってくると腕を試したくなるものです。私の場合道場通いの最初の頃は、地元にあった将棋道場に通わせてもらっていました。

普通の民家で将棋

私が通っていた道場は、外から見てもそれと分からないような普通の民家の一室を対局場にしつらえたような場所でした。通りから一本入ったあまり人通りの多くない場所でしたが、遠巻きに将棋道場の看板が掲げてあったのが見えたので、ずっと気にはなっていました。
中の和室には将棋盤が何台も置かれていて、壁一面にその道場での強豪の名前がずらりと貼ってあるようなまさに稽古場という雰囲気の場所でした。そこでは、毎週日曜日に近所の人が集まって、トーナメントが行われていました。私もそのトーナメントに出るために週に1度通っていました。

初めは井の中の蛙状態だった

その道場では、今まで知らなかった地元の強豪と出会いました。
当時20代で棋力は、将棋倶楽部24で1800~1900はあったので、少しは自信がありました。しかし、完全独学でやってきたので将棋の基礎というか、これは当然意識しなければならないという部分がスッポリと抜けていたのです。その道場の席主の80歳くらいのおじいさんは超早見えの早指しでしたが、まったく歯が立ちませんでした。

当時の自分は、ネット将棋で2,3段はありながら玉を囲うことの重要性もしっかりと認識しないまま将棋を指していたのです。人と将棋を指すことでそんな基本的なことに初めて気が付きました。
もちろん、玉を囲わずに毎回居玉でやっていたわけではありません。ただ、意識の上で玉を囲うということの重要性をさほど認識しないまま指していたということです。ですので、相手が定跡書にのっていないような手順で攻めてきた時などに臨機応変に対応したりするということができませんでした。感想戦でおじいさんに「玉はしっかり囲え」と当たり前のことを言われて愕然としたのを覚えています。
こういう当たり前のことをただ漠然と意識していることと、はっきりと自覚し認識して指すことには、将棋の作りに天と地ほどの差がでます。

自分以外のみんなが強豪に思えた

私はお情けで一応その道場では4段で指させてもらっていましたが、その道場では5段、6段、7段という方もいました。普段から対人で将棋を指している人とか、駒落ちもちゃんと指してきている人は将棋の基礎というか土台がしっかりとできているので、指していても安定感があります。
始めのうちは、自分の実力が独学とネットで身につけた即席のものという感じで薄っぺらいもののように思えるときもありました。
しかし、毎週何度もその道場に通うことで、自分の足りない部分を補うことができ、たまにトーナメントでも優勝することができるようになりました。

様々な年齢層の人が集う場所

そこには、もちろん高齢の方やベテランの方も多くいらっしゃって、対局に疲れたら縁側でたばこ吸ったりしてちょっとした憩いの場のようでもありました。また、時には地元の進学校にかよう高校生が将棋を指しに来たりと様々な年齢層の方が集まって将棋を指していました。市の職員の方も何名かいて市民将棋大会の主催もしていたので、秋にある大会の参加メンバーはほとんどその道場に通っている仲間という状況でした。

同年代の仲間も

私と同年代の人も来ていて、その道場では6段で指していました。
24の棋力を聞いたところ2000点くらいらしかったので、当時の私より少し強い感じでしたが、道場での段位は2段階も上という状況。始めはその人とも角落ちでやってた記憶がありますが、道場に通って暫くすると平手でも五分くらいの戦いができるようになり、よいライバルのような感じになりました。やはり、身近に自分の目標になるくらいのレベルの人がいるというのは大事なんだなと思います。

さいごに

この地元の道場で腕を磨き、ここから様々な近隣の、また遠方の道場へと足を延ばしていくのですがその話はまた今度にしたいと思います。
今回お伝えしたかったことは、完全独学で将棋が強くなろうという場合の、落とし穴についてです。独学でも、将棋の実力を付けることはできます。ただ、一人でやっていると気づかないこともあります。
それを補う意味で駒落ちなども疎かにせず、たまには強い人に指導を仰ぐということも大事です。ここさえ気を付ければ独学でも、指導者のもとでやっている人と同じように強くなることが出来ます。

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