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第1回商品情報連携標準に関する検討会 概要

第1回商品情報連携標準に関する検討会 概要(本文3,177文字)
 
 
経済産業省は、令和6年11月28日に「第1回商品情報連携標準に関する検討会」を開催し、商品情報授受の現状、連携標準にかかる今後の進め方について検討しました。検討会の概要をご案内します。詳しい情報は<一次情報>からご確認ください。
 
 
<議事次第>
(1)本検討会の趣旨について
(2)商品情報授受に関連する現状について
(3)課題の整理及び今後の進め方について
 
 
<趣旨>
流通業界は、人口減少や少子高齢化による人手不足に加え、賃上げや働き方改革による労働環境の変化にも直面している。消費財サプライチェーンの事業者は、商品情報の登録・管理に手作業を多用し、非効率な状況にある。これを改善し、生産性向上を図るため、政府や業界関係者が「商品情報連携標準に関する検討会」を設置した。本検討会は、商品情報授受の現状を可視化し、次世代の標準化とルール作成を目指すものである。
 
 
<商品情報授受に関連する現状>
商品情報連携標準に向けた取り組み状況と対応をまとめる。
1. 商品情報授受における現状課題
流通業界では、商品情報のやり取りに多くの手作業が必要であり、各社独自の形式で情報を管理しているため、データの加工や登録に時間がかかり、人的エラーのリスクが高い。また、JANコード(GTIN)の運用ルールが徹底されておらず、商品を一意に特定できないため、取引ごとにコードを読み替える必要がある。さらに、商品情報の一般公開前に商談が開始されるため、情報が広く共有されず、コミュニケーションコストが増加している。
2. サプライチェーン効率化目標に向けた解決策
産業横断レジストリーを活用し、各業界データベースと連携しながら、非競争領域の商品情報を共有することで、個別の情報授受を廃止する。また、商品情報データのガバナンスを強化し、データ品質の向上を図る。GTINの運用を適正化し、商品を一意に特定できる状態を実現する。商談・受発注・販売の各プロセスで必要な商品情報の範囲と共有タイミングに合意し、自動化を進める。
3. 商品情報連携標準に向けた対応方針
メーカー・卸・小売が共通ルールに則り、ブランドオーナーが入力した商品情報を共有する仕組みを整備する。管理業務を省力化し、生産性を向上させるとともに、消費者に対する正確な情報の伝達を実現する。産業横断レジストリを核に据えた協調領域での協力を進め、利用者の拡大を図る。2026年度の運用開始を目指し、基本項目から共有を開始する計画である。
 
 
<課題の整理>
1. 商品情報授受の非効率性
1-1. 手作業の多さ
各社が独自の形式で商品情報を管理しているため、データの加工や登録に多くの手作業が必要である。これにより、情報の入力ミスやデータの不整合が発生しやすくなる。
1-2. JANコード(GTIN)の運用ルールの不徹底
商品を一意に特定するためのJANコードの運用ルールが徹底されておらず、取引ごとにコードを読み替える必要がある。これにより、業務の効率が低下し、エラーが発生しやすくなる。
1-3. 情報の非公開
商品情報の一般公開前に商談が開始されるため、情報が広く共有されず、コミュニケーションコストが増加している。これにより、情報の伝達が遅れ、業務の効率が低下する。
2. 経済損失
2-1. 業務負荷の増大
商品情報授受における業務負荷が高く、製造・卸・販売の各プレイヤーにとって大きな負担となっている。特に、手作業によるデータ入力や情報の確認作業が多く、時間と労力がかかる。
2-2. 人的エラーのリスク
手入力によるシステム登録が多く、情報品質が低下するリスクが高い。これにより、情報の誤りが発生し、修正に多くの時間と労力がかかる。
3. 業務効率化阻害要因
3-1. 各社独自形式の情報授受
取引先ごとに異なるフォーマットで情報を提供する必要があり、業務効率が低下している。これにより、データの加工や登録に多くの手作業が必要となり、エラーが発生しやすくなる。
3-2. 恣意的なGTIN運用
GTIN変更ルールが守られておらず、商品を一意に特定できないため、業務負荷が増加している。これにより、取引ごとにコードを読み替える必要があり、業務の効率が低下する。
3-3. 長年の商慣習
商品情報の一般公開前に商談が開始されるため、情報が広く共有されず、コミュニケーションコストが増加している。これにより、情報の伝達が遅れ、業務の効率が低下する。
4. 情報品質の低下
4-1. 情報の誤り
商品情報の誤りが頻繁に発生し、修正に多くの時間と労力がかかる。これにより、情報の信頼性が低下し、業務の効率が低下する。
4-2. 情報の信頼性
提供される情報の品質が担当者のクオリティに依存しており、入力ミスが多発している。これにより、情報の誤りが発生し、修正に多くの時間と労力がかかる。
5. サプライチェーン全体の課題
5-1. 業務負荷の集中
卸業者に業務負荷が集中し、効率的な業務運営が困難になっている。これにより、業務の効率が低下し、エラーが発生しやすくなる。
5-2. 情報の非共有
商品情報が広く共有されず、サプライチェーン全体での効率化が進まない状況である。これにより、情報の伝達が遅れ、業務の効率が低下する。
6. その他新たな課題
また、上記1~5課題が相互作用することにより、新たな課題が生じる可能性がある。情報の非効率な授受と経済損失が相まって、業務負荷がさらに増大した場合、人的エラーのリスクが高まることが予想される。また、情報品質の低下とサプライチェーン全体の課題、つまり業務負荷の集中や情報の非共有などによって、情報の信頼性が失われるt、業務の効率化が困難になる可能性がある。流通業界全体の生産性向上が遅れ、競争力の低下につながる恐れもある。
 
