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先入観という偏見について

同僚のおじさん、エグい程にオタク。某アイドルグループを推していて、地方公演も全部観に行くし、デスク周りもグッズで溢れている。

誰かしらのファンになったことのない私は、正直驚きと、そして…ちょっと引いた。

何がそんなにいいんですか?と思わず漏らした私に、おじさんはDVDを貸してよこした。「これを観たら、彼女達の良さが分かるから」と。

断るのも申し訳ないので、とりあえず受け取ったが、後でよくよく見ると、2時間って…長。考えただけで疲れる。

でも、真面目な性格ゆえ、感想を求められたときに答えられないと失礼だと思い、休日に2時間掛けてちゃんと全部観た。早巻きもせずに。

1時間半を過ぎた頃、ティッシュ片手にボロボロ泣きながら観ている自分がいた。売れないアイドルが、頑張り続ける姿に感動した。

ファンとかそういうのではないけど、同僚のおじさんと、名シーンについて語り合える仲になった。重ねて言うが、ファンではない。あくまで、一般教養の延長線みたいな感じ。

ただ、周りの人達は、なっちゃんがマニアックな会話についていけてる…と、ポカンとしている。その反応を見るのが、実は楽しかったりもする。

おじさんがコンサートで休むときは、どれだけ忙しくてもしっかり仕事をフォローしている。自分に趣味らしい趣味がないから、カウントダウンしながらワクワクするおじさんを見ているだけで楽しい。私の分までワクワクして来てほしい。

おじさんは、コンサートという名の大遠征から帰って来ると、いつも各地の美味しいお土産をくれる。あと、現地での思い出を、スマホの写真を見せながら、あれこれ楽しそうに語ってくれる。

私は、仕事が忙しい時期はどこにも行きたくないタイプなので、おじさんの土産話を聞いて、自分も行った気分になって楽しんでいる。究極のエコ。

同じ課に、若手のイケメン君がいるのだが、実は私、このオタクのおじさんのほうが好きだったりする。好きって、異性としてとかそういうのではなく、なんやろう、人として?

先日、庁舎内で一番最後まで残って仕事してたとき、このおじさん、なっちゃんが心配やからって言って、私が終わるまでずっと待っててくれた。

ちなみに、このおじさん、独身なのだが、理想のお相手の条件が独特過ぎて笑った。めちゃくちゃ真面目な顔して、「泊まりがけでクリスマスコンサートに遠征することを許してくれる女性」って。普通にみんなそれくらい許してくれるでしょって思った。あかんのかな?

とりあえず、オタクに苦手意識を持っていたけど、それは、先入観という名の偏見だったと反省した。全オタクに謝りたい。ごめんなさい。

音沙汰のない彼に対しても、勝手に先入観を持ってしまっていたのかもしれない、と、この一件を通じて思った。

私は民間で働いたことがない上に、余程のことがないと職を失うことのない公務員という世界で生きてきたから、契約社員って聞いて、心配性なので、あることないこと先回りして想像し、尻込みした。

付き合っているわけでもない二人が、子どもができたときの教育費、ほんまに払っていけるのか議論するってなかなかやなと、お互いの生真面目さに、今思い返して苦笑いしてしまう。

つい思い詰めるタイプなので、これでは結婚なんてとてもじゃないけど無理やわ…と思ったけど、今冷静になって考えると、片方が公務員なんやったら別に大丈夫じゃない?と思える。

死ぬわけじゃないし、心配ばっかりするんじゃなくて、この人と!と思える相手となら、勢いで踏み込んでみればよかったな…と、一抹の後悔。

後悔しても過去には戻られへんし、今こんな状況、悲しい気持ちなのは、先入観で物事を判断した自分への罰やなと思う。

教員やってたとき、子ども達に散々、優しさとか思いやりとか言ってた自分が恥ずかしくなる。何も実践できてない自分…。

こういうの、教訓って言うんやろうな。次があるかどうかは分からへんけど、次に生かすしか、もはやなす術がない。うん、頑張ろう。

同僚のおじさんは、推しのメンバーのソロイベントに応募したらしく、どこの席が当たるか、毎日ワクワクしている。

私も、彼から折り返しの連絡ない…って落ち込むだけじゃなくて、なんかワクワクできること見つけたいな。

明日はそういうの、考えてみるかな。
おやすみなさい。

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