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よんもじ vol.3 一句感想
夏の次は秋です! 秋真っただ中に出せました。なんかちょっと冬感があるのなんなんだろう……? これは早くも冬号に取り掛かれと言う天啓か!?(そんなわけない)
そんなこんなで今回も、一句ずつ感想を書いていきます。ぜひぜひお手に取ってみてくださいませ。今回、画像をドーンと使ったことにより、PDFのデータが重くなり、アップロードしようとしたら弾かれるという珍事が起きました。次回は調子に乗らないように気をつけます……!
しなやかな筋肉の伸び秋の駒 藤田亜未
秋と言えば馬、馬と言えば秋です。最近、テレビで競馬中継を見る機会が増えました。何頭か見ていると、「太ってるだけか……?」と目を疑うようなふくよかな肉づきを感じる馬もいます。秋の馬というのは往々にしてそうした豊かさを感じるわけですが、それでもこの馬は「しなやかな筋肉」をお持ちであります。競馬に限らず、乗馬の馬もまた、そうしたしなやかな筋肉でもって障害物を越えていきますよね。豊かさはふくよかなだけとは限らないということですね。さわやかで颯爽とした風情のある句。
色鳥や歯列矯正具をなぞり 西川火尖
色鳥っていう鳥はいないんですよね。こういうの、季語トラップやと思いますね。鳥の名前が季語になっていることもあれば、色のきれいな渡り鳥を「色鳥」と呼ぶ。色のきれいな鳥だけピックアップする感じが、いかにも詩の世界だな、と思います。
その色鳥の色彩とは打って変わって「歯列矯正具」です。うつくしい鳥が渡ってくる頃、はじめてつけた歯列矯正具のひんやりとした感触を実感しているのでしょうか。描かれてはいない舌先の感触が伝わってくる、妙にリアルな質感の句です。
法師蝉狂ったように笑い出す 諸星千綾
狂ったように笑い出す法師蝉がいたら、わたしは泣いて逃げます。セミファイナル(死にかけの蝉が地面の上でひっくり返っているあの現象。時々急に暴れだす、アレ)かもしれませんよね。いずれにせよ蝉には勘弁願いたい。じゃあ、笑い出すのは誰か。他に誰かいる可能性もあります。法師蝉の声をかき消すように笑う誰か。一体どういう状況なのか。そのミステリアスな雰囲気に、秋の空風の中で鳴く法師蝉がやけにしっくりくる。
どうにも背中がひやりとする、ちょっとだけ怖くて気になる句。
こうして秋号まで続けて作ってきましたが、本当にメンバーの誰も作風がかぶらないというか、見ているところが違うので、一読者として面白く感じています。自分には作風なんてないし……と思っていたわたしでしたが、さすがに手癖と言いますか、書き癖のようなものがある気がします。さすがに自覚せざるを得ず……という感じです。
今回は「おすすめのレシピ」がエッセイと共に載っています。わたしは圧倒的にかんたんかつ、料理と呼ぶにはギリギリのレシピを書いています。でも味はおいしいので、よかったらお試しくださいね! 温玉乗せときゃ大体セーフ!笑
それでは秋号の中から「こういう句に憧れはあるけど、うまいこと作れへんもんですよね」と思いながら作った句を。
十六夜やザトウクジラの恋の歌 相田えぬ
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