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イタリア語 時制の一致 6

こんにちは Minori です。ここイタリアでは,オリーブの収穫も終わって,冬に向けてまっしぐらという感じです。雨がほとんど降らず,ただただ暑いだけの夏ですが,太陽が燦々と輝き,カラッと明るい日が続く夏の時期は,気分も自然と高揚してきます。ですが,寒くなり始めると一変,雨がよく降り,日中でも薄暗く寒い。霧も出るし,風も吹く。そんな日が続くと,どうしても気分が落ち込みがちになりますわね。このギャップが,すごいよねえと思いながら過ごしております。

さて,YouTubeで学ぶイタリア語,引き続き今回も時制の一致について考えます。今回取り上げるのは,前回,前々回に引き続き,この方の解説動画。

Simone が投稿する時制の一致シリーズ。今回はその TERZA LEZIONE。主節の動詞が,直説法単純未来の場合の時制の一致です。基本的に,彼女の喋っているイタリア語を日本語に翻訳しながらのご紹介ですが,例によって,ところどころ私が口を挟んだ部分には👧 マークをつけました。それでは行ってみましょう‼️
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それでは早速、今日のレッスンを始めましょう。
今日のレッスンは、直接法の一致に関する3回目であり、最後のレッスンです。今日のレッスンでは、主節の動詞が,《直接法単純未来》である場合のイタリア語文における一致のルールについて見ていきます。

ます先に,この動画は上級レベルのレッスンであることをお伝えしておきたいと思います。つまり、このレッスンは C1 および C2 レベルの学生向けです。このレッスンの内容を完全に理解するためには、《複文》《単文》《主節》《従属節》について,理解している必要があります。また,先立未来futuro anterioreの学習をすでに終えている方でないと,今回のレッスンは少し難しく感じるかもしれません。

では、主節の動詞が,《直説法単純未来》である場合のイタリア語における一致のルールについて、早速見ていきましょう。

《時制の一致のルール》とは、イタリア語の複文において,主節の動詞の時制と従属節の動詞の時制との間に生じる結びつきのルールを指します。

前のレッスンでも述べたように、主節の時制と従属節の時制の間には、《3つのタイプの関係》が成り立ちます。それは,主節と従属節の動作が《同時》に起きる場合もあれば、主節の動作が従属節の動作よりも《前》に起こる場合や、逆に主節の動作が従属節の動作より《後》に起こるといった,異なるタイミングで起きる場合があるからです。これらはすべて、現在・過去・未来という時間の流れに沿って成り立っています。

では、主節の動詞が,《直説法単純未来》である場合のイタリア語における一致のルールを早速見ていきます。もちろんこの場合も、主節と従属節の動詞の時制の間には,anteriorità先行性contemporaneità同時性posteriorità後行性の3種類の関係が成り立ちます。


a. CONTEMPORANEITÀ

最初の関係から始めましょう。これは、主節の動作と従属節の動作が《同時》に起こるという関係で、主節と従属節の動作が同じ時点で起こることを意味します。主節の動詞に《直説法単純未来》を使う場合において,《同時性》を示す関係を作るためには、従属節でも《直説法単純未来》を使わなければなりません。

Saprò che uscirai.
Vedrò quando mi mostrerai.
Capirò perché lo vedrò.

主節:直説法単純未来  従属節:直説法単純未来

これらの3つの例文は、主節と従属節の両方に《直説法単純未来》が使われています。この場合、主節と従属節の2つの動作は,同時に起こりますが、それは《未来》《同じ時点》で起こるということを意味しています。

👧 この動画の中で Simone がいくつか例文を提示してくれているのですが,残念ながらどれも意味不明なんですよ。ヴァレにも確認しましたが,ヴァレも意味が全く分からないとのことでした。まあ,とにかく,主節の動作・出来事も従属節の動作・出来事も《未来》に起こることで,それが《同時》である場合,主節にも従属節にも《直説法単純未来》を使うんだという点だけしっかりおさえてください。

👧 よく考えると,主節にも従属節にも《直説法単純未来》を使った文章って作りにくいのは確か。そこで,ChatGTP にお願いしていくつか例文を作ってもらいました。

Sarò felice quando mi dirai la verità.
君が本当のことを言ってくれたとき,私は幸せになるだろう。
→ 本当のことを言ってくれたら嬉しいな。
Capirò quando mi spiegherai tutto.
君がすべてを説明してくれるとき,私は理解するだろう。
→ 全部説明してくれば,分かるよ。

b. ANTERIORITÀ

次に、主節の時制と従属節の時制の間に作られることができる2つ目のタイプの関係について見ていきましょう。

主節の動詞が《直説法単純未来》で,従属節との間にanteriorità先行性の関係を作るなら,従属節には il futuro anteriore先立未来を用います。すると,主節と従属節の動作との間に《先立未来》の関係を作ることができます。これは、従属節の動作が主節の動作よりも時間的に《手前》に起こることを意味します。

