上谷沙弥への解像度を上げる。上谷沙弥三大事件簿

 千鳥の鬼レンチャンでの大奮闘、ブシロードプロテイン祭りでの襲撃動画800万回再生と、間違いなく今年のプロレス界で最も勢いと数字を持っている上谷選手。
 ここにきて急に「上谷沙弥ってどんな人?」と思った人も多いし、もしかしたら上谷沙弥の名前で検索してここに辿り着いた人もいるかもしれません。

 とは言えWikipediaはちょっと無味乾燥ですし、上谷選手本人が説明してくれていますが(優しいヒール……!)、エピソードの部分に焦点を当てると解像度が上がりやすいんじゃないかな、と思いました。

 というわけで、個人的に印象に残っている「上谷沙弥の三大事件簿」をリストアップしてみようかと思います。
 なお、この記事を読んでいる方の中には「3月3日に対戦する、中野たむとは何者?」と思ってる方もいると思います。そちらについては上谷選手と中野選手の関係性についてわかりやすく説明している配信者の方がいるので、そちらの動画をご参照ください。


その1.情報漏洩記者会見

上谷「私的4大巨頭、林下詩美、朱里、彩羽匠」
(会場ざわつく)
上谷「そして、中野たむ……なんで笑ってるんですか!?」
(しばらくして俯く上谷)

記者会見衝撃シーンTOP5 伝説となった上谷沙弥の情報漏洩

 少し解説すると……
 この時、上谷選手は総当たりのリーグ戦に参加する予定でした。リーグ戦で対戦する選手の中で、警戒している4名の名前を出します。
 しかしこの4人の1人「彩羽匠(いろはたくみ)」選手の参加は、この時点では伏せられていました(プロレスでは稀に参加選手を「X」と告知して、当日発表で観客や対戦相手にサプライズ感を出す演出が取られます)。
 この時の上谷選手はXが誰かを知っていて、ついそれを口走ってしまう。そして録画などではなく、一発撮りの記者会見でそれをやらかしてしまい、以後「上谷=情報漏洩」という扱いで、しばらくいじられるキャラになってしまいます。

 思えばヒール(悪役)レスラーのはずの上谷選手が鬼レンチャンで泣いてしまったあの流れも、情報漏洩と言えるのかも。

その2.プロレス人生で1番絶望的な日

 プロレスにはユニットという概念があります。数人の仲の良い選手が集まってチームを組み、他のユニットに対抗したり、時には手を取り合ったり、裏切ることもあったり……(EXILEのHiGH&LOWが好きな人は、あの「山王連合」とか「White Rascals」みたいなチームを、選手が組んでいる……というと伝わるんかなあ……)
 当時、上谷選手はクイーンズクエスト(QQ)というユニットのリーダー格。争っていた大江戸隊というユニットとの存続を賭けて戦い、敗れることでQQは事実上の解散となってしまいます。試合後のインタビューで、QQを守れなかった上谷選手は「プロレス人生で1番絶望的な日」と表現しました(なお、この時大江戸隊を率いていたのは鬼レンチャンにも出演していた刀羅ナツコ選手です)。
 プロレスはアップダウンのある物語です。ここで絶望があったのならば、この先には希望があるのだろう。ここから上谷選手が希望を取り戻す物語が紡がれるに違いない。どこかで刀羅選手にリベンジを果たし、ヒロインに駆け上がるまでの下り坂の部分なんだろう。
 そう思っていた時期が、私にもありました。

その3.まさかのヒールターン

 QQを制圧した刀羅ナツコ選手は、その勢いで当時の王者・舞華選手に挑戦。敵の敵は味方じゃないですが、刀羅選手と戦う舞華選手と、刀羅選手にQQを解体された上谷選手。対刀羅ナツコの方針で手を組みます。元々舞華選手と上谷選手はデビューが同時期ということで仲もよく、ライバルでもありました。ヒールレスラーとして凶器の使用や味方の介入など、反則を繰り返す刀羅選手の暴走を食い止め、舞華選手が1対1に集中できるようにリング下でセコンドに上谷選手がつく絵は、ちょっとほろりときたいいシーンだったんですが

まさかの裏切り!
上谷ヒールターン!

 舞華選手の勝利の直前にレフェリーの足を引っ張り、試合を妨害。舞華選手、レフェリー、観客が混乱するどさくさの中で畳みかけ、勝利を手にする刀羅選手。
 いやこんなの予想できないっすよ。実は上谷選手、仲が良いと思われていた舞華選手に対してはいろいろ複雑な想いもあったらしく。
 かくて刀羅選手と上谷選手は手を組み、鬼レンチャンの感動の名場面(全力疾走した上谷選手を「お前すげえよ!」と励ます刀羅選手)を生み出した現在へと繋がります。 

 なおQQ時代の上谷選手は旗を掲げて入場するのがトレードマークでしたが、ヒールターンした現在はヒール仕様の黒い旗になっています。
 キャッチコピーも“Golden Phoenix”から“Phenex Queen”に変更され、「旗」「クイーン」などクイーンズクエストを連想させる名残を残しつつも、“黒の上谷”の印象を与えるキャラ作りは見事だなと思います。
(なお“Phenex”はスペルミスではなく、不死鳥のフェニックスを悪魔のフェネクスとして重ねるオカルトの解釈もあり、その際は“Phenex”と表記するのだとか。芸が細かい……!)

 以上、個人的に印象に残っている上谷沙弥の三大事件簿でした。
 上谷選手に詳しいしもべ(=上谷選手のファン)の皆様の中には「フェニックススプラッシュ封印」「5☆開幕戦負傷欠場」「アフロディーテ」「金網」「波女」「白防衛記録」「フワちゃん」がない! と思う方もいるかと思います。
 私も思います。正直、3つに絞るの難しかったです。試しに「#上谷沙弥3大事件簿」とかハッシュタグ作ったらどんなエピソードが上位に来るのかな……というのはちょっと興味があります。 

 本日(3月3日)19時45分から無料配信される「敗者退団マッチ」は、プロレスファンの間でも予想が別れ、どんな結末になるのか全く読めない一戦です。
 今まで追放を賭けて戦う試合がなかったわけでもなく、だいたいは「ふがいない試合が続く選手が『次に負けたら追放!』と宣告される中で頑張る」みたいな試合が多かったのですが、今回は双方看板選手同士の一戦ということで、ちょっと自分の中で記憶にないケースです(数年前に新日本プロレスでやったジェイ・ホワイト対ヒクレオの一戦ぐらいかな……)。

 そんな一戦を前に、自分なりに楽しみな部分を棚卸しておこうかな……と思って3つのエピソードを選んでみました。

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