トイレットペーパー3年分!
その1は下記からどうぞ。
現地の情報が少しずつ入るようになり、
明らかになるのは、
インドはとても大変な場所だということばかり。
『トイレットペーパーは3年分持ってきてください』
これはあの当時、インド駐在員の常識でした。
インドではトイレットペーパーを使用しないので売っていないのです。
生活様式の違いなら仕方がありません。
ただ、トイレットペーパーに限らず、
『日本人が普段使っているものは、現地では手に入りません』
これが当時のインドの状況でした。
行くと決まったその時から、
私たちは週末ごとに買い物に走りました。
食料品から日用雑貨を大量に買い込みました。
『娯楽が何もないから、趣味のものを用意した方がいい』
『自宅でお客様を接待することが多いので、その準備も』
『インドの薬は強いので、使いつけの薬を持ってきておいた方がいい』
『使い捨ての注射器、点滴針もあると万が一の時に安心』
情報が集まれば集まるほど、
逆に不安になる始末。
その不安を払しょくするために、
私たち夫婦は、考えられる限り
ありとあらゆるモノを買い込み、荷物に入れました。
今なら当たり前の消毒用アルコール
あの当時は売っていませんでした。
食事の支度を手伝うメイドさん用に
病院に掛け合って、在庫を分けてもらいました。
こうして、あちこちから集めたモノたちが、
自宅の一部屋を埋め尽くしました。
たくさんのモノを持つことで、
不安を安心に変えようと必死でした。
今、振り返りながら思うこと。
モノじゃなかったな、ということ。
モノは所詮モノでしかなく、
いくらかき集めたところで、
『これですべて揃った、もう安心!』にはならないのです。
『あ、あれも買って持って行かないと!』と
毎日足りないものが浮かんできて、実際きりがなかったのです。
不安でしょうがない私に本当に必要だったのは、
モノではなく、
不安な気持ちを吐き出すことだったのではないか。
何が足りなくても、自分は大丈夫!
そう思えることが必要だったのではなかったか。
でも、あの時は仕方がなかったよね。
最善策ではなかったけれど、
私なりに頑張った!とは言い切れる。
インドに送る荷造りしながら、
時々涙していた自分を
今懐かしく、いとおしく、思い出しています。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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