保護猫ミーの場合
保護したミーは正当派の野良猫だ。ブルーの目にほぼ白の身体なので魅力的な雌猫である。勿論、かわいい仔猫をたくさん産んできた。
しかし性格が悪い。オンナを張って生きてきているから、オス猫の威厳を借りて、弱い猫や新入り猫等は勿論、追い払う。 自分の仔が大きくなって、気に入らないと追い払う。自分に従順な猫は側にはべらす。そして人間には上手に媚びを売る。
そんなミーだが、会社の敷地の猫が増えすぎたのをきっかけに捕獲することにした。 勿論、避妊をするのだ。会社の猫好きな大工が寂しそうに「もう可愛い子は見られないんですね。」と言った。
手術の後、雌猫は3日間ほどケージに入れたままで様子を見る。ミーはとても元気そうで食欲もある。もういい頃だなと、ゲージから出して会社の敷地猫として生きてもらうべく外に放した。
隠れて彼女の様子を見ていると、まず彼女は、北に向かって走り止まると、考え直したかのように今度は南に向かって走る。要するにどこに行っていいか判らない様だった。
彼女の仔猫も手元にいるプリンを除いて、里親に貰われたし、一斉捕獲した事で縄張りの勢力地図も変化した。捕獲する前は子どもを従えていた事もあり、一匹だけになった今は勝手が違うのだろう。
何度か北へ南へと走っていたが、開けていた玄関から、そっと入ってくる。追い立てるのも可哀想なので静かに見守っていると、保護猫の部屋に戻ったようだった。
そればかりかケージの中でお座りをしている。一斉捕獲した事で縄張りの勢力地図の変化を知ってか知らずか家猫になる事を選んだミー。私は、大きく溜息をつく。面倒を見る猫が8匹で確定した瞬間だった。
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