FIRAメンバーインタビュー①「気遣いの世界」を地域から。
FIRAは福岡で子育てをする、外国にルーツのある保護者が中心となり立ち上げた団体です。メンバーはどんなことを考え、どうして活動をしているのでしょうか?
今回はFIRAメンバーであるBanstola Shiva Prasadさんに、どうしてこのFIRAの活動をしているのか話を伺いました。
ー自己紹介をお願いします。
私はネパール出身で、日本に十数年住んでいます。最初は留学生として来て、日本で働くようになりました。今小学生の子どもが二人います。
ーどうしてFIRAで活動をしようと思いましたか。
私はもともと子どもたちのこういう場所(学校の外で外国ルーツの子どもたちが集まって学びあえる場)があったらいいなという考えがあり、3年ぐらい前から福岡在住ネパール人で、同じ考えのある人と毎週日曜日に公民館などに子どもたちを連れてきて母国語や文化を教える活動をしてきました。
それからFIRAの代表(Sang)と出会いました。FIRAで国籍関係なく外国ルーツの子どもが多く集まる居場所を始めていたので、自分の子どもたちも通うようになりました。今まではネパール人だけの小さいコミュニティだけでやっていたけれど、さまざまな国にルーツのある子どもと遊んだり学んだりお互いの文化に興味を持ったりして、子どもたちが成長したり、明るくなったり、勉強が進んでいる様子を見ていい居場所だなと思って、自分もFIRAに関わりたいと思うようになりました。
ーFIRAでどんな役割をしていますか。
多文化共育スペースや、福岡国際子ども食堂&居場所にくる子どもたちの見守りをしています。ネパールの子どもがいれば母国の言葉や文化などを教えることもあります。遠方に住む子どもの送迎もしています。
あとは、保護者の相談を受けてサポートをしています。
ー保護者の相談にはどんなものがありますか。
日本の保険制度はどうなっているのか、保育園の申し込みや連絡帳の書き方がわからない、子どもが病気になったがどんな病院へ行けばいいのか、など様々な相談があります。
実際に医師と話してほしいというお願いもあります。病気について伝えたいこと、例えば「しびれます」「ひりひりします」「頭がガンガンします」など、そういうことを日本語では伝えにくいので、同行したり電話で変わってあげたりして対応しています。
ー翻訳や通訳もされるのですね。FIRAでは多言語発信にも力を入れていますが、英語や日本語だけでなくネパール語での発信も必要だと感じていますか。
多言語での発信によって、より多くの人たちに情報を知ってもらえたら、困っている人々の解決にもっとつなげられると思います。
外国人にも様々な人がいます。初めに留学生として来て長く生活している人は、生活の言葉にはそこまで困らないと思います。でも就労ビザや家族滞在で来ている人はそこまで日本語のレベルが高くないケースもあり、英語でも伝わりにくい部分があります。ネパール語で発信すれば伝えたいことを正確にわかってもらえるので必要です。
ー外国にルーツのある子どもには何が必要だと思いますか。
活動するよりも前から思っていたのですが、必要なのは「子どもの居場所」です。家庭も様々だから、日本で生まれた子、途中から来た子、ばらばらなんです。
日本に生まれて日本文化に慣れている子には、母国の言葉や文化が必要だと思います。「自分という存在に気付く」部分ですね。
途中から入ってくる子は、学校のことだけでなく生活、日本語のサポートなどが必要ですが、日本語についていけなかったり生活に合わなくて元気が出ないみたいなところもあります。
そういう子がこういう居場所に来たら他の友達もできて、気が合う子と元気に遊んだり食べたりすることができるというのも見てきました。
子どもたちがお互いの文化や言葉、習慣などに気付きあって、より「気遣いの世界」ができていき、それが子どもたちのSelfesteem (自尊心)にもつながると思います。
ーこれからの目標を教えてください。
今やっていることをもうちょっと広げたいです。そして定期的に長く続けられるようにすること。より多くの人に知ってもらって、多くの人にサービスを提供できたらいいなということを考えています。
例えば子どもたちが活動に参加できるように送迎をしていますが、現在は限られた場所・人数だけしかできていない。それをもうちょっと大きくしたり、時間・交通の面でも来やすい、集まりやすい場所にしていきたいです。
活動には外国ルーツの子どもだけでなく日本人の子どもたちも参加しています。一緒に勉強して遊んで、グローバルに理解しあえることがとてもいいなと思っていて、これからも国境関係なくもっとみんなが参加して明るい地域になればいいなと思っています!
ーありがとうございました!