「現代俳句」2024年3月号
あたたかい春の陽気も束の間。なんですかこの寒さは。春はどこへ行ったんでしょうか。振り回されつつ3月号です。ちょっと足早なので、今月は翌檜編と地区協だよりの感想です。
翌檜編(59) 青年部編
三日 浅川芳直
空白の眼へ日の射して福達磨
新年の幸福感は様々。とは言え、まだ白い達磨の瞳に日が射しているという光景はとても清らかな気持ちになります。
これからこの達磨がどんな眼を得て、どんなものを見るのか。まだ見ぬ未来に対して明るい気持ちにさせてくれるような句です。
独活だった頃のこと 斉藤よひら
ルンバどこ行くのそっちは冬の海
作品タイトルの独活の句も好きなのですが、この句のユーモアとファンタジーに一票ということで。多分、冬の海みたいななにかがあるんですよね、部屋に。めちゃくちゃ生活感がある句だけれど、冬の海ということで一気に生活感が消えるおもしろさが好きです。雑誌の束、洗濯物の山……あると思うんだけどなぁ。ルンバって、ゴミに向かって行くし(やめなさいよ)
象ってなんですか? 白川幹久
理不尽に布を被せて炬燵とす
炬燵ではなかったものに、布を被せて炬燵にする。炬燵って、存外そういうものなのかな、と思わせてくれる句。理不尽なのは布を被せる人ではなく、テーブルのほうなのかしら。でも炬燵にできるってことは、それは炬燵なんですよ。ただのテーブルは天板外れないからね。さて、この理不尽は誰のなんなのでしょう。おもしろいですね。
ちょっとだけ 陸野良美
ちょっとだけ魔のさした午後鳳仙花
なにがあったのでしょうか。このあとの句に「無花果に恋の棄て方きいてみる」があるのですが、相乗効果がすごい。恋の句と決まったわけでもないのに、なにに魔がさしたのかしら、とドキドキしてしまいます。鳳仙花なら見逃してくれるような気がするのもドキドキしてしまいます!(落ち着いて)
地区協だより
沖縄地区篇 上地安智
毎月、地区協だよりを読むのが楽しみなような、使命のような、不思議な気持ちで読んでいます。いろんな地区の活動を知ることができるので、楽しみのほうが大きいんですけれども。
まず、今月の沖縄地区は冒頭に沖縄の歴史が書かれており、中に「琉歌」の紹介がありました。八八八六の音律が基本で、新聞の文芸面にコーナーもあるようです。今度、沖縄の友人に話を聞いてみようかと思います。
活動状況は、平成二十九年に『沖縄歳時記』を発行されているそうなのですが、ネットで調べたところどこにも在庫がなく。とても気になっているので、どこかで見かけたら購入したいと思います。風土に合わせた歳時記って、あればあるだけいいと思っているので。わたしはね。
で、ここでも高齢化の文字があって泣いちゃったんですけど、こればっかりはしょうがないですよね。なにがすごいって沖縄で地区協があるってことですよ。兵庫はないよ。関西は関西というジャンルだからないよ!(ばくしょう)
独立して運営することのメリット、デメリットは必ずあると思うのですが、メリットを大事にして運営しているみなさんには頭が上がりません。今後、旅行先で句会に出るということがひとつの目標になりそうです。沖縄にも、いつか行きたいです。実は、わたしにとって沖縄は心洗われる聖地のひとつなので。
ということで、今月はさらっとお送りいたしました。ちゃんと読んでるんですけど、まあ書くほどでもないか、と思って書いていないこともあったりなかったり。翌檜編はぜったい書くと決めているので書きます。全国の青年部のみなさん、ここに読んでいる人がいますからね! という主張です。届いていなくても主張していく所存です。
今月末が年度作品賞の締め切りですね。出したことがなかったので、要領がわからずてんやわんやしておりますが、今年は出そうと思っています。定形小為替を買うのに手数料がかかることを知りました。何事も勉強ですね。
それでは今月はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。