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【レポート】北アメリカ乳業界の2024年最大の懸念は?

【レポート】北アメリカ乳業界の2024年最大の懸念は?(本文2,136文字)
 
 
一般社団法人Jミルクは、令和6年9月4日に「北米乳業経営層の2024年の最大の関心事」と題したレポートを公表し、北アメリカ乳業界の状況を報告しました。
以下はそのレポートの概要です。詳細は<一次情報>から原文をご確認ください。
 
1. はじめに
世界的な人口増加に伴い、持続的な食料供給の仕組み作りが求められています。酪農乳業界も例外ではなく、業界リーダーたちは持続可能な将来への道筋を具体化しようとしています。本稿では、マッキンゼー・アンド・カンパニー社と国際乳食品協会(IDFA)が実施したアンケート調査報告書と乳業大手の取り組みを紹介します。
 
2. 報告書について
IDFAとマッキンゼーは、2023年第4四半期に乳業界のリーダーたちを対象に調査とインタビューを実施しました。調査対象には、大企業から中小企業までのさまざまなタイプの企業が含まれています。今回の調査では、持続可能性が中心となり、乳業経営層は業界の将来について楽観的であることが示されました。
 
3. 経営層が期待していること
経営層は、国際的な機会から新しい技術まで、酪農乳業の多くの側面に期待しています。特に成長性、製品の栄養とイノベーションが際立っています。
■成長性■
業界、企業、消費者需要の成長性について最も期待されています。米国の牛乳乳製品市場全体の小売総売上高は、2021年から2022年にかけて9%、2022年から2023年にかけて7%増加しました。価格改定によるものがそのほとんどですが、経営層は将来の成長性は数量により牽引されると予想しています。特にチーズとヨーグルトが成長を牽引すると見込まれています。
■栄養とイノベーション■
経営層の約30%が、自社製品の栄養や「良さ」に最も期待しており、製品のイノベーションにも期待しています。ヨーグルトの高い栄養素密度や乳タンパク原料の可能性が注目されています。
 
4. 経営層の最大の懸念事項
経営層に最大の懸念事項を尋ねたところ、持続可能性と規制が最も多い回答でした。
■持続可能性■
経営層の19%が最大の懸念事項として持続可能性を挙げました。消費者は持続可能な製品に対してより高い金額を支払うことに前向きではないかもしれないと述べていますが、ESG(環境・社会・ガバナンス)の重要性が高まっている兆候もあります。マッキンゼーとニールセンIQ社の分析では、ESG関連の表示がある製品は優位性が高いことが示されています。
■法規制■
経営層の多く(13%)は、関心のあるトピックとして法規制を挙げました。特に温室効果ガスの排出を緩和・削減可能な農業の実践に関する規制が注目されています。例えば、カリフォルニア州上院法案1383は、2030年までにメタン排出量を2013年の水準から40%削減することを求めています。
 
5. 戦略的優先事項にみられる変化
2022年のアンケート調査以降、経営層の最優先事項はESGにシフトしています。全体としては、人材の優先度が最もポイントが上昇し、持続可能性も重要なトピックとなっています。
■人材■
2023年のインタビューでは、経営層の45%が人材への懸念が減っていると述べました。賃金と福利厚生パッケージの引き上げや企業文化に焦点を当てています。乳業会社は、従業員になる可能性のある人々にとって職場をより魅力的なものにしようとしています。
■環境面の持続可能性■
乳業の60%は、GHG排出量の削減が持続可能性戦略の上位3つの課題の1つであると答えています。特にスコープ3と農場レベルの排出量への対応は非常に困難です。調査によると、71%の企業が農場のGHG排出量を測定していますが、実際の排出量に基づいて農場からの調達を変更しているのは27%に過ぎません。
 
6. 今後の展望
今後の展望には持続可能性が大きく立ちはだかっています。酪農乳業界の脱炭素化はすでに加速しており、企業は労働者の需要と困難なインフレ環境に対処するための措置を講じています。
■スコープ3排出量の測定と対処■
2050年までにネットゼロを達成するためには、業界全体の連携と意味のある行動が必要です。例えば、農場と協力して排せつ物管理や新しい飼料添加剤などの取り組みを通じて排出量を削減することが求められます。
消費者の選択、株主の圧力、法規制: 企業はこれらの変化を注意深く追跡し、トレンドと要件の先を行く必要があります。
■労働市場の変化■
柔軟な勤務スケジュールの提供や最新の福利厚生の提供が重要です。
 
7. 乳業大手の最近の取り組み
マッキンゼーのアンケート調査報告書は、リーダーたちが持続可能な将来への道筋を具体化しようとしていることを浮き彫りにしています。北米や欧州の乳業大手が発信する最近の取り組みには、リーダーたちの決意が垣間見えます。
■デーリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ社■
家族経営の酪農家に価値と利益を生み出すことを重視し、持続可能性への取り組みを進めています。2023年秋には、革新的な飼料添加物を使って酪農場のメタン排出量を削減するパイロットプロジェクトが米国農務省から支援を受けました。
■フリースランド・カンピーナ社■
持続可能性目標を達成した場合、酪農家にプレミアムを支払う措置を講じています。2023年には、合計2億4500万ユーロを超えるプレミアムが支払われました。
 
 
レポートの概要をかなり濃縮しています。
詳細は<一次情報>の原文からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
北米乳業経営層の2024年の最大の関心事「米マッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書と乳業大手の取り組み」
https://www.j-milk.jp/report/international/h4ogb4000000g4vn-att/h4ogb4000000g4xt.pdf

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