大阪の有名店・金龍ラーメンはマズいのか?
あなたは金龍ラーメンをご存知だろうか?
金龍ラーメンは「ラーメン神座」と双璧を成す、大阪ミナミを代表する老舗ラーメン屋であり、特に金龍は、日本昔話の龍をモチーフにしたオブジェのド派手な外装が否が応でも目に付く。いかにも大阪的である。どちらも連日、観光客で賑わっている。
しかし、どちらもあまり僕の好みの味ではない。特に金龍ラーメンはシラフでは食べれたものではない、というのが僕の30年来の固定概念だった。
あくまで好みの問題なので悪しからず。
Don't take it personal.
昨夜、22時前まで心理学の講座を受講していた。気合いの入った講義に熱くなって時間が経つのも忘れていた。僕は夕食を食べておらず腹が減っており、久々に麺でもすすろうかとミナミで店を探した。
しかし、23時近くにはのれんを降ろしている店が多く、千日前の開いている店には長い観光客らしき人々の行列ができていた。
僕はとても列に並ぶ気にはなれなかったので、仕方なしに通りかかった法善寺横丁にあるバーに立ち寄った(何でやねん)。それは寒い夜で遅い時間だったこともあり、クリスマスの夜にも関わらず裏通りに人気が少なかった。
いつも立ち寄るそのバーも客はいなかった。僕はビールを注文し、寡黙なマスターはいかにもプロ、という手つきで見事な生ビールを注いでくれた。泡がきめ細かいのが良い。
3口ほどでビールを飲み干し、次はジントニック。いつものルーティンだ。僕は荒ぶる魂が少しずつ静まるのを感じ、ようやく落ち着いた気持ちになったのでマスターに話しかけた。
「まだ23時やなの、開いてるラーメン屋少ないですよね」
「コロナ以降は閉店の早い店が増えましたね。人手不足もありますし」
「そうなんですね。開いてて、すぐ入れそうなのは神座と金龍くらいでしたわ」
「そうですよね。けど金龍はミナミにしか出店してないんですよね。その点で私は評価してますよ。神座はいろんなとこにチェーン展開してますが」
そんな話を聞くと、大阪LOVERの僕は急に金龍ラーメンが食べたくなった。よく考えたらもう15年以上金龍ラーメンを食べていない気がした。
これは行くしかない。
バーを出た僕は道頓堀の金龍ラーメンへ行くも、観光客が列をなしていたので、踵を返してお笑いの殿堂・なんばグランド花月の横にある金龍ラーメンへ直行した。
自動販売機で食券を買う。メニューは「ラーメン」「チャーシューメン」の二種類のみ。昔は600円位やったのになあ。それでも、昨今ラーメン1杯が1,000円を超えてきているので良心的かもしれない。
カウンターで食券を渡して、席に着く。この店はキムチ、ニラ、白飯が食べ方だ。
さほど、待たずに僕のラーメンができた。
昔と全く変わらぬビジュアル。スープは豚骨ベースの薄くシンプルな味であり、麺はストレート中細麺である。さて、お味は・・・?
うん❓ 美味い・・・⁉️
まさかのまさかである。
あれほど、マズイと思っていた金龍ラーメンが美味いのである。ついに僕の舌もヤキが回ったかと思ってしまった。
おそらくタイミングなのだろう。
寒い夜、空腹、お酒を飲んだ後。クリスマス。
いろんなファクターが混じり合い、聖夜のささやかな奇跡が起きたのである。メリークリスマス。
しかしその後、調子に乗って無料のキムチとニラをドバドバと入れたのが良くなかった。酔った勢いはいつも良くない。
辛ああぁぁ‼️‼️
すっかり激辛ラーメンとなり味は台無しに。しかも香辛料に弱い僕は滝のような汗をスキンヘッドから流すことになってしまった。
なんで、真冬に汗まみれになってるねん・・・。
結局、スープを完飲することはできなかったが、僕いたく満足して店を後にした。だって、あの金龍ラーメンを一瞬でも美味しいと感じることができたのだから。
皆様も大阪にお越しの際は、ぜひ一度金龍ラーメンをお召し上がりください(土産話のネタにはなります)。
*
腕時計を見ると、もう日付が変わろうとしていた。
終電まで時間があまりなかったので、僕は駅への道を急いだ。
ところが、僕はふと足を止めてしまった。
「やれやれ、何でこのタイミングで・・・」
そこには、僕が行かねばならない場所があったからだ。
(to be continued)