コンサータ錠18mg日記 6月22日⑤
そんなことでカーテン屋さんに行ってカーテンばかりが両側にならんでいるそのあいだを ひとつひとつ見ながら、あああれはどうだ。これはと
見ていくとき、わたしの脳内では あの親しすぎるぐるぐる思考はまたやってきた。特にハーイと声をかけてくることもなく、あたりまえのように
ぐるぐる思考はわたしの中にあった。
そして、さっき電話で話した友だちの言葉の、人のことを言っているようで
あの言葉はわたしにも向けられていたのじゃないかとかいう、そういうつまらない、些細な、それを考えることで何か、お給金につながるような、あるいはこころが明るくイエーイ。となるようなところには どこにも繋がらない、どうだっていいようなことをあれこれ頭は、脳は、コンサータ錠18mg
摂取後も、繰り広げ始めるのだった。
繰り広げ始めるのだったが、その繰り広げるさまが、いつものようにわたしの芯にまでは入ってこない。繰り広げられていはいるものの、わたしというものからは、距離が遠くて、そのぐるぐる思考はわたしをおびやかさなかった。
わたしはカーテンを見ながら、色とりどり、レモンだったり草だったりその模様や、布にしたって、ざくっとしたものや、繊細でしなっとしたものや
見ていったらだんだんに価格もあがっていきあがっていくにつれ、色彩の下加減が繊細になっていく、そうすると最初見た4枚1900円のぺらぺら。
そうするうち最終30000円くらいのところまでの幅があり、色があり、その色々を見ているだけで ほんとうにいろんなことを考えている。
カーテンは可能性だ。どんな色でもあってどんな色を購入して掛けてもいい。
わたしはカーテン売り場をぼんやりただよいながら、生まれかわりたいと思った。生まれわれるものならば、今から自分が死んでしまう形ではなくてただ同じように存在は継続するのだけれど 生まれかわりたい。生まれかわりたい。と思った。
そうして電話で話した友だちも うまれかわったらいいのにな。
うまれかわったらいいのになと思った。
思ったそばから、今までどれだけ生まれかわりたいと思ったことがあって、それが何回叶わなかったと思ってるの。うかうかコンサータ錠18mgを飲んだくらいのことで、うかうかして、またその生まれかわりたいがひっくりかえったら、どうするのん。油断したらいけない。とすぐに こころがたしなめる。
明らかに昨日までとは違っていて、この今のこころが決めるカーテンは
わたしが決めたと言っていいのか。今の脳はわたしの脳なのか。
そこのところもわからない。仕事の電話がかかってきて、少し話す。
電話が極端に苦手で、仕事のときは、極端な仮面をつけて、てきぱきと話すようにしている。電話が異様に楽だった。電話すらもわたしと距離があって、その距離がとても楽だ。
わたしはカーテンを選んだ。コンサータ錠18mgが選んだのか、わからないが、少なくとも今のわたしが選んだカーテンを買って家に帰った。
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