【美少女ゲームレビュー】終末の過ごし方
今回紹介するのは、1999年にアボカドパワーズから発売された「終末の過ごし方」です。
今まではフルプライスの作品ばかり紹介してきましたが、今回の作品はロープライスゲーです。5時間程度で全クリアできるので、ノベルゲーム初心者の方にもオススメしやすい作品となっております。最後まで読んでいただければ幸いです。
~あらすじ~
次の終末に人類は滅亡だ。
国家非常事態宣告が発令されてから7週間が過ぎた。いよいよ次の週末、人類はその小さな歴史を閉じる。死を選ぶもの、生にしがみつく者、来世を祈るもの・・・しかし、絶望は終焉ではない。週末まで7日間。人々に残された黄昏の刻である。そしてそんな中、平凡な日常を生きる主人公たちの姿があった。果たして彼等には見つけられるだろうか。
「終末の過ごし方」を。
私がこの世界でする、「最後の約束。」
と言った感じの終末ゲーです。今作の特徴的な点としては、終末に対して抗ったり、対策したりとかは一切しません。なんなら何故世界が終わるのかも細かく明かされていません。壮大な伏線回収もなければ残虐なシーンもありません。本当に世界が終わるまでの日常でしかないのです。
あと物語の本筋に一切関係ない要素ですが、何故かヒロインが全員眼鏡です。
~ゲームシステム~
この作品はエロゲには珍しい三人称視点となっています。神様視点で、3組のカップルの行く末を見守る感覚です。
ここでややこしいのが3組中2組は相手が固定されているのですが、主人公の知裕くんだけは4人のヒロインのうちから1人を選択する形になります。
知裕×香織or緑orいろはor香奈カップル、多弘×留希カップル、重久×千絵子カップルの3組のシナリオを読むことが出来ます。
固定の2組はノーマルエンドかトゥルーエンドと二種類が存在します。どちらのエンドになるかどうかは、道中の選択肢によって変わります。短い話ので、乱数調整しつつというよりは完全固定選択肢を辿る感じになるので攻略サイト見るのが良いと思います。感覚だけで進めると知裕が誰とも結ばれないノーマルエンドに突入しがちです(他2組はノーマルグッド関係なくエッチシーンは共通で見ることが出来ます)。
正直ボリュームの割にパッと理解しずらいシステムですね……。
~良かった点~
①空気感
1番はやっぱりここだと思います。シナリオゲーというよりは雰囲気ゲーなんですよね。良い意味で。一般市民でしかない彼らは世界の終わりに対し為す術などないし、どうにかしようなんて一瞬でも考えられないほど彼らは平凡な人間なのです。終末からできるだけ目を逸らし、惰性で学校に通う人々の諦めが不思議なくらいカラッと描かれています。重すぎないけど、軽すぎない。ふと「もしあと一週間で世界が終わったらどうしよう」なんて一緒に考えながらプレイするのが楽しい作品です。
②イラストが美麗
グラフィックは良い意味でエロゲっぽさがなくて絵本のような美麗さがあります。
全体的に色素の薄い水彩画タッチはこの作品退廃的な刹那さに相性バツグンです。
シンプルでどちらかと言えばリアル寄りな絵柄なのでエッチCGは生々しいエロさが凄まじいです。特に千絵子ルートは湿っぽい空気が超エロいです。ぜひ実際にプレイして体感していただきたい。
~気になった点~
圧倒的なボリューム不足ですね。サクッと遊べると言う意味では良いんですが、サクッとし過ぎてます。実質ヒロイン6人で5時間弱は短いと言わざるを得ないですね。どのヒロインも非常に魅了的で性格のタイプも違う子ばかりなので、もっと掘り下げたらもっともっと良い作品なりえたと思います。
システムに関しては複雑ですが、短いので何となく触って慣れてくる頃にはもうクリアしているんですよね。意外と大きな問題点ではないのかな?という印象です。
個人的な感覚で言うと、男性キャラクターの知裕(ちひろ)、多弘(たひろ)って名前似すぎてませんか?2人は親戚関係でもないし名前が似てることが伏線だったりもしません。マジでただ名前が似てるだけです。細かいところなんですが、結構読んでて違和感でしたね。別にいいけど何故こんなにも似た名前をつけたのか、ただただ謎です。
~最後に~
この作品は「なんでも良いから手短に遊べるエロゲをプレイしてみたい!」という方にオススメです。正直ボリュームの関係上名作になり損なった感は否めませんが、間違いなく他には無い独自性を持った唯一無二の良作です。刺さる人にはかなり刺さると思います。私は大村いろはというヒロインのルートがぶっ刺さりすぎて号泣しました。
普段エロゲや美少女ゲームを遊ばない方にもプレイして欲しい一作です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。それでは皆様、良い週末を。
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