防災ゲームDAY@そなエリア東京
現在、防災ゲームは自治会の防災訓練,学校教育,様々な場面で活用されている。私自身,静岡県が開発したHUGや文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」において開発された防災クロスロード等のファシリテーターを,小学校や高校の授業等で担当したことがあり,ゲームを通して短い時間で,少ない手間で,複合的な被害を孕む自然災害を想像することができるということを実感している.
このような防災ゲームが世間に浸透してきた背景の一つには,ライセンスフリーで使用することができるコンテンツが増えてきたということがある.
阪神・淡路大震災を機に設立された「NPO法人プラスアーツ」のカエルキャラバンや前述の防災クロスロードもその代表的な例である.※事前連絡や事後報告を求めるものもある
使用ライセンスをフリーにすることにより,防災・減災や共助のしくみづくりに取り組む人々が手軽にその手法を手に入れ,実践することができるようになった.さらに,地域性を鑑み,オリジナルのシチュエーションを落とし込むなど,開発者のみならず実践者の手で発展していることが防災・減災効果を高めていると言えるだろう.
一方で,防災ゲームを扱うファシリテーター,講師といった立場の人々の育成が不可欠である.ライセンスフリー化することにより,専門家でなくても積極的に防災ゲームを通した防災・減災活動の実践を行えるようになったが,最新の防災・減災の知見に触れられない,極端な表現をすると,古い情報の流布が行われている場面も散見される.
専門家であっても素人であっても,自身の知識をアップデートし続けられなければならない.それは,災害は自然現象を社会が受け止めきれない結果であり,社会は常にアップデートされているからである.
教訓を伝えるだけでなく,教訓を活かすことにより,多様化し,変容する社会での防災・減災に取り組むべきである.