また,主節に《直説法単純未来》が使われているとき、主節と従属節の間に|anteriorità の関係を作る場合,il futuro anteriore先立未来以外に,il passato prossimo直説法近過去 l'imperfetto indicativo直説法半過去を使うこともできます。次の3つのいずれかを使うことで,双方に《先立未来》の関係を作ることができます。

l'imperfetto indicativo直説法半過去
il passato prossimo直説法近過去
il futuro anteriore先立未来

👧 驚きです‼️時制の一致のシリーズ1〜3でご紹介した Lucrezia の解説動画では,ここは il futuro anteriore先立未来 一択でした。ですが,Simone はここで《直説法半過去》や《直説法近過去》も使えるよと言っています。半信半疑ですが,引き続き動画を見ていきましょう。

il futuro anteriore先立未来という言葉は、単純未来の前に起こる動作 を意味します。例文を見てみましょう。

Saprò che sono usciti.

主節:直説法単純未来  従属節:直説法近過去

未来のある時点で知ることになる動作  Saprò が、すでに完了している過去の動作 sono usciti に対して,《後・未来》に起こることを意味しています。

Saprò che uscivano.


主節:直説法単純未来  従属節:直説法半過去

この場合も、《直説法半過去》を使うことで、先立未来の関係が作られています。

では、次に、il futuro anteriore先立未来を使った例を見ていきましょう。この言葉が示す通り、il futuro anteriore先立未来《未来における過去》であり、《直説法単純未来》よりも《手前》に起こる出来事を示します。例文を見てみましょう。

Uscirò solo dopo che sarai rientrata.

君が戻ってきた後でのみ,私は出かける。
→ 君が戻って来るのを待って,(僕は)出かけるよ。

主節:直説法単純未来  従属節:直説法先立未来


この文では、主節の《直説法単純未来》の出来事 uscirò が、従属節の未来の出来事 sarai rientrata よりも《後・未来》に起こることを示しています。《先立未来》を使って、時間的な順序が明確にされていることがわかります。

Quando tu sarai rientrata, io uscirò.

君が戻ったら,(僕は)出かけるよ。

従属節:先立未来  主節:直説法単純未来

未来の出来事の中で sarai rientratauscirò の前に起こることを示しています。従属節に《先立未来》sarai rientrata が使われていて,《単純未来》が表すの主節の出来事より前に発生することが強調されています。このように、《直説法先立未来》《直説法単純未来》の出来事よりも前に起こる出来事を示すために使われます。

未来の動作・出来事を述べるとき,主節の動詞に《直説法単純未来》を使うわけですが,例文のように,従属節に《直説法近過去》《直説法半過去》《直説法先立未来》を使うと、主節と従属節の間にanteriorità先行性の関係を作ることができます。
これは、従属節の動作が,主節の動作よりも《手前》に起こることを意味します。

👧 ここで,この場合の主節と従属節の時間の関係性を図で確認します。

anteriorità

👧 主節で表される内容も,従属節で表される内容も,どちらも《未来》に,つまり《これから》起きることです。まず,ここ,おさえてください。ですが,acontemporaneità と違って,banteriorità では,主節の動作が起きる時間と,従属節の動作が起きる時間にはズレがあり,従属節の動作が,主節の動作より《手前》に起きることを意味します。

👧 まず,主節の動詞は《直説法単純未来》です。

👧 これはいいでしょう。では,《単純未来》で表される動作・出来事よりも,《手前》起こる動作・出来事を表すには,時制には何を使ったらいいのかって話です。Lucrezia の解説動画では,ここは《先立未来》一択でした。

👧 ですが,Simone はここに《直説法近過去》《直説法半過去》も使えると言っているんですよぉ。

👧 まじか❓️って感じです。これからのこと,つまり,現在(発話時)と比較して,それよりも《未来》のことを語るのに,《近過去》《半過去》を使うってどういうことですか❓️しかも,彼女が提示している例文,Saprò che sono usciti.
 と Saprò che uscivano. ってなんですか❓️どういう意味❓️ヴァレさぁ〜ん,これ一体どういう意味?
👱‍♂️ この1文だけで考えても分からないよ。これはいい例文とは言えないな。ただ,間違いじゃないよ。確かに《直説法単純未来》で表される主節の動作よりも,手前に起きることを表すのに,未来のことなんだけど《近過去》《半過去》を使うこともある。
👧 ほんと❓️
👱‍♂️ うん。まず,一番分かりやすい《先立未来》を使った例から考えよう。

Comprerò il biglietto appena saranno aperte le vendite.
販売が開始されたら,すぐにチケットを買う。
Inizierò a cucinare quando gli ospiti saranno arrivati.
ゲストが到着したら,料理し始める。
Cominceremo la riunione non appena tutti saranno arrivati.
みんな来たら,すぐに会議を始めよう。

主節:直説法単純未来  従属節:直説法先立未来

👧 うん,これは分かるよ。「(これから)AしたらBする」,「(これから)AしてからBする」「(これから)AしたあとにBする」って表現でしょ。A《先立未来》使って,B《単純未来》を使う。
👱‍♂️ ま,これが一般的だね。で,従属節に《直説法近過去》を使う場合。これはめったにないけど,絶対使わないとも言えない。例えば …..。

Mauro sta per andare via di casa, ma Paola non lo sa ancora. Quando tornerà a casa domani, si accorgerà che Mauro è già andato via.

