粋(イキ)な取り計らいが通じなくなってきた!
自己紹介
昭和~平成に替わる時期にANAに入社し、良い時代にCA生活を送りました。時代は流れ、ANA仲間とマナー研修会社を立ち上げ間もなく10年。令和の時代に取り残されないように必死で若い世代と交流し、その中で若い世代と私たち世代をつなぐ~「イケおじ」として知っておきたい~記事を書いております。同じ世代の皆様のお役に立てば幸いです。
遠距離恋愛の新入社員
イケおじの皆さんに是非知っておいて欲しいことがあります。それは、もはや昭和時代に粋だと言われたことが通用しなくなっているということです。
きかっけは、あるネット記事でした。そこにはこんな事例が書いてありました。(凡その内容なので私の記憶違いもあるかと思います。)
ある新入社員のA君は、学生時代から付き合っていた彼女がいました。現在彼は就職して働いていますが、彼女は海外に留学してしまいました。しばらくの間遠距離恋愛が続きます。
そんな彼女が今日留学から戻ってくるのです。A君は勤務中ではあるけれど、久しぶりの再会を空港で成し遂げたいと思い、上司に空港に迎えに行きたいと相談します。しかし、上司にはダメだと言われてしまいます。
その後、A君は上司に呼ばれます。そしてその上司はこう言うのです。
「そういえば、客先に行くのにお土産を買い忘れててさ~、空港に美味しいお菓子があるから買ってきてくれないかな~。」
これを読んだ私はなんて粋な上司でしょうと心にハートマークが浮かび💛、きっとここは素敵な職場だんだろうな~と思いめぐらせました。
昭和時代に「粋だね!」って言われたことが今では・・・
ところがです!A君の感想は私のそれとは違いました。
「あ~、俺の用事で空港行くのはダメで、自分(上司)の用事で空港に行くのはいいんだ。ひどい上司だ!」
いえいえ、A君!上司は立場上勤務時間中に私用で空港に行くことを表立ってはOKと言えないんです。だから、お客様がらみと言うことにして勤務として空港に行かせようとしたのよ~!!!
と、声を大にして叫びたい気持ちでした。昭和のドラマによくある粋なシーンじゃないの。。。
ところが、今の平成、令和の時代ではこの粋が通じないんです。この話を新入社員研修の休憩時間やその他の研修でも、時間を見つけては受講者と意見交換しておりました。
すると20~30代までの9割はA君と同じ感想を持っていることが分かりました。そして40代も5割がA君派でした。(50代以上になると、8割が粋だと答えます。)私が上司の気持ちを彼らに解説すると、「え~それならそうと言ってくれればいいのに~」と言います。
ローコン世代にはちゃんと言葉で説明を!
これは日本の若年層のローコンテクスト化と言って、すべて言葉で説明しないと通じないということが起こっています。言葉ですべて説明するとはつまり、その上司はA君に次のように言えばよかったのでしょう。
「申し訳ないね、立場上OKとは言えないから、敢えて空港に行く業務を作ってあげるよ。空港にお客様用のお土産の菓子折りを買いに行って欲しい。そこでこっそり彼女に会う分には目をつむるよ。」
昭和の時代、粋の反対は野暮と言われてちょっと残念な行動や対応をさしました。粋なはからいとは、ここまで言葉で言わなくてもピン!とくるというもので、一方全部手の内を明かして解説してしまうことは、我々世代だと野暮だね~と思ってしまいます。ダジャレがうけなくて、意味を解説するようなものでしょうか。ダサい(・・・も死語かもしれませんが)印象を受けます。
粋な対応と言うものが、時代と共に変化しいていきます。どちらが良い悪いというよりも、皆が笑顔でHAPPPYになる選択をしたいですね。それが出来るのは、年を重ねたイケオジ世代ではないでしょうか。それを信じてこの話をご紹介しました。
因みにローコンテクストというのは、もともと弊社FINESTの「外国人のための日本のマナー研修」でハイコンテクストの日本とローコンテクストな諸外国との文化比較として解説している内容なのですが、今は新入社員研修、管理職研修でもお話しています。(良かったら詳細は下記FINEST HPをご覧くださいませ。)