 
<今後の進め方>
1. 第2回検討会
第2回検討会では、ヒアリング結果を基に構想の具体化を進める。企業・団体トップへの提示を目指し、「産業横断レジストリーを活用した新業務像」の議論を行うことが目標である。また、「あるべき姿」の修正、ロードマップの修正、費用負担の整理、運営スキームの検討、産業横断レジストリー活用事例の検討、将来像の具体化、データチェック方法の具体化、国の関与方法の検討、商慣習の明文化、業務変革の影響整理、各プレイヤーからの意見聴取、各事業者間の利害調整を行う。
2. 第3回検討会
第3回検討会に向けては、第2回検討会で得られた意見やフィードバックを基に、次年度計画を策定する。さらに、ロードマップの素案を作成し、具体的な実行計画を精緻化する。第3回検討会では、これらの計画を最終確認し、実行に移すための準備を進める。

※ 資料5から抜粋

 
 <今後の展望>
産業横断レジストリーの活用により、商品情報の共通化とGTIN運用の適正化が進み、情報の正確性の向上と業務の効率化の実現が期待されます。また、各プレイヤー間の協力体制が整備され、サプライチェーン全体の生産性向上も期待されます。
 
 
<まとめ>
「第1回商品情報連携標準に関する検討会」では、商品情報授受の現状と今後の進め方を検討しました。流通業界は人手不足や労働環境の変化に直面しており、商品情報の手作業管理が非効率です。これを改善し生産性向上を図るため、政府と業界関係者が検討会を設置しました。現状の課題として、手作業の多さ、JANコードの運用ルールの不徹底、情報の非公開が挙げられます。今後は産業横断レジストリーを活用し、情報の共有と自動化を進める計画です。
 
※詳しい情報は<一次情報>からご確認ください。
 
 
<配布資料>
【資料1】議事次第
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/001.pdf
【資料2】出席者名簿
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/002.pdf
【資料3】検討会の開催について
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/003.pdf
【資料4】商品情報連携標準について(経済産業省提出資料)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/004.pdf
【資料5】国内調査報告・課題分析について(㈱シグマクシス提出資料)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/005.pdf
【参考資料1】産業横断レジストリー項目(概要版)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/006.pdf
【参考資料2】GTIN設定ルール(2024年11月時点)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/007.pdf
【参考資料3】「GS1 JapanとJIIおよびプラネットの商品情報共同取り組みについて」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/008.pdf
議事要旨(PDF形式:946KB)PDFファイル
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/009.pdf
 
 
 
<一次情報>
第1回商品情報連携標準に関する検討会
https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/0001.html
 
<関連情報>
https://note.com/fir_institute/n/n9e5a05e12673
https://note.com/fir_institute/n/n5e910321e675
 

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