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40代で、独身で、貧乏で、子供がいないということ

 図書館で、くどうみやこさん、森下えみこさんの
『まんが 子どものいない私たちの生き方』
 という本を読んで、自分の人生についていろいろ考えました。
 
 44歳、独身、子なし。
 月11万生活の貧困、
 障害者。

 実は、人から「結婚したら?」と言われたことがほとんどありません。
 たぶん障害があるからだと思う。

 世の中の健常者はなぜか、
「障害者は結婚しない」
 と思っている人が多い。
 でも実際は、私が行ってた作業所とかにいる障害者、半分は結婚してたし、子供がいる人も普通にいた。

 私たちだって人間なのだから、
 人を好きになるし恋愛も結婚もする。

 なぜか知らないけど、健常の人は障害者を人間ではない別な生物だと思っているのか?と感じざるを得ない反応をする人、けっこう多い。
「障害者なのに結婚するの?」
「障害者なのに旅行するの?」
「障害者なのにおしゃれするの?メイクするの?
 意味ある?」
 とか。そこまであからさまではなくても「あんたが私たちと同じことしてるの、おかしい」みたいなことはよく言われる。
 お前の方がおかしいんだよ!と、思う。

 私の周りで唯一「結婚しなさい」とうるさく言ってきたのは、ハローワーク(みどりの窓口)の人。
 若い頃、就職の相談で来てるのに、
「結婚の予定はないんですか」
 と何度か聞かれてうんざりしたことがありました。それもたぶん、
「どうせ障害者にはろくな仕事がないから、とっとと結婚して夫に養ってもらえよ」
 という意味なんでしょうね。
 男にも同じこと言ってみろ、と思ったわ。

 障害の話をすると話題から外れていくので、このへんでやめて、一般的な「子供がいない」に移ります。

 男の人は年をとって子供がいなくても何も言われないのに、女の人だけが「子供を産まないと一人前じゃない」みたいなこと言われるの、おかしいですよね。年配の人を見ていると、女の人より男の人のほうが一人前じゃないおかしな行動をしてることが多い気かするのですが……(偏見)。

 本来、気にすることないんですよね。
 生き方は人それぞれ違うんだから。
 人それぞれ事情があるんだから。

 私の場合、障害が遺伝するもので、
 私が子供を産むと、もっと重い障害を持った子供が生まれてくる可能性があり、
 子どもは、断念せざるを得ませんでした。
 中学校くらいでもうわかっていました。

「子供を産めない女と結婚したい男はいない」
 と思ったので、結婚も断念しました。
 でも、心のどこかでは、
 理解してつきあってくれる男性が、
 いつか現れるかもしれないと、
 淡い期待をしていました。

 もちろん、そんなのは夢でしかなく、
 私と結婚したい男性は、現れませんでした。

 一人、結婚したいと言っていた人がいましたが、
 障害のことを知った瞬間に音信不通に。

 世の中、こんなものです。
 仕方ありません。

 仕方ない。

 仕方ないのですが、それでも、
「もし子供がいたら……」
「結婚していたら……」
 と思ってしまうこと、よくあるんです。
 しかも40代になってから増えた気がします。
 本格的に「産めない年齢」になったからかな。
 親の世代に近づいたからかな。

 公園で遊んでいる親子を見た時。
 若いアイドルを見て、
「二十代で出産してたらこれくらいの歳かな」
 と、息子や娘のように見てしまった時。
 家族のいる人が急にうらやましくなったり。

 あるんですよ。そういうこと。

 あと、近所のカルチャースクールでいい講座をやってるなと思ったら、
「子供がいるママさん限定」
 だった、とか……。
 あ、子供がいないと除外される世界なんだ……。
 なんて思ったり。

 冒頭の本に、子供がいない女性のための団体が載っていたのですが、
 キャリアばりばりの人が多そうで、
 私には敷居が高く感じてしまいました。


 40代のもう一つの悲しみ。
「歳を取ったのに、キャリアを積めなかった」

 言い訳でしかないんですが、
 私は氷河期世代で、同年代は正社員になれなかった人が多いです。派遣の問題が出始めた頃でもあった。今でも非正規で貧困の人、だいたい同年代か少し上の世代だと思います。
 しかも私は一番働き盛りの30代を病気(幻聴など)て丸々失ってしまったので、
 仕事のキャリアを積めませんでした。

 40代になっても最低時給のパート。
 いや、わかってるんです。
 私のようなものには、
 働く場所があるだけ、まだ幸運だということが。

 でも、まわりを見ると、

 子育てしてた友人の子供は立派に成人。
 ちゃんと働いていた同年代はキャリアを積んで昇進したり、ちゃんとした地位を得ている。家を建てている人もいる。

 私には、そういうのが何もない。

 今までできたことといえば、
 誰も読まない小説をいくつか書いただけ。

 生活がギリギリすぎて、
 子供のいない人がよく言う、
「経済的余裕」はないし、
「好きなことにお金を使う」こともできない。

 私の人生って何なの?

 まわりと比べると、みんな立派すぎて、
 我が身が小さく見える。
 それも、40代なのかもしれません。

 でも私は幸せなところもあります。

 図書館の拠点が近いので、
 本は無料で読めます。

 昔は本代を捻出するのが大変だった……。

 最近は、心が穏やかなので、
 空や、夕日や、そこらへんの花の美しさに、
 気づく余裕ができました。

 あと、家族がいないのは悲しいですが、
 その分、人間関係で煩わされることは少ない。

 夜中に突然起きて、
 サキちゃんの話を書き始めても、
 誰にも文句は言われない。


 だから、私も幸せなんですよね。
 ある意味では。

 私の人生は、私が定義して、
 私が背負っていくしかない。
 他人と比べてもしかたない。

 若い頃は、なんとなくみんな、
 同じようにいくものだと思っていたけど、
 歳をとってみたら、
 一人ひとりやることなすことバラバラ。
 過程も、結果も、その背負い方も、
 生き方も、それぞれ違っていた。

 それは、それぞれが自分で、
 受け止めて生きていくしかない。
 幸も不幸も、何もかも。


 だから、私は私のこの人生で、
 生きていくしかないなって、
 まあ、当たり前のことなんだけど、

 そういうことがわかるのも40代なのかな。
 若い頃は可能性がありすぎて、
 自分の人生がいくつでもあるような、
 そんな錯覚に陥ることがあるけど、

 実際には、
 自分の人生は一つだけだから。

 自分でその一つにふさわしいものを選んで、
 作っていくものだから。



 

 出会いに関しては、たぶんまだ諦めてない。
 まだ王子様が来ると思ってる笑
 息子のように若いアイドルも平気で推す。
 最近はINIの西くんと松田くんが好き。
 キンプリの2人も好き。

 いいの。
 いくつになっても、白髪になっても、
 心は乙女だから。





 真面目な文章を書くつもりだったのに、
 だんだん軽くなってしまった。

 読んでくれた人すみません。
 そして、ありがとう。

 まわりに子供がいない女性がいたら、
 余計なことは言わず、
 優しくしてあげてくださいね。



 

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水島素良(Sora Mizushima)
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