詰将棋は何手詰めまで解けばよいか?
終盤を鍛えるための詰将棋
藤井8冠、里見女流、羽生9段などプロのトップレベルで活躍する棋士の多くは、修業時代詰将棋をたくさん解いていました。
一部詰将棋を全くやってこなかったという棋士もいますが、語弊でしょう。プロになった人で詰将棋を全くやってないという人はないと思います。
棋力向上にはかかせない詰将棋ですが、一体何手詰め位を解けばよいか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本日は、普段のトレーニングとして何手詰めを解けばよいか考えたいと思います。
初段を目指すには
やはり、普段解くべき詰将棋の手数は、目指すレベルによって変わってきます。級位者の方で初段を目指すレベルの方は、3手詰めと5手詰めを確実に解けるように練習するとよいと思います。理由としては、3手と5手はそれほど解く負担は変わらないですが、7手になると少しハードルが上がるからです。
アマ3~4段を目指すレベル
アマ初段、2段になった方は、今度は少し手数を増やして3手~9手詰め位を目安に数をこなすことを意識するとよいでしょう。難しいのを解こうとするのではなく、簡単なものでよいので短手数のものを数多く解くことを意識する方がよいです。9手詰めまでスラスラ解けるようになってきたら、11手、13手くらいまでチャレンジしてもよいかもしれません。ただ、アマ4段レベルを目指すのに、それ以上長いものを無理して解く必要はありません。
アマ県代表~プロレベルを目指す場合
先週のアマ県代表の終盤力の話でも触れましたが、アマ4段を超えるレベルを目指すには一桁の詰将棋では少し物足りないかもしれません。実戦においては、十数手~20手くらいの詰み筋が現れることも珍しくないからです。現に藤井8冠も普段解くのは10手台~20手台が中心と話しています。
従って、このレベルを目指す方、もしくはすでにこのレベルにある方は10手台~20手台後半までの詰将棋を中心に解くとよいです。
実際に私が普段詰パラで解いているのも、長くて29手詰めくらい短くて9手とか11手詰めくらいが中心です。
筋トレと詰将棋
これまで述べた、詰将棋の手数の目安はおおよそと考えてください。
しかし、目指すレベルによって手数を上げる必要があるというのは確かだと思っています。筋トレをやったことがある方は分かると思いますが、ウエイトトレーニングにおいては、負荷の少ないメニューを数多くこなしても筋肉は以前よりは発達せず、負荷’(重さ)を少しずつ上げていかないといくら回数だけ増やしても、それ以上の成長は望めません。
それと同じ考えが詰将棋にも言えると思います。今あるレベルから抜けるには、負荷を上げて回数をこなす、ラクに解けるようになってきたらまた負荷’(詰手数もしくは問題の難易度)を上げる、を繰り返すことが必要になってきます。
終わりに
今回の話は以上になります。
将棋において、重要なのは序盤か中盤か終盤か、プロ棋士に取ったアンケートだと、ダントツで終盤と答えた棋士が多くいました。
理由を推測するに、序盤に関しては、いくら研究をしてもそれを実戦で披露してしまえば、たちまち研究されてしまい、長く優位を保つことは難しいことが挙げられます。
将棋は結局玉を詰まさなければならないため、終盤が大事なのは言うまでもないですが、終盤力があることの強みは、終盤力はその人の実力そのものなので、相手にとって対策でどうこうなるものではない、ということに尽きます。
相手に対策されない確固たる実力をつけるために、是非詰将棋を毎日解いていきたいと思います。