『現代俳句』2024年8月号
台風が接近すると秋だなぁと思いますが、いかんせんこの暑さです。なかなか秋を感じることができない今日この頃です。
今月は「八月」という季語や戦争にまつわる季語が多く使われていました。過去にあったことの上に今があること。それから今も世界は続いていることを心に留めながら読んでいきたいと思います。
列島春秋
江ノ電のゴトンと傾ぎ晩夏光 山下遊児/神奈川
江ノ電には一度だけ乗ったことがあります。車体の色合いやコロンとした風貌がかわいらしい電車です。「ゴトンと傾ぎ」というのが晩夏光に照らされていて鉄道写真のようにくっきりとした風景ですてきだなと思いました。
新作現代俳句十句
八月 西谷剛周
背泳ぎは無防備すぎる泳ぎ方
確かに。言われてみればそうだなぁ、と思いました。いや、もうこれ以上も以下もない感じなんですがこの謎の説得力がどこかさわやかに感じるのもおもしろいな、と思います。
第一回現代俳句 風を詠む
今月は感銘句をエリアごとに選んでみました。東京は選びきれなかったので複数あります。
永遠の夏の休暇のやうに海 安田中彦/北海道
行きもまた帰りも青田風の中 日下節子/東北
ネガフィルム夏服だった私たち 加那屋こあ/東京
天女にも魔女にもなれず金魚飼う 宮原ユリ/東京
七月を遠近法で描けば水 山田ひかる/関東
白玉やつるんと一つ嘘をつき 渡辺真帆/甲信越
日傘翼にスクランブル交差点 森野稔/北陸
初夏や皿をはみ出すオムライス 笠井かず枝/東海
家出してきた子を囲みかき氷 小林かんな/関西
地獄絵をかけて酷暑の弥勒寺 松島美佐子/中国
喉元の小さな嘘へソーダ水 松家京子/四国
浴槽のスイカの種のものがたり 山口木浦木/九州
「翌檜篇」(64)
十二音で作る世界一短い詩~狂俳~ 紅紫あやめ
狂俳(きょうはい)についてわかりやすく説明されています。わたしは狂俳を知らなかったので、この記事を読んではじめて知りました。記事には『江戸中期から東海地方を中心に展開された。』とあり驚きました。もっと最近(せめて大正時代とか)に出来たものかと思っていたので、歴史ある文芸がたくさんあるんだなぁ、と思いました。
それはそうと、狂俳にはいくつかルールがあり、一番は題詠というところでしょうか。十二音で作るのも特徴ですが、必ず題があってそこにまつわる句をつけるというものなので、題に沿わなければだめなわけですよね。しかも題の漢字は「題かじり(題重ね)」となってしまう。ううん、難しい!
俳句だけでも「短い! 難しい!」と言っているのにさらに短い詩が出てきてひっくり返るに決まってます。とは言え、狂俳もいつかどこかで出会うかもしれません。そのときは盛大にすっころんでみようと思います。まあ、七転び八起きと言うし。
ということで、8月号でした。
感銘句を並べてみるということをしてみましたが、今回は数が多くて感想を書ききれなかっただけなので(全部言う)、なるべく感想を書けたらと思います。精進します。
最近「ご自愛リスト」というものの存在を知り、早速作り始めました。よく「ご自愛ください」と言われるのですが(ありがたや……)、実際ちゃんとご自愛できているかというと自信がなかったので、これを機にしっかり自愛できるようになりたいと思います。
そんなわたしからではありますが、みなさまもくれぐれもご自愛くださいませ。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。また次回。
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