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あるがままに
今日、色々な方の投稿を読んでいたのだが、前川拓哉さんという方の、ある投稿に心を打たれた。素直に、私も語ってみようと思う。
マッチングアプリで出逢った彼は、はっきりとは伝えてくれなかったが、話の端々から、精神面でのハンデを抱えている、そんな気がした。
前川さんと同じように、彼も、私に出会って、「『よし、頑張るぞ』と思った」と話していたのを思い出す。
とても真面目な人で、メッセージを送る前は、紙に書き出したものを、時間を空けて読み返してから送るのだと言っていた。
溢れるほどに大好きだと伝えてくれて、貴方だけを真っ直ぐに見ている、と語ってくれた。そして、仕事を頑張るなっちゃんは、僕の目標だとも。
そこに、一縷の不安を覚えた。私は、バリバリ仕事を頑張れる強い人、と思われがちだが、そうではない。これまでに二度、仕事を辞めている。いずれも精神的に参ってしまったからだ。
小心者だから、休職後に元の場所に戻れる気がしなかった。だから、退職という道を選び、今に至っている。
育った環境こそ異なるが、考え方や性格が、驚くほど似通っていて、まるで自分を見ているようだった。
私は自分の脆さを知っているからこそ、彼の脆さを、聞かずとも理解できた。そして、脆い者同士が結ばれることに、不安を覚えた。
同時期、同級生が何人か結婚した。夫となる人は、プロのスポーツ選手や、メガバンクの本社勤務など、錚々たるものだった。
結婚を機に、仕事をセーブした同級生らが、「ゆっくり過ごすのも良いものだね」と言う姿を見て、羨ましく思った。
仕事がつらくて辞めたにも関わらず、意に反して、転職するたびに前職を評価されて引き上げられてしまう。彼が、そこから私を救い出してくれる男性ではないことに、焦った。
好きだけど、他の人を探すべきなんだ。そう自分に言い聞かせ、彼が縋ってくることのない言葉で、理由で、別れを告げた。
忘れようとするのだけれど、日が経つにつれ、自身の過ちを自覚し、彼という人の存在の大きさに、胸が締め付けられる。
連絡先を全部消してしまっていたから、非常識なのは重々承知の上で、勤務先を訪ねたが、11月下旬から出勤していないとのことだった。
一体どうしているのだろう。折り返し連絡してくれるようお願いしたが、彼を大切にしなかった私に、彼が連絡してくることは、もうないのかもしれない。
前川さんの投稿を読んで、彼が幸せでいてくれたらいいなと思った。彼は、とても優しい人だし、本当に素敵な人だから。
文章や言葉に、人柄が表れると思っている。前川さんの投稿から、奥様を大切に想い、人生を前向きに生きようとする気持ちが溢れているのと同様、彼が送ってくれる文章には、いつも温かさが溢れていた。
彼は、きっと幸せになれる人だと思う。血迷って別れを告げてしまったけれど、彼という人を好きになった自分は間違っていなかった、と思えた。
前川さんや、音沙汰のない彼に限らず、様々なハンデや悩みを抱えた人がいるのだと思う。最近になって思うのだが、何かを抱える人のほうが、思いやりや愛に溢れ、心が洗練されて美しい。
前川さんの奥様は、それを心得ておられたのが素晴らしいと思う。私は、大切な人を失って初めて気が付いた。日々、心が痛む。
障がいや、その他の事情で結婚を諦めようとしている全ての人に、優しさと幸せが舞い降りることを心から願っている。
あるがままを受け入れ、あるがままを愛してくれる人が、きっとどこかにいるはずだから。
前川さんの投稿を読んで、彼のことを鮮明に思い出し、涙が溢れた。そして、希望を感じた。ありがとう。
少しずつだけど、前を向いて生きてみようと思う。あるがままに、あるがままに。