季節外れにもほどがあるけれど 2022年3月のお雛様の話【KOZUKA 513 shop paper vol34 2022/03】
ショップペーパーのバックナンバーを1日1個ずつアップし始めて34日目。季節感はぼろぼろで、ようやく9月に入って久しぶりの雨は降ったものの、なんだかまだまだ暑いぞ・・・というときに、雛人形のことをアップしている。自分でも気持ちがよくはないのだけれど、過去分を全編アップするまでは仕方がない。1日に2個も3個も、というのも不可能だし。
なので、まだまだ秋の訪れは遠い残暑に、雛人形の話。
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3月の和風月名は「弥生」
「木草(きくさ)弥(いや)生(お)ひ茂る月」からきているそうだ
なるほど 冬の間眠っていた木々の芽がふくらみ地面の緑も生き返る そんな季節
今年は古民家KOZUKA 513にお雛様を迎えた
友人の そのまた友人の祖母の雛飾りであったらしく
80年ほどが経っている計算になる
立派な7段飾り 15人飾りとも言うらしい
人形それぞれの上品で穏やかな表情の雅
全体に小ぶりなのも時代が感じられていい
何よりも驚かされたのは 雛段の仕組み
収納箱そのものを土台とし 金属製の骨組みとそこに渡す板で作り上げ
緋毛氈で整える
収納箱にそれとなく穿たれた骨組み用の穴 様式美の中の実用の美だ
雛人形はいつから飾るのか もしかして早すぎたのではないか
気になって調べてみた
雛人形を飾るのは 2月3日の節分で邪気を払い
立春の2月4日を過ぎた 大安の日 なのだそうだ
KOZUKA 513に雛人形を飾ったのは 友人が持ってきてくれた
2月11日 大安吉日
2022年においては 期せずして最善の日に飾ったことになる
なんともいい巡り合わせ
雨水(2月19日)に飾ると 良縁に巡り合うとも言い伝えられる
それではいったい いつ片付ければよいのか
「片付けが遅れると婚期が遅れる」という謂れもあるけれど
実際は 慌てず騒がず
節句の後の天気の良い湿気のない日にしまうのがよいそうだ
この冬は例年になく寒い冬だった だからこそ春を思う存分楽しもう
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自分は男兄弟しかいなかったので、実家に雛人形などというものはなかった。かといって、武者人形や立派な鯉のぼりがあったわけでもないけれど。昭和の一般家庭なんてそういうものだった。アパートの窓から小さなビニル製の鯉幟をのぞかせる。今思うと少しだけ寂しい気もするけど、田舎の小さな地方都市の街場なんてどこの家もそんなものだった。
大人になって、仕事柄、立派な雛人形を飾る機会が何度かあった。その学校には昔々に寄贈されて代々受け継がれてきた、それはそれは立派な雛飾りがあり、吉日を定め職員が総出で飾り付けをした。
なので、雛人形の飾り付けには少々腕に覚えがあったのだ。
そういえば、その昔の学校おおらかで、何かにつけ職場で酒を飲むことが多かった。(今は絶対にないけど。たぶん・・・)雛飾りを終えたその時も、誰かしらがどこからかビールやらを出してきて、完成した雛人形の前で乾杯、のようなこともあった。いい時代だったなぁ。