令和6年度 第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会 概要
令和6年度 第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会 概要(本文2,157文字)
1. はじめに
消費者庁は、令和6年11月18日に「令和6年度第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会」を開催しました。本部会の開催趣旨は、細胞培養により製造される食品の安全性や規制、ならびに、錠剤やカプセル剤等の製造管理及び品質管理に関するガイドラインの改正についての検討とされます。
2. 議題
(1)細胞培養により製造される食品(細胞培養食品)について
(2)「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の改正について(微生物等関連原材料指針の追加)
(3)その他
3. 議事概要
3-1. 細胞培養により製造される食品(細胞培養食品)について
インテグリカルチャー株式会社、一般社団法人バイオインダストリー協会、および一般社団法人細胞農業研究機構から細胞培養食品について情報紹介された。
細胞培養食品は、動物や植物の細胞を培養して製造される新しい食品である。環境負荷の低減や食料資源の安定供給に寄与する可能性がある。この技術は、従来の食料生産方法に比べて持続可能性が高く、気候変動や食料安全保障の課題に対する有効な解決策となり得る。細胞培養食品の開発には、技術的な革新、安全性の確保、消費者の受け入れ、そして制度整備が不可欠である。企業やアカデミア、政府が連携し、技術開発と社会実装を進めることで、細胞培養食品は将来的に重要な食料資源となる。
3-1-1. インテグリカルチャー株式会社
細胞性食品の開発と安全性確保に関する取り組みを紹介。家禽由来細胞を用いた食品生産技術、環境負荷の低減、コスト削減のための要素技術開発、社会受容への取り組みが詳述されている。製造ラインの整備や安全性確認プロセスも説明され、企業やアカデミアとの協業、消費者への情報提供の重要性が強調されている。
3-1-2. バイオインダストリー協会
バイオインダストリー協会の活動紹介と細胞性食品開発の動向、制度整備に関する懸念と期待を述べている。細胞性食品のメリットや課題、各国の推進施策、規制承認の状況が取り上げられ、国内外の企業動向や安全性確認の重要性が強調されている。特に、消費者の安心感を醸成するための情報提供と表示ルールの整備が求められている。
3-1-3. 細胞農業研究機構
細胞農業研究機構の概要と活動指針、細胞性食品の開発状況を説明。国内外の細胞性食品の事例や、官民連携による情報収集と対応施策の検討が述べられている。細胞性食品の安全性確認や消費者への情報提供、制度整備の必要性についても提言されている。特に、国内での技術実装と国際的な議論への参加が強調されている。
3-2.「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の改正について(微生物等関連原材料指針の追加)
改正案は、錠剤やカプセル剤などの形状を持つ食品の製造管理および品質管理(GMP)に関する指針を見直すものである。2024年に発生した紅麹関連製品の健康被害事案を受け、微生物等関連原材料を用いた食品のリスク管理を強化するため、製品標準書の作成指針を追加する。これにより、製造者は適切な管理を行い、消費者の安全を確保することが求められる。消費者庁は、パブリックコメントを経て年内に改正を行う予定である。
3-2-1. 経緯及び現状
錠剤やカプセル剤等の食品の安全性確保のため、製造者に自主的な取り組みを推奨する指針が既に存在している。2024年3月に発生した紅麹関連製品の健康被害事案を受け、関係閣僚会合で対応策が取りまとめられた。消費者庁は、機能性表示食品制度の見直しを検討するための検討会を設置し、報告書をまとめた。また、厚生労働省も健康被害情報への対応を検討するための小委員会を設置し、紅麹関連製品の事案について報告を行った。
3-2-2. 対応(案)
微生物等関連原材料を用いた食品は、通常の食品と比べて製造工程でのリスクが高いため、製造管理・品質管理に一層の注意が必要とされる。対象食品の製品標準書を作成する際の指針として、「微生物等関連原材料を用いる錠剤、カプセル剤等食品の製品標準書の作成に関する指針」をGMP指針の別紙として示すことを提案している。また、消費者庁のホームページにQ&Aを掲載し、実効性を確保する。
3-2-3. 具体的な改正内容
GMP指針の第6の2.(1)製品標準書を改正し、微生物等関連原材料を用いる食品の製品標準書の作成に関する指針を追加する。対象食品の製造者が製品標準書を作成する際に参照すべき具体的なガイドラインを提供する。また、多くの種類の対象食品があるため、消費者庁のホームページにQ&Aを掲載し、実効性を確保する。
3-2-4. 今後の予定
微生物等関連原材料指針の内容について、パブリックコメントを行い、年内に改正を行いたい。
3-3. その他
その他の議題として、食品衛生基準の見直しや新たな食品技術の導入に関する議論が行われた。特に、消費者の健康被害を防ぐための制度整備や情報提供の重要性が強調された。会議では、各議題に対して専門家や関係者からの意見が交わされ、今後の対応策について具体的な提案がなされた。細胞培養食品に関しては、技術的な革新とともに、消費者の理解と受け入れを促進するための情報提供が重要であるとされた。また、GMP指針の改正については、製造者が遵守すべき具体的なガイドラインを提供することで、製品の安全性と品質を確保することが求められた。
4. 議事・資料
議事次第・委員名簿
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_001.pdf
資料1-1 インテグリカルチャー株式会社 提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_02.pdf
資料1-2 一般社団法人 バイオインダストリー協会 提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_03.pdf
資料1-3 一般社団法人 細胞農業研究機構 提出資料
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_04.pdf
資料2-1 「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の改正について(案)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_05.pdf
資料2-2 錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)(別添2)の改正(案)について
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_06.pdf
資料2-3 微生物等関連原材料を用いる錠剤、カプセル剤等食品の製品標準書の作成に関する指針(案)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_07.pdf
資料2-4 微生物等関連原材料を用いる錠剤、カプセル剤等食品の製品標準書の作成に関する指針に関するQ&A(案)について
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_08.pdf
資料2-5 最終製品の製造者向け微生物等関連原材料指針適用判定フローチャート
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_09.pdf
(参考資料1―1) 紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応(概要)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_10.pdf
(参考資料1―2) 紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応(本文)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_11.pdf
(参考資料2) 機能性表示食品を巡る検討会 報告書(令和6年5月27日付け)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_12.pdf
(参考資料3) 紅麴関連製品に係る事案の健康被害情報への対応に関するワーキンググループ(厚生労働省公表資料)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_13.pdf
(参考資料4) 「サプリメント(主に菌体を用いたもの)の管理で留意すべき事項等に関する調査」特殊な原材料(微生物に関するもの)を用いる食品のリスク管理に関する研究 (班会議名簿)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_14.pdf
(参考資料5) 「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針(ガイドライン)」及び「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」について (令和6年3月11付け健生食基発0311第2号)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms106_241115_15.pdf
<一次情報>
令和6年度第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会(2024年11月18日)
https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/review_meeting_004/039977.html
令和6年度第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会(オンライン会議)の開催について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/039987/