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インドネシアの状況からみる、海外でのハラール認証表示について

インドネシアの状況からみる、海外でのハラール認証表示について(本文2,237文字)
 
 
独立行政法人日本貿易振興機構JETRO(Japan External Trade Organization)は、海外ビジネス情報の地域・分析レポートとして、令和7年2月12日付にて「インドネシアでのハラール認証表示義務化の現状」を公開しました。

「ハラール(HALAL)」は、イスラム教の教えに基づき許可されたものを指し、特に食品やサービスにおいて重要な基準となっています。インドネシアでは食料品や飲食店に対してハラール認証の取得と表示を義務付けていますが、輸入品には2026年10月17日まで猶予されています。

ここでは、ハラール認証表示義務の現状について詳しく解説しているJETROのレポートのエッセンスをまとめました。ご興味のある方は<一次情報>から詳細をご確認ください。
 
 
<レポート概要>
インドネシアでは、ハラール認証表示の義務化が進んでいる。2014年に公布されたハラール製品保証法に基づき、2024年10月17日を履行期限として、国内で流通する食料品や飲食店に対してハラール認証の取得と表示が義務付けられたが、輸入品に関しては2026年10月17日まで延長された。
 
1. 国内の中規模・大規模事業者の義務
2024年10月17日からハラール認証表示が義務化されている。違反があった場合、書面による警告や商品流通の禁止処置が取られる。
2. 認証の登録
インドネシアで有効なハラール認証の取得方法は、BPJPH(※1)へ直接申請する方法と、海外のハラール認証機関を利用する方法がある。いずれもインドネシア国内の輸入者または公認代理人が行う。
3. アポスティーユの取得不要
改正法により、海外のハラール認証機関が発行したハラール証明書に対するアポスティーユ(※2)の取得が不要となった。
4. 非ハラール製品の表示
非ハラール製品の表示様式はBPJPH長官が決定する。具体的な要件は今後示される予定である。
5. 混載に関するガイドラインの制定
ハラール製品と非ハラール製品の混載について、流通サービスガイドラインが作成中であり、詳細は今後発表される。
6. 監督者の設置
ハラール認証を申請する事業者は、ハラール監督者を置く必要がある。ハラール監督者はパートタイムでの雇用が可能であり、インドネシアに所在する担当者の専任が可能である。
7. 海外企業の登録状況
BPJPHへハラール証明書の発行申請を行った海外企業の登録件数は約4,100件であり、中国企業が最多である。状況は下の2表の通り。

BPJPH資料を基にJETROが作成した表を、筆者が再改編

8. ポイントの確認
1. 輸入品のハラール認証表示義務の履行期限は2026年10月17日まで延長されており、当面の間はハラール認証なしでの輸入が可能とされる。
2. 非ハラール製品のラベリング方法やハラール製品の運送、ハラール監督者の雇用に関する基準は未だ明確に示されておらず、輸入品の表示義務履行期限前までにルール整備が求められる。
3. 諸外国ではハラール認証の取得が進んでいるが、インドネシアでは制度の整備が不十分であり、今後の法令やガイドラインの発出を注視し、制度運用に適応する必要がある。

イスラム教徒が大多数を占めるインドネシアでは、ハラール認証はビジネスの成長と市場での競争力強化にとって非常に重要だが、認証取得にかかる制度が十分に整備されているとは言い難い状況にある。今後順次発出されるとみられる輸入品への表示義務に係る法令やガイドラインを注視し、制度運用に適応していく対応が求められる。

【JETRO】インドネシアでのハラール認証表示義務化の現状
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/627ac4d8be401ad5.html


筆者注釈
※1 BPJPH
JETROによると、「Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal(ハラール製品保証実施機関)」の略称で、イスラム法に基づいて食品、医薬品、化粧品などのハラール認証を発行する機関です。2019年に設立され、国内外のハラール認証機関と相互承認を行い、インドネシアでのハラール認証の有効性を確保しています。
※2 アポスティーユ
外務省によれば、「日本にある外国の大使館・(総)領事館の領事による認証(領事認証)を取得するために事前に必要となる外務省の証明のこと」をいいます。
 
 
<まとめと展望>
インドネシアでは、ハラール認証表示の義務化が進んでいます。国内の中規模・大規模事業者は2024年10月17日から義務が発生し、輸入品に関しては2026年10月17日まで延長されました。非ハラール製品の表示やハラール監督者の雇用に関する基準は未だ明確ではありません。
 
今後の展望として、日本企業はインドネシアのハラール認証制度に迅速に対応する必要があります。特に、輸入品に対するハラール認証の取得が義務化される2026年10月17日までに、認証取得の準備を進めることが重要です。また、非ハラール製品の表示方法やハラール製品の運送に関する具体的なガイドラインが整備されることを注視し、適切な対応を行うことが求められます。さらに、インドネシア市場での競争力を強化するために、ハラール認証の取得を積極的に進めることが期待されます。
 
海外市場全体でも、ハラール認証の重要性は増しています。イスラム教徒の人口が増加する中、ハラール市場は拡大しており、各国でハラール認証の取得が進んでいます。特に、マレーシアやアラブ首長国連邦(UAE)などの国々は、ハラール認証の厳格な基準を設けており、国際的なハラール市場での競争力を高めています。
 
日本企業にとっても、ハラール認証の取得は重要な課題です。インドネシア市場だけでなく、他のイスラム教徒が多い国々への輸出を考える際にも、ハラール認証はビジネスの成長と市場での競争力強化に不可欠です。今後の展開として、各国のハラール認証基準に対応し、国際市場でのプレゼンスを高めることが求められます。
 
詳細は<一次情報>からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
【JETRO】インドネシアでのハラール認証表示義務化の現状
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2025/627ac4d8be401ad5.html
【JETRO】BPJPH、日本のハラール認証3機関に相互承認証明書を発行(2024年09月13日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/09/d41ccb0168282920.html
【JETRO】インドネシアと日本のハラール相互承認、徐々に進展か(2023年9月19日)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/efc404bbd343b3d2.html
【外務省】公印確認・アポスティーユとは
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html
 
 


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