楽しかった帰り道
「来てよかった」
曇り空だったけれど、心は晴れ渡っていた。
この人の隣にいると私は幸せなのだ。ふとそう思った。
駅までの道すがら、表札の字が遠くからでも見えたとか見えなかったとか、大学の構内を知っているとか知らないとか、くだらないことばかり話した。
あっという間に駅に到着し、もうサヨナラなのかと落胆した。彼は、初対面でこんなに楽しく冗談を言えた人は初めてだと笑っていた。
その言葉が本当だといいな。
電車に揺られながら、彼との出逢いは幻かもしれないけれど、もしそうだとしても、神様がもう少し幻を見せてくれますようにと、心で呟いた。
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