『現代俳句』2024年10月号
ようやく過ごしやすい気温になってきました。もう10月も終わりです。こんなことってあるかしら、と思いつつ、こんなふうになっていくんでしょうね。ままならないぜ、世の中は。
さて、そんなままならない中でも今月号は今月のうちに読みたいと思います。
「翌檜篇」(66)
そのひぐさ 浅山幹也
鳥渡る空に呑みこまれぬように
一歩間違えれば、油断すれば、うっかり空に吞み込まれてしまう。だから鳥は渡る。空と鳥という切っても切れない関係は、必ずしもよいもの(この場合は都合の良い、心地の良い、などいろいろな「よい」)とは限らない。空はあっという間になにもかも呑み込む。そういう力を持っています。
敬語の緩みゆく頃に 佐野瑞季
道聞かれ易き案山子の下り眉
わたしもよく道を聞かれます。外国人観光客に限らず、旅行先でも。だからこの案山子の「下り眉」はよくわかります。八の字のするしかないですからね。もともとこういう眉だったのかもしれませんが、人に道を聞かれるうちに自然と下がってきたのかもしれません。哀愁の意味合いがちょっとユーモラスな一句です。
新入会員記念作品
金管を下げまた構へみどりの日 山川太史
みどりの日という明るい祝日が、吹奏楽の演奏と相まってさわやかです。この句の「金管」は金管楽器だと思いますが、さてどの楽器でしょうか。「下げまた構え」という忙しなさから、トランペットあるいはトロンボーンかと推察します。ホルンやユーフォニウムも同じような動作はありますが……「また」の素早さを見るとどちらかかなと思います。そんな想像も楽しい一句。行進曲が聞こえてくるようです。
数か月前からWEB版が読めるようになりましたが、わたしはネットで長文を読むのが苦手でなかなか手が出せておりません。しかし翌檜篇のエッセイが読めるのはWEBだけ。と言うわけで読みました(読むんかい!)
10月号のURLは公開されているので貼っておきます。
それでは今日はこの辺で。あと二か月で2024年も終わりますね。あっという間でした。去年の今頃は入院していたのかと思うと、まあ毎日なにごともなく過ごせるだけさいわいだなと思います。日々に感謝しつつ、新しいことにもすこしずつ挑戦できればいいなと思う今日この頃です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。また来月。