消防士が後輩の"現場力"を高める指導するときのコツとは?(2)
前回の続きになります。詳しくはこちらをクリックで
1.自立支援を促すポイント①
「可能な範囲で裁量を与えること」
ここでは例題を基に解説していきましょう。
事例:今週中に在庫をすべて把握するよう指示
上司A 何日の何時に、どの棚を、どのように在庫をチェックするか細かく指示した。
→見落としや記録のミスが生じた。
上司B いつ、どの棚をチェックするか自分でスケジュールを事前に立てさせ、それを確認し、作業に取り組ませる。
→ミスは少なく、より短時間で作業が終了した。
このようにある程度自由裁量が許されていれば、個々の行動について
「なぜそうするのか」を考える機会が与えられ、
結果として熱心に取り組み、より活動を楽しむ。
という結果になります。
この事例を踏まえますと、指導する側はどの場面でどのくらいの裁量権を与えられるか。また指導される側が裁量権を感じられる場面をどう作るか。
これらを検討することが重要になってきます。
消防の業務のなかには、規範や規則が多く自由が利く業務が少ないですが、まずは可能な範囲で行えればとおもいます。
ex:)訓練や点検を行う順番を自分で決めさせる
ex:)雑務を行うタイミングを後輩がやりやすい、効率の良い方法を考 えさせる。また認める。
自分で考えることで行動の意味を自分のなかで消化し、納得して行動ができます。
2.裁量を与えるとき考慮すべきポイント
「裁量を与えるためには、”十分な情報”を与えることが前提」
指導側が裁量権を与え、自由決定する機会を与えても本人に十分な情報が無ければいい判断を下すことはできません。
ただ目的と行動だけを指示し、方法を考えさせることは自立を促すどころか負担を与えるだけです。
そのために十分な情報を与えましょう。
3.指示待ちタイプの後輩はどうすべきか?
「特に注意深く、根気強く自立支援を行う」
後輩が自分で決定することを望んでいない。いわゆる指示待ちタイプの方。
このタイプの方は今までの経験が強く影響し、自分が何を今求められているかばかりを気にしています。
なぜ、自分で選択、決定することを嫌がるか?
→管理されることに慣れてしまい、自立的に行動する本質的な欲求よりも、間違った選択をしたときに批判や罰に対する恐怖が勝ってしまう。
この経験の個人差を理解したうえで指導を行うべきだと考えます。
自分の自由な考えたまま行動できた人
常に統制される環境にいた人
自立支援が整った環境で育った人
各個人の経験によって、受動的な人か、自立的な人か。性格の形成が行われます。
4.個人差にどう対応するか。
「みな同じ標準的な接し方ではうまくいかない」
平均より受動的:指導者はもともと受動的な人にはknow-how教示で接する傾向
→さらに受動的になっていく
「”あいつは指示待ち人間だから、指示してやらないと何もできないよ”と、know-how教示で接しているとなおさら指示待ち人間になる」
平均より自立的:指導者はもともと自立性が強い人にはknow-why教示で接する傾向
→さらに自律的になっていく
このような傾向があるとデータで出ています。
また途中に出てきたknow-how教示、know-how教示の意味はこちらで詳しく
指導者がついついknow-how教示をしてしまいがちな方(指示待ちタイプなど)には特に注意深く、根気よく自律支援を行ってください。
「自立支援を最も必要としているタイプは、受け身で迎合的で反抗的な人。」
5.まとめ
長くなってしまいましたが、あと2つ程度の記事で終えられるよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
それが終わりましたら投資関連の記事も少しずつ書いていこうと思います。