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50代からの学び Newspicks Newschool コンテンツプロデュース講座② 敗者復活の末のウイークリー落合

トランスジェンダーの杉山文野さんは娘の学校の先輩だった

NewspicksのNewschool 佐々木紀彦氏が講師のコンテンツプロデュース講座に参加し、その2回目の課題がインタビュー企画を提出するというものだった。A41枚に提案書を書いて、受講者全員で投票し上位数名の企画が選ばれ、実現に向けチームで取り組むというものだ。

まずは誰にインタビューするかを考えなければならないのだが、私は全くのノーアイディアだった。改めてこれまで仕事以外に興味を持たずに生きてきたことに気付き、我ながら自分を残念だと感じる瞬間だった。期日が迫る中ふと大学生の娘に、「誰か話を聞いてみたい人はいない?」と訊ねた。

すると娘は「杉山文野さん!」と即答だった。娘は、杉山文野さんへの思い入れが強い。理由はいくつかあるが、きっかけは文野さんが娘の出身の日本女子大学付属校の卒業生で、いわゆる先輩になる方だということだった。娘が高校生の時に、授業で文野さんがゲスト講師で来て話をしてくださったというご縁があった。

その時のことを私は鮮明に覚えている。杉山さんはトランスジェンダーだ。女子高を出ているものの、心は男性だったために様々葛藤があり、現在はトランスジェンダーで2児のパパだ。(簡単に書いてしまったが、是非文野さんの著書を読んで欲しい。)

【杉山文野さんの著書】

●「ダブルハッピネス」

●「元女子高生、パパになる」

●「3人で親になってみた ママとパパ、ときどきゴンちゃん」

さて文野さんの講話を聞いた日、学校から帰るなり娘が放った言葉がこうだ。

「ママね、文野さんに会ったら絶対惚れるよ!」

すっかり文野さんのファンになってしまっていた。トランスジェンダーの方の知り合いがいない私は、会ってみたいな~と思ったものの、まさか実現する日が来るとは思っていなかった。

そして、このコンテンツプロデュース講座で提案書を出す前の夏に、娘からまた文野さん情報が舞い込む。

「NHKのドキュメンタリー番組で、文野さんを特集するよ!『カラフルファミリー』だって!見るよ!」

有無を言わせない勢いで番組当日テレビの前に導かれ、私は初めて動いている文野さんを見た。確かに惚れる!とっても男らしい。強い意志と決断力のある発言は気持ちが良い。番組の内容は、文野さんとパートーナーの女性は二人の間に子供が欲しいと考えるものの、体が女性同志であるためにそれは叶わない。そこでゲイの友人に依頼をし、精子を提供してもらって子供を授かることになる。

パパ2人、ママ2人?一見とても複雑だ。しかし「子供の幸せ」という共通の思いがあると、様々な問題は「解決する」という方向にしか向かわないものだと感じさせた。(これもまた簡単に書いてしまったが、見る方法があれば是非番組を見ていただきたい。)

この番組の中で一番私の心に響いたものが、パートナーの女性の言葉だった。

「私はバトンを渡されたんだね」

シスジェンダーの彼女は、今までトランスジェンダーとして生きてきた文野さんの様々な苦悩というバトンを受け取って受け継ぎ、共に解決に向け活動していくという意味だと、私は捉えた。

そして文野さんが番組の中で「小さい頃から男の子は青、女の子はピンクと色分けてしてしまう。それが苦痛だった。」と言ったことが、私の中でバトンを渡されるという言葉とつながった。

私はFINEST株式会社という企業研修会社以外にもう一つ、一般社団法人ビジネスカラー検定協会という会社の代表でもある。この会社は「カラーで日本を元気に!~Enjoy your color~」をキャッツフレーズにカラーを楽しく活用しようとする活動をしている。ところが、文野さんの発言は、カラーで人を元気にするどころか、カラーで苦痛を感じさせてしまっている。そのことにとてもショックを受けた。

バトンを渡され何かできないかと考え、先ずは小さな一歩として、協会でLGBTQとカラーについてのアンケートを取り、現状を伝えることから始めようと考えた。

▶「LGBTQ+と色彩の関わりについてのアンケート」結果はこちら

そしてバトンを渡された活動の2つ目が、今回のインタビュー企画だったのかもしれない。私が提出した提案書はこれだった。

文野さん

投票で選ばれなかった企画が敗者復活するまで

さて、投票当日。私の企画は残念ながら上位数名には選ばれなかった。文野さんを多くの方に知って欲しいと考えていたので、とても残念でならなかった。そして自分の提案力のなさに落ち込んだ。

ところが、佐々木さんが「選に漏れた中から敗者復活をしてもう1企画選びましょう!」と言ってくださった。もしかして私の企画にも、もう一回チャンスがあるかもしれないと期待した。しかし、敗者復活でも票が届かなかった。

ただ企画の講評の中で佐々木さんが、杉山文野さんをご存知で、ちょうど文野さんを題材にした小説を乙武さんが出版したばかりであることに触れ、私の企画に少なからず興味を持ってくれたように感じた。

乙武 洋匡さんと杉山 文野さんの「ヒゲとナプキン」はこちら

物事にはタイミングと言うものがある。これを逃したらきっとこの企画はずっとお蔵入りになる。何かそう直感した私は、佐々木さんに直談判した。すると提案書をもう一回出すというチャンスをくれた。それからすぐに文野さんに連絡をとってお話を伺うと、文野さんは話す機会をいただけるなら「新しい家族の形」について話したいとのことだった。

「古典的な家族の枠を超えて、多様性が尊重される新時代の家族の形を認めらる、そんな社会になれるような発信をしたい!」という文野さんの熱意は、私のミニマムマナーの思いと重なった。(ミニマムマナーの思いはNewschool コンテンツプロデュース講座①に記しました。)

そして再度の提案書の企画が通り、しかも!なんと!「ウィークリー落合」の番組で取り上げてくださるということになった!

このシリーズ①で「落合陽一に恋するマナー講師」というネーミングを付けていただいたと書いたが、なんと!落合さんの番組で、会いたかった文野さんが出演するという、私にとっては奇跡が起きた。

▶ウィークリー落合:家族とは何か?「家族のかたち」を考える はこちら

(番組のご出演者の方々とご一緒にお写真を撮っていただきました!ありがとうございます。)

50歳を過ぎて勇気を出して受講を決めて、まさかこんなご褒美を頂けるとは夢のような出来事だった。一時このコロナ禍で、もうここまでかなと感じることもあったのも事実だ。しかし、人生にここまでと言う線引きをしてはいけないと感じる出来事だった。敗者復活のチャンスを2回くださった佐々木さんに、懐の広さ、奥深さ、そしてご自身は否定するかもしれないが、優しさを感じた。

佐々木さんは年下になるのだが、人生の師に年齢は関係ない。そんな学びもこのスクールにはある。


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