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捨てられる髪の毛が地球を救う

美容室で毎日たくさん生まれるものといえば・・・

カットした後の髪の毛です。

今回は、そのまま捨てればただのゴミとなる髪の毛が地球を救う話を。

美容室で出る髪の毛の処理方法

1.通常の廃棄方法

美容室で毎日出るカットした後の髪の毛ですが、通常廃棄する場合は、事業系一般廃棄物扱いとなり、可燃ゴミとして出すことになります。
ただし、家庭ゴミのステーションに捨てることは禁止されているため、処理施設へ持っていくか、一般廃棄物収集運搬許可業者に依頼して収集してもらうことになります。

2.髪の寄付

条件が合えば、ヘアドネーションという形で、髪の毛を寄付することができます。

【条件】

  • 31cm以上の長さがあること

  • 完全に乾いた髪の毛を用意できること

  • 髪の毛を軽く引っ張っただけで切れてしまうほどの極端なダメージがないこと

【方法】

  • 髪の束は同一人物ごとにまとめる

  • 切り口は輪ゴムなどでしっかり結びほどけないようにすること

  • ヘアドネーションを受け付けている団体へ送付

【主な団体】
Japan Hair Donation & Charity
NPO法人HERO
つな髪

3.リサイクル

どんな長さや状態の髪の毛であっても、リサイクル対象となる「クリーンウェーブプロジェクト」。

髪の毛を集め、オイルフェンスにリサイクルすることができます。

クリーンウェーブプロジェクトとは?

1.髪の毛でオイルフェンス

髪の毛はその特性として、水溶性で伸縮性に優れているほか、髪の毛自身の重さの最大1,000万倍まで支えられるという、実はすごい素材です。
さらに、髪の毛1㎏で7〜8Lの油と炭化水素を吸着する可能性があると言われています。

この特性を活かして、環境汚染物質を吸着させる素材に加工する取り組みが世界中で進められています。
例えば、石油類などが事故等によって海や河川、湖などの水面上に漏洩・流出した場合に、油の拡散を防いだり、流出を防ぐ「オイルフェンス」という役割で設置される素材に髪の毛が適していることが発見されました。

従来のオイルフェンスは、大量の分散剤や回収装置を使用したり、合成素材のオイルフェンスが使用されますが、 分散剤などは生態系への影響は甚大で、多くの海洋生物が死んでしまうという問題がありました。
手に入りやすい髪の毛を使用することは、持続可能性があり、環境に悪影響を与えないサスティナブルな解決法なのです。

2.オイルフェンスのはじまり

1989年、美容師のフィリップ・マクロイさんは、アラスカ州プリンス・ウィリアム湾でおきた米国史上最大の石油流出事故であるエクソン・バルディーズ号原油流出事故により、その水面を泳ぐ鳥の羽や毛皮に原油がべっとりと付着している映像を観ました。

このとき、羽毛や羽が油を吸着しているのだと考えましたが、それを大量に確保することは難しいもの。しかし毎日カットして捨てている人間の髪の毛で同じことができないかと思いつきました。

そして、マクロイさんは、妻のストッキングに髪の毛を一房詰めて、水に浮かべた機械油がどうなるか試してみました。

その結果、大成功!
予想通り、人間の髪の毛も油を吸収してくれることがわかりました。

さらに1998年、マクロイさんは、NASAマーシャル宇宙飛行センターで髪の毛を詰めて作ったスポンジで実験を行いました。

髪の毛で作ったスポンジをナイロンの袋に入れた実験の結果、3.7リットの原油が2分未満で吸収されるということが判明しました。

そして1999年、マター・オブ・トラストを創業し、海の波間を清掃する「クリーンウェーブプロジェクト」が立ち上げられました。

3.日本のクリーンウェーブプロジェクトについて

2021年には日本でクリーンウェーブプロジェクトが開始されました。

髪の毛を利用して、環境汚染物質を吸着させる素材に加工する取り組みを進めています。

日本では、美容室から回収した髪の毛をマットに加工して、排水溝に設置。水質汚染につながる油や炭化水素などを、川に流れる前に吸着しようという試みを実施しています。

また海外で石油流出事故があった場合には、諸外国のパートナーと協力して作ったマットを提供しています。

【受け付け内容】

  • 2.5cm以上の毛髪のみ(人間の髪の毛のみ)

  • 2.5cm~10㎝と10㎝以上の髪の毛は分別して袋にまとめる

  • カラーやブリーチ、傷んでいてもOK

  • ジェルやスタイリング剤のついた髪はNG

  • 十分に乾いている髪であること

  • 毛髪だけを送付する(ピンやヘアゴムは入れない)

なお、送付は個人からでもお店からでもOK。
送付先は、東京都世田谷区
※2023年4月時点

▼詳しくは、こちらをご覧ください

【日本の窓口】
米国環境活動団体Matter of Trust の日本パートナー
マターオブトラストジャパン
※Instagramアカウントです

その他、マットをつくるためのボランティアさんも随時募集されています。
※中学生から参加可能(中学生は保護者同伴/高校生以上の未成年は保護者の同意を得たうえで参加可能)


髪の毛が環境を守ることに利用できることを初めて知りました。まだまだ認知度は低いようですが、ヘアドネーションできない方や、「美容師として役に立てることはないかな?」と考えている人の選択肢の一つとして広がっていくと良いなと思います。もちろん、この活動は美容師さん以外も参加できます。

美容室のサロン業務を効率よく進めて時間の余裕ができると、こういった活動も日常の1つにできるかもしれませんね。業務の効率化には、一元管理できるPOSレジシステムの導入が便利ですよ。


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