👱‍♂️ 妻のパオラとの関係を終わらせたいマウロは,これから家を出ようとしている。でも,旅行中のパオラはまだそのことを知らない。しかし,明日,パオラが家に戻ったときに,マウロがすでに家を出ていってしまったことに気づくだろう。という意味。
👧 なるほど。マウロが家を出ようとしていることは未来のことで,これから起きることなんだけど,《近過去》を使うと,未来の時点で,その前に《完了した出来事》に気づくだろうという文脈ってわけか。うーん,なるほどねえ。未来のことでも,パオラが家に戻る未来の時点では,マウロが家を出ていったことは《完了した出来事》だから,それを明確にするために,あえて《近過去》を使うってことだ。
👱‍♂️ …. なんだけど,まあ,私だったらこの場合も《先立未来》使うかな。さらに言うと,実は《先立未来》って,日常会話であんまり使わないんだよね。
👧 へ❓️どういうこと?
👱‍♂️ 例えば,今,君は外にいて,電話の相手に「うちに帰ったら電話するね」と言いたいとする。どう表現する❓️
👧 えーっと,まあ,セオリー通りだと,こうなるわね。

Quando sarò tornata a casa, ti chiamerò.

従属節:先立未来  主節:単純未来

👱‍♂️ でも,こんなのも日常会話なら,どっちも《直説法現在》で言っちゃうよ。

Quando torno a casa, ti chiamo.

👱‍♂️ これで十分。
👧 そうなの❓️なんで❓️先立未来使うのって,面倒くさいから❓️
👱‍♂️ どうだろう。そうかもね。だって,これで通じるからさ。

👧 一方,従属節に《半過去》を使った例をネットで見つけたので,それをお借りしてご紹介します。

Un giorno capirai perché le cose che aspettavi da una vita sono capitate proprio oggi, e capirai che non eri tu ad aspettare, ma era la vita che stava aspettando te.
いつの日か,ずっとあなたが待ち続けていたことが,なぜ,まさに今起きたのか,そして,それを待ち望んでいたのはあなたではなく、運命があなたを待っていたのだと理解することだろう。

👧 これは、自分が待ち望んでいることというのは,自分の意志で起こせるものではなく、何事も人生や運命のタイミングに合わせて進んでいくという考えを示唆しています。人生があなたにそのタイミングを提供してくれる、それが訪れるまで待つことが大切だという教えです。切望する何かがいつ起こるかは自分の意思でコントロールすることはできず、すべて人生の流れに委ねられおり,人生にはタイミングがあり,それは完璧なタイミングで起こるのだから,それを信じて焦らず進むことが大切だと説いています。

c. POSTERIORITÀ

最後に、主節の時制と従属節の時制の間に作ることができる関係の最後のタイプ、posteriorità後行性の関係を見ていきましょう。

これは、従属節の動作が主節の動作よりも時間的に《後》に起こることを意味します。つまり,《未来出来事よりもさらに未来の出来事》
ということ。ですが、イタリア語には「未来よりも未来」を表す時制は存在しません。したがって、posteriorità後行性の関係を作りたい場合は、従属節にも《直説法単純未来》を使うことになります。では例を見てみましょう。

Uscirò perché comprerò delle cose.


主節:直説法単純未来  従属節:直説法単純未来

私が未来に出かけることは、さらにその未来に物を買うことが理由だという意味です。ですが,イタリア語には《未来の出来事よりもさらに未来の出来事》を表す時制はないため、従属節にも《直説法単純未来》を使うしかないというわけです。
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はい,お疲れ様でございました。提示されている例文には少々難がありましたが,教えられることもありました。では,例によって ,
こちらも 1〜3で取り上げた Lucrezia の解説と比較してみましょう。《主節》の動詞に《直説法単純未来》を使う場合の時制の一致です。

二人の解説はほぼ同じでしたが,大きく違うのは anterioritàLucrezia は,ここは《直説法先立未来》一択だと説明していましたが,Simona は,《直説法近過去》《直説法半過去》も使うよと解説しています。ヴァレによると,滅多に使わないが,絶対に使わないとも言えないとのこと。つまり,主節が《直説法単純未来》で,従属節に《直説法近過去》を使っている文章に出会っても,それは間違いではないということです。ここで重要なのは,従属節に《直説法近過去》を使っていても,それは《過去》のことではなく,あくまでも,発話時(現在)からしたら《未来》のことであるという点です。

さて,6回に渡って,時制の一致について考えてまいりましたが,ええ,ええ,もう頭ゴチャゴチャになってますよね。分かります,分かります。次回の7回目で,一旦,整理しようと思います。またお付き合いいただけたら幸いです。

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