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30代の公務員から民間転職 │ 書類選考は女の化粧で勝負する
【ポイント】
・「未経験」募集には「ポテンシャル」というカウンターミサイルを用意。
・職歴書も見た目が9割。ファーストインプレッションこそ全て。
・テンプレの職歴書はいわばすっぴん。
1 与えよ、さらば与えられん
(1)ポテンシャルを見せつける
キャリアチェンジを目指す際、「未経験」というフレーズは非常に目を引くワードです。特に、私のように公務員から民間を目指す人間にとって、未経験は異世界転生を叶える魔法の言葉なのです。しかし、文字に踊らされてはいけません。未経験という美味しい餌に食いつく代わりに、相手には「ポテンシャル」というカウンターミサイルを撃ち込む必要があります。
(2)未経験ポストに未経験で応募して未経験を理由に全敗
第一ラウンドとして、エージェント提案14社から7社までに絞りこみましたが、結論からいうと全て同じ理由で全敗しました。エージェントから刈り取った理由になりますが、「未経験だから」お見送りだそうです。「未経験ポストに未経験が応募して未経験を理由に詰む」。ソクラテスならばこの命題に対する答えを教えてくれたでしょうか。その後、転職エージェントとディスカッションをして得た結論は以下の通りです。
類似する経験の有無:業界は未経験でも、同様の職種や業務内容を経験していること。
求められるスキルの最低限の習得:たとえば、IT業界では、基本的なITツールの使用経験や、プロジェクトマネジメントの基礎知識が期待されることが多い。
成長可能性の証明:業界未経験であっても、その業界で必要な知識やスキルを迅速に習得する意欲や適性を示せること。
普段から企業の人事や転職エージェント側にいる人間であれば当然かもしれませんが、転職ド素人にとってこの気付きは大きなマイルストーンでした。元来の転職活動はスキルの一致であり、いわば需要と供給が整合していればいいわけです。他方、求職者側がスキルを供給できない未経験応募の場合は、スキルの代わりとなる意思決定材料=こいつは未経験だけど大丈夫そう=ポテンシャルを見せつける必要があるという当たり前に気付きました。
(3)give & take
売り手市場という言葉は、あたかも求職者側のバーゲニングパワーが強いような錯覚を与えますが、実際にはそうではないのかもしれません。企業側は当然ながらスキルを持った人材を採用するに越したことはなく、未経験可というのはつまるところ妥協であり、求職者に対するgiveです。企業側にとってtakeが見込めない限りは意思決定のハードルは高く、求職者視点で言えば「未経験」をtakeする代わりに何かをgiveしなければいけません。何をgiveするかは状況に応じますが、少なくとも転職の書類選考過程における未経験へのgiveは「ポテンシャル」or「低賃金過酷労働」の甘受でしょう。もちろん後者は選択肢であっても選択肢にはなりません。
2 職務経歴書で「ポテンシャル」を伝えるには
(1)ファーストインプレッション
前回の記事でリフレーズについて書きました。しかし、書類選考過程というのは、紙面でのコミュニケーションです。その中身を読んでもらわなければ、企業側にポテンシャルを伝えることはできません。採用担当者は嫌というほどに職歴書と接しています。外交官時代、飛行機に数えきれないほど乗っていた私にとって飛行機は苦痛の時間です。他方、1年に1回の海外旅行をする人にとって、飛行機は旅行の一部としてワクワクする時間でしょう。それと同じように、採用担当者側目線で考えれば、飽き飽きした職歴書の確認を如何に楽しい時間にするか?ファーストインプレッションから自然と内容に目が映るような動線を組み立てる必要があります。人は見た目が9割といいます。女は化粧で化けます。職歴書に化粧を施すことで読み手はまったく違う印象を抱くのです。
(2)考えるな、感じろ
スキルマッチングのアピールが難しい未経験応募においては、書類選考過程では相手に考えさせないことが重要だと思います。そもそもスキルの親和性が低い時点で、読めば読むほどツッコミどころがいくらでも湧いてくるからです。したがって、むしろ10秒で「こいつなんか出来そう・・・」と思わせる視点で取り組むことが重要だと思います。ここで「読んでみるか」という気持ちのセットに促せれば、リフレーズが活きてくると思います。
(3)「違い」を見せる勇気
そのためには、職歴書テンプレに依拠しないことが求められます。大手転職サイト等のテンプレートをそのまま使う職務経歴書は、いわば「化粧をしない」状態での応募です。もちろん、テンプレートをそのまま使って転職に成功した人もいます。しかし、それは特にスキルや経験が求人内容と高い親和性を持つ場合や、応募者が既に業界経験者として認知されている場合に限ります。未経験での応募の場合、スキル不足をカバーするために、書類自体の印象を大幅に改善することが必要です。テンプレートから離れて自分らしさを打ち出した職務経歴書は、特に尖った人材を嫌う日系企業において多少のリスクを伴いますが、しかしそれこそが「他の応募者とは違う」という印象を残すカギになります。書類選考の段階では、内容だけでなく、どれだけ「この人は何か違う」と感じられる何かが重要です。
3 職務経歴書は代弁者
職務経歴書は、面接までたどり着くための最初の「武器」です。未経験の壁を超えるためには、その書類が自分のポテンシャルを最大限に伝えるものである必要があります。テンプレートをそのまま使うのではなく、自分の「武器」を磨き上げ、読み手が興味を持ち、次のステップに進む動機を与える書類に仕上げるべきです。詳細は次回の記事に書きますが、先ずはテンプレートはあくまで下地であり、そこに自分の個性や「見せたい部分」を強調するメイクアップを施す必要があるということをお伝えできれば幸いです。