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農林水産省による米の価格動向などついての最新状況報告
農林水産省による米の価格動向などついての最新状況報告(本文2,928文字)
農林水産省は、令和6年11月19日付にて価格動向などコメに関する最新情報を公表しました。コメに共通し相互に影響していることもあり、一括してご案内致します。
<背景>
ここで取り上げる農林水産省によるプレスリリースは、次の2件;
なお、数値等のデータはこちら公表されています。
これらの公表を受けて、複数の報道機関が素早く反応しています;
令和6年11月19日、農林水産省は令和6年産米の相対取引価格が10月に過去最高値の2万3820円(60kgあたり)に達したと発表した。前年同月比で57%の上昇である。品薄状態が続く中、集荷業者間の競争が激化していることが要因とされる。この価格高騰により、すき家などの飲食チェーンもメニューの値上げを発表している。主要産地別の価格も大幅に上昇しており、家計への影響が懸念されることから、農水省は今後の需給動向を注視するとしている。
<概要>
発信されたニュースリリースの内容を濃縮してご案内します。詳細は<一次情報>からご確認ください。
1. 価格動向
令和6年10月の相対取引価格は、全銘柄平均で23,820円/玄米60kgであり、前年同月比57%の上昇となった。特に、コシヒカリやあきたこまちなどの主要銘柄で価格上昇が顕著であり、コシヒカリは25,000円を超える取引も見られた。この価格上昇の主な要因は、品薄状態と集荷業者間の競争激化である。また、令和6年9月の相対取引価格は22,700円/玄米60kgであり、10月の価格は前月比でも上昇している。特に、北海道や東北地方での価格上昇が顕著であり、これらの地域では生産量の減少が影響している。
2. 需給状況
令和6年産米の生産量は前年よりも減少しており、特に北海道や東北地方での減少が顕著である。天候不順や病害虫の発生が生産量に影響を与えている。主要産地別の在庫量も減少傾向にあり、全国的に在庫が逼迫している。令和6年9月末の民間在庫量は150万トンで、前年同月比で49万トンの減少となっている。特に、北海道や東北地方では在庫量の減少が顕著であり、これが価格上昇の一因となっている。また、令和6年10月の相対取引数量は、前年同月比で60%増加しており、需給バランスの悪化が懸念されている。
3. 消費動向
家庭用米の消費量は安定しているが、外食産業や中食産業での需要が増加している。特に、コロナ禍以降、テイクアウトやデリバリーの需要が高まり、中食産業の米需要が増加している。すき家などの飲食チェーンは、米価格の上昇に伴いメニューの値上げを実施しており、消費者の負担が増加している。また、業務用米の需要も増加しており、これが全体の需給バランスに影響を与えている。さらに、家庭用米の消費動向についても、価格上昇が消費者の購買行動に影響を与えている。
4. 輸出入動向
米の輸出量は増加しており、特にアジア諸国への輸出が好調である。日本産米の品質の高さが評価されており、特に中国や韓国での需要が増加している。一方、輸入米の量は減少しており、これは国内生産の減少に伴う価格上昇が影響している。輸出の増加は国内市場の需給バランスにも影響を与えており、価格上昇の一因となっている。また、輸出先の多様化も進んでおり、新たな市場開拓が進められている。
5. 政策対応
農林水産省は、米の需給バランスを維持するための政策を強化している。具体的には、米の生産調整や備蓄米の放出などの対策を講じている。また、価格の安定化を図るための市場介入や補助金の支給などが検討されている。今後の価格動向や需給状況を注視し、適切な対応を行う予定である。特に、価格上昇が続く中での消費者保護や農家支援が重要な課題となっている。さらに、輸出促進策や新たな市場開拓の支援も行われている。
6. 今後の見通し
米の価格は引き続き高止まりする可能性が高いと分析され、需給バランスの改善にはしばらく時間がかかることが予想される。需給バランスの改善には、天候の回復や生産技術の向上が必要である。また、消費者の需要動向や輸出入のバランスも重要な要素となる。農林水産省は、引き続き需給動向を注視し、適切な対応を行うとしている。特に、今後の天候や国際市場の動向が価格に与える影響についても注視が必要である。さらに、長期的な視点での需給バランスの改善策も検討されている。
なお農林水産省は、米に関するマンスリーレポートほかについて活用を促しています。
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ニュースリリースについて、詳しくは<一次情報>からご確認ください。
<予想される影響>
1. 短期(数ヶ月以内)
米の価格上昇により、消費者の家計負担が増加すると考えられます。特に、外食産業や中食産業での価格転嫁が進み、飲食チェーンのメニュー価格が上昇する可能性が高いです。また、米の在庫が逼迫しているため、供給不足が発生しやすくなります。消費者の購買行動が変化し、安価な代替品へのシフトする可能性があります。
2. 中期(半年から1年)
需給バランスの改善が進むにつれて、米の価格は徐々に安定することが期待されますが、天候不順や病害虫の発生が続く場合、生産量の回復が遅れる危惧があります。輸出の増加により、国内市場の供給がさらに逼迫する可能性があり、これが価格の高止まりを引き起こす要因となります。
3. 長期(1年以上)
天候の回復や生産技術の向上により、米の生産量が回復し、需給バランスの改善が期待されます。また、輸出市場の拡大に伴い、日本産米の国際競争力が強化される可能性があります。消費者の需要動向や輸出入のバランスが安定することで、米の価格も安定する見通しです。
<今後の展望>
米の価格上昇が続く中、事業者は、価格転嫁の影響を最小限に抑えるため、効率的な仕入れや在庫管理を強化することが求められます。またこれと並行して、消費者に対して価格上昇の理由を丁寧に説明し、理解を求める姿勢が必要です。いっぽう消費者は、家計への影響を最小限に抑えるため、計画的な購入や代替品の検討を行うことが推奨されます。さらに、農林水産省の政策動向を注視し、適切な対応を取ることも重要と考えられます。
<一次情報>
【農林水産省】米に関するマンスリーレポート(令和6年11月号)の公表について
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/241119_1.html
【農林水産省】米に関するマンスリーレポート(令和6年11月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/attach/pdf/mr-870.pdf
【農林水産省】令和6年産米の相対取引価格・数量について(令和6年10月)
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/241119.html
【農林水産省】令和6年産米の相対取引価格・数量(令和6年10月)(速報)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/attach/pdf/aitaikakaku-337.pdf
<関連情報>
【農林水産省】米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/aitaikakaku.html
【農林水産省】米に関するマンスリーレポート解説特集「ここが分からない!マンレポ」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/soukatu/manrepo_kaisetu.html
<参考情報>
【日本経済新聞】2024年産コメの生産下振れ 高温・カメムシ・台風響く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB187K30Y4A111C2000000/
【日本農業新聞】米相対価格2万3820円 前年の6割高 産地別一覧表も
https://www.agrinews.co.jp/news/index/271909
【NHK】新米の相対取引価格 去年同月比57%上昇2か月連続過去最高
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20241119/1000111